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護られなかった者たちへ(29-50)

おはようございます。夫の手術があったりで、気が滅入る日々ですが、なんとか本を読んでやり過ごしています。

昨日読み終えたのは、TVドラマ「恋はつづくよどこまでも」でまたまた人気が上がり、すでに7月に映画「るろうに剣心」の最新作が公開決定している佐藤健さんが、この作品に出演するということ、監督が「8年越しの花嫁」「64ロクヨン」を手掛けた瀬々敬久監督がメガホンを取るということで、手に取った中山七里氏の作品です。

仙台市の福祉保健事務所課長・三雲忠勝が、手足や口の自由を奪われた状態の餓死死体で発見された。三雲は公私ともに人格者として知られ怨恨が理由とは考えにくい。一方、物盗りによる犯行の可能性も低く、捜査は暗礁に乗り上げる。三雲の死体発見から遡ること数日、一人の模範囚が出所していた。男は過去に起きたある出来事の関係者を追っている。男の目的は何か?なぜ、三雲はこんな無残な殺され方をしたのか?罪と罰、正義が交錯した先に導き出されるのは、切なすぎる真実―。(「BOOK」データベースより)

舞台が東日本大震災で被害を受けた仙台市を中心にその爪痕に苦しめられる市井の人々と、生活保護というシステムの裏に潜む人々の様々な思い、その中でもシステムからはじかれる人の途方もないやるせなさ、悲しみ、飢餓状態という殺しで暴いた犯人の憤り、怒りを、著者らしいミステリーの中で表現した作品です。

護られた者たちとそうでなかった者たちの境界線は一体どこにあったのだろうかーp344
国の省庁の命令は人の命より大事なのか。公務員ってのは市民のためにあるんじゃないのか。厚労省ってのは国民の健康を護るためにあるんじゃないのか」p367

著者お得意のどんでん返しは何なのか?映画を見てから原作を読むのか、はたまた原作を読んで、出演者の演技を楽しむのか?

ミステリーの映画化は悩ましいところがありますが、出演者を見ると原作を読んでも充分楽しめるのではないかと思います。

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