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【レポ】 ジンフェスト東京へ行ってきた。 2019

今年も開催されたジンフェスト東京。
率直に言って去年で(個人的に)抱えた

「ジンとはなんぞや?」(=ジンのアイデンティティ)

へのアンサーは今年も見つけられず。
そして頭打ち感もなんとなく感じてしまった。

当たり前と言えば当たり前だけど(なにしろそんなに市場が広い分野じゃない)、出店メーカーが去年とけっこう被っていてあまり新鮮味が感じられなかった。

どのブースもインポーターがついて(=フィルターはいちおう1枚通過している)しかも売りたい・広めたいという意識で出店しているわけで、だいたいどれも使うに際して問題はない。
が。
やはり「コレはジンなのか?」という感覚は強い。
別に原理主義ではないけれど(というよりそこまで語れるほど飲んできていない)。
なにしろジュニパーベリーを使っているとはいうものの、それを中心に周りを構成するというより「いちおう使っている」というレベルのものが圧倒的に多いのだ。
法規制上はそれでいいのだろうけど。

某クラフト・ジンのセミナーで「貴社のだけでなく、クラフト・ジンはもはやジンというよりボタニカル・スピリッツと呼んだ方が適当と思うのですが、なぜジンを名乗るのですか?」という質問を投げかけた時、見事にはぐらかされたのを思い出した。
決してネガティヴな意味で言ったのではないつもりだったのだけどなあ。

今年の暫定的個人的結論としてもやはりコレなのだ。
僕の中でクラフト・ジンと称されるものの多くは「ボタニカル・スピリッツ」という認識の方がしっくりくる。

で、さらに個人的偏見と感想として言うとやはり先に述べた頭打ち感は否めない。
まあ1年そこいらでアイデンティティが分かるまでになるわけがないし(繰り返すがそこまで熱心に飲んでないし、なにより僕に向けてそんな事を発信する必要性も義務も彼らには1ミリだってない)、クラフト・ジンのサイドからそんな事が提示されるわけでもない。まだまだ”ドラスティックかつエキサイティングなターム”なのかもしれない。

それでもやはり頭打ち感、もっと悪く言えば限界値みたいなものが見えてしまう。
あれこれ入れてはいるものの、何を作っているのか作り手自身が理解しているかも疑問であるのも少ないながらあった。
2年前に参加した”現在のジンの動向”をテーマにしたセミナーで「海外では作りたいから作っているのではなく、selloutのために作るところもあって有象無象いるのが現状」と聞いた覚えがあるが未だそんな感じを受ける。
まだまだクラフト・ジンはカネになる投機分野という事だろうか。

ボタニカルに他が使っていないものを使ってオリジナルなものを提示するのはいいが、マトリックスのゼロとなるものがないから判断のしようがない、飽和している感がとても強かったというのも率直な感想のひとつ。

国産に関して言うと少なくともsellout目的というのは無さそうな感じがするけど…正直、食指はピクリともしなかった。
たしかにクオリティが高いものもあるにはあるがほとんどは「とりあえず入れてみました」でしかなく作り手の意図がまったく汲み取れない。
人気ある、定評のあるものは確かに美味しい。だけど他はだいたい前述の感想通りだ。

まあたかだか数年という短期間で爆発的に広まるものでもないし、もっと長い目で見るべきものなのだろう。
とは言え勢いのあるうちにある程度のレベルで根付かないと流れに埋もれていくのもまた事実。
選択肢の多い時代、時間をかけないと醸成されないものにとってはほんと世知辛い。文化を作るには向かない時代だ。

でも、間違いなく去年より来場者数は増えている感じだし年齢層もずいぶん幅広い印象もあった。正直、こんなに興味ある人間がいるのか?というくらいいたし(イベントとして楽しんでいる人もいたろうが)、伴って去年は目に付いた内輪ノリも無くなっていた(ように思う)から、徐々に根付き始めているのかもという期待がそこに持てた(果たして郊外のBARで普通にオーダーされるまでになるかはやはり疑問だけど)。
そして何よりありがたいことに使いたいと思えるものも数本あった(入れるかどうかはバックバーの余裕と、なによりお財布と相談したい)。

こうやって振り返って書いてみるといいイベントだったな。
来年こそ、自分なりに「ジンのアイデンティティ」を見つけたいと思う。

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