自分も、社会も、認識しているだけではだめだ。半歩でも前に進もう(41-50)

昨日に引き続き、韓国の作家の作品を読みました。今日はチョ・ナムジュの作品です。

チョ・ナムジュといえば、「82年生まれ、キム・ジヨン」の作家で、皆さんもこの小説名だけは耳にされていることと思います。その著者が、2018年に発表した発表した小説集で、元々は新聞に「彼女の名前を呼ぶ」というタイトルで連載された記事で、2017年の連載後、小説に再構成され「彼女の名前は」と改題され発表されたものです。

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セクハラにあった女性が戦い続けるわけとは?地下2階の部屋に住む女子生徒の悩みとは? 60人余りの女性へのインタビューを元に書かれ、『82年生まれ、キム・ジヨン』に続いて2018年に発表した作品。暮らしのなかで感じる不条理に声を上げ、自分だけでなく「次の人」のために立ち上がる女性たちの、胸を打つ28編の物語。 (Amazon内容紹介より)

大ベストセラー「82年生まれ、キム・ジヨン」では、キム・ジヨンを通して女性に生まれてきたというだけで、被る不条理の真実が語られたのですが、2020年、韓国のみならず日本でも不条理がなくなったかと問えば、女性なら皆NOというはずでしょう。

結婚をしなくても、してからも、さらに離婚したりすれば周りだけでなく、親からも責められることばかり、子どもを産むことを国が奨励しながらも、世の中は妊婦に厳しいとか、学校給食の調理師が、働けば働くほど少子化と経営の合理化で追い詰められるなど、一つ一つがノンフィクションのように語られるのですが、きっとそれぞれの女性と作品を読む側の女性たちが同じ境遇であるように思います

日本の女性は今は少し良くなっているのかなと思いたいけれど、きっとそれは声をあげていないだけで、まだまだ不条理に悩んでいる人は多いと想像します。

韓国の国民性もあって、今女性たちがストライキや#Me Too運動に参加しているように思っていたけれど、根っこの部分で断ち切れていない女性軽視の風習に嘆き、苦しんでいる女性が多いことに、改めて女性問題の深さを感じました。

見出しの言葉は、作品「彼女の名前は」について著者が語っている言葉から抜粋しました。

『キム・ジヨン』によって、こんなことがあるのだと社会に認識されたことはよかった。だが、あのなかでキム・ジヨンは自分で声を上げない。あの本が出てから、自分も、社会も、認識しているだけではだめだと感じた。半歩でも前に進もうと、そのためにこの本を書いた。

私自身も不条理を抱えながらも、耐えて今に至ります。耐えるということが実は未来の女性たちに対して無責任だったと読みつつ反省しています。

今後少しでも未来の女性たちのためになることをしなければという、思いを強くさせられた作品でした。

週末の土曜日、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

こちら時折降る雨が土砂降りで、昼間なのに電灯なしでは読み書きできない1日でした。皆さま、どうぞ有意義な週末の夜をお過ごしくださいね。

今日のバックミュージックはこちらでした。








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