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”魂の番にようなひと”と巡り合う

目まぐるしく変わるお天気の中、できるだけ本の世界に入って、自分の体調を忘れるように頑張っています。

しかし昨日読んだ本屋大賞候補作は途中に苦しくなり、一旦本を閉じるくらいの衝撃がありました。その作品とはこちらです。

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52ヘルツのクジラとは―他の鯨が聞き取れない高い周波数で鳴く、世界で一頭だけのクジラ。たくさんの仲間がいるはずなのに何も届かない、何も届けられない。そのため、世界で一番孤独だと言われている。自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、新たな魂の物語が生まれる―。(「BOOK」データベースより)

「カルメーンの青い魚」で、第15回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞して、2017年に同作を含む『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』でデビューされた町田そのこさんの初長編作品だそうです。
実はタイトルと本のカバーからもっと幸せな物語だと勝手に思っていました。

しかし主人公の女性・貴瑚も彼女に救い出される「ムシ」と呼ばれていた少年(「愛」いとしという素敵な本名を持つ)も壮絶な人生を送っているし、家族からのDVで死ぬ間際の貴瑚を救ってくれたアンさんこと岡田杏子(おかだあんず)もトランスジェンダーで苦しみ、岡田安吾として生きてもなお、自殺をしてしまうという、物語の中盤まで、世の中に救いというものが実は存在しないのではないかと思われるほどです。

他の鯨が聞き取れない高い周波数で鳴くクジラにたとえられた、叫んでも、求めても、誰にも気付いてもらえない声があること、たくさんのズルくて弱くて嫌な大人たちが多い現実を突きつけられるも、哀しみだけではなくて、

”魂の番にようなひと”と巡り合う

人生にはそんなあたたかい瞬間もあるのだという希望も感じられ、最後にはほっとして、さすが書店員さんたちが推すだけの作品だなと改めて感心しました。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。今日という1日があなたにとってかけがえのない1日となりますように。

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