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読書備忘録

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2020年4月の記事一覧

村上春樹「猫を捨てる 父親について語るとき」(32-50)

2020年4月23日(木)に発売された村上春樹氏の新刊を著者の作品としては初めて電子書籍で読んでみました。 時が忘れさせるものがあり、そして時が呼び起こすものがある ある夏の日、僕は父親と一緒に猫を海岸に棄てに行った。歴史は過去のものではない。このことはいつか書かなくてはと、長いあいだ思っていた―――村上文学のあるルーツ(Amazon内容紹介より) 「猫を捨てる」という衝撃的な表題に私はとても驚いたのですが、あとがきで著者が述べていますが、父親について描こうとしたとき、長

medium 霊媒探偵城塚翡翠(31-50)

おうち時間を皆さん、色々と工夫されているようですね。私もいつもながら読書と映画で1日の大半を過ごしています。 すでに4月7日に本屋大賞受賞作が決定しましたが、候補作だったこの作品を私は電子書籍で読み終えました。 推理作家として難事件を解決してきた香月史郎は、心に傷を負った女性、城塚翡翠と出逢う。彼女は霊媒であり、死者の言葉を伝えることができる。しかし、そこに証拠能力はなく、香月は霊視と論理の力を組み合わせながら、事件に立ち向かわなくてはならない。一方、巷では姿なき連続殺人

竜の道(30-50)

covid-19の影響で、4月スタートのTVドラマのほとんどが撮影の延期により放映できなくなっていますね。 昨日読み終えた作品も4月スタートのドラマの原作で、著者の白川道氏の急逝により未完となった作品です。 義父母をはじめとした世間から虐げられてきた双子の兄弟、竜一と竜二。クソのような人生とオサラバするために嵐の夜、完全犯罪を決行する。胸に秘めた復讐を果たすべく、弟はエリート官僚の道を選び、兄は裏社会の力を味方につけた。双頭の竜が修羅の幕を開ける。(「BOOKデータベース

護られなかった者たちへ(29-50)

おはようございます。夫の手術があったりで、気が滅入る日々ですが、なんとか本を読んでやり過ごしています。 昨日読み終えたのは、TVドラマ「恋はつづくよどこまでも」でまたまた人気が上がり、すでに7月に映画「るろうに剣心」の最新作が公開決定している佐藤健さんが、この作品に出演するということ、監督が「8年越しの花嫁」「64ロクヨン」を手掛けた瀬々敬久監督がメガホンを取るということで、手に取った中山七里氏の作品です。 仙台市の福祉保健事務所課長・三雲忠勝が、手足や口の自由を奪われた

台湾アニメーション映画監督によるエッセイ(28-50)

図書館に予約していると、なかなか順番が回ってこない本も多いですが、順番が回ってくるとなると次々貸し出し可能になってきます。 昨日も予約していて順番がきた本を読み終えました。 鴨川のほとりに、満開の桜が咲きほこる季節。映画を学ぶためにやってきた京都には、それぞれに寂しさを抱えて、でもとっても魅力的な人びとが暮らしていた。下宿のちょっと不気味な大家さん。まっくらな部屋に住むクールな美人の雨女。清水のお告げにすがる、後輩の留学生。舞妓さんを追いかけるお寺の跡継ぎ……。京大生とし

2019年ノンフィクション本大賞受賞作(27-50)

やっと予約していた本が順番回ってきて、昨日読み終えたのは最近著者がTVにも出演、話題になったこの本です。 優等生の「ぼく」が通い始めたのは、人種も貧富もごちゃまぜのイカした「元・底辺中学校」だった。ただでさえ思春期ってやつなのに、毎日が事件の連続だ。人種差別丸出しの美少年、ジェンダーに悩むサッカー小僧。時には貧富の差でギスギスしたり、アイデンティティに悩んだり。世界の縮図のような日常を、思春期真っ只中の息子とパンクな母ちゃんの著者は、ともに考え悩み乗り越えていく。大人の凝り