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被差別と戦争責任そして龍(河童)伝説へ

今日は1日実母を病院に連れて行ったり、補聴器調整やらショッピングにと付き合い、久しぶりの長時間運転に疲れている私です。

それでも予約していた本が少しづつ貸し出し可能になったとの連絡があったので、今夜はこちらを読み終えました。

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昭和29年、夏。複雑に蛇行する夷隅川水系に、次々と奇妙な水死体が浮かんだ。3体目発見の報せを受けた科学雑誌「稀譚月報」の記者・中禅寺敦子は、薔薇十字探偵社の益田が調査中の模造宝石事件との関連を探るべく現地に向かった。第一発見者の女学生・呉美由紀、妖怪研究家・多々良勝五郎らと共に怪事件の謎に迫るが―。山奥を流れる、美しく澄んだ川で巻き起こった惨劇と悲劇の真相とは。百鬼夜行シリーズ待望の長編!(「BOOK」データベースより)

10月の末に呼んだ「天狗」そしてこれから読む予定の「鬼」と同時期に角川、新潮、講談社から文庫で発売された京極夏彦氏の作品です。

この作品は、データベースにあるとおり、事件の解明を中禅寺敦子が主に行いますが、それまでの伏線には「天狗」で活躍した呉美由紀の学校における河童のぞき見事件や妖怪研究家の多々良勝五郎による河童伝説の探訪があります。

京極氏の作品の面白さ、良さはいわゆる怪奇物だけにとどまらない、人間の奥底にあるものや歴史に深く根付くものによる事件である点です。

「遠内者はね、嫌われてましたから。特に川瀬は蔑まれていたようですよ。僕も猿飼いの子だの河童の子だの謂われたようですから。猿なんか飼ったことないし、河童なんて見たこともないのに。苛められてたんですよ。」p301
「原爆だの水爆だのってのは、あれ、爆発させて誰かが得するもんなんですか?」
「脅しに使うだけでしょ。まあ恐ろしい威力があるんだぞと知らしめる必要があったんでしょ。(中略)そんな理由であんなに殺されたんじゃ、堪らんですよ。亡くなった方も浮かばれませんよ。馬鹿らしいです。」p315
「くだらない謂い伝えを真に受けて、一度も会ったこともない人のために戦争に行って、律儀に、命を懸けて、宝石護って」
死にましたよ。
「ならーみんな河童ですよ。」p354

今なお残る部落差別問題、天皇の戦争責任と残る天皇崇拝主義、そして天皇譲位により関心が高まる神社に祀る神の伝説など、とても奥深い内容でした。

今日も読んでいただき、ありがとうございました。

今日は組み立て家具の日だそうです。皆さんは家具の組み立て得意ですか?

私はあまり得意でないです。もともと不器用なので。

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