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バーテンダー、マンガを語る。 ~ワタシ ヲ コウセイ スル イツツ ノ マンガ

なにやらnoteのお題企画で興味惹かれるのが出てきた。

「私を構成する5つのマンガ」

なるもの。
周りにはあまりマンガを読まない人、みたいなイメージを持たれがちだけど中学生くらいまではマンガばかりよく読んでいた(実際、今はほとんど読まない)。
あの頃は小説など字ばかりの本に何の魅力も感じていなかった。
思えばなんと時間をムダにしたことか。
あれだけ読める時間があったのだからバランスよく読んでいれば良かったのに。

大学時代、アルバイトの対価として換金した時間だって興味ある分野の勉強や読書など深掘りするのに最高の時間だったのに、とは今にして思う人生最大の後悔ごとのひとつだ。
後悔先に立たず。
まあそのアルバイトをしたおかげで好きな映画を観て、好きなアーティストのライブや出演するフェスに行き、字ばかりの本もマンガも楽しめたのだから後悔ばかりではない。

高校時代に仲の良かった友人たちがややマニアックな方向に偏っていたおかげで、大学に入ってできた友人たちとは笑えるくらい話が合わなかった。その結果、カルチャー方面の話は大学ではほとんどしなくなり、アルバイトで出会った少し年上の人(CM制作志望の専門生だった)と気が合って更にマニアックな沼に浸かっていった。
類は友を呼ぶ。
その人からは映像方面ばかり教わったのだけど、自分で掘り下げていったりその手の雑誌を買っていくうちにマンガにも出逢えた。
さて、毎度のことながらマクラが長くなったのでそろそろ行きましょうか。

ジョジョの奇妙な冒険(2~5部) / 荒木 飛呂彦
ΠΛΑΝΗΤΕΣ(プラネテス ) / 幸村 誠
Gente / オノ ナツメ
Coconuts crush / Jerry
 桜 玉吉作品のだいたい全て

以上の5冊。
「好きなマンガ」と言われればひょいと出てくるけど「構成する」と言われるとなかなか難しいですね。
選書基準は所有しているか、していたものとしたけど例外はどメジャーな“ジョジョ~”。

ジャンプでリアルタイムに欠かさず読んでいたせいか友人の多くが所有していたせいか、自分では買っていなかったけど、あのデザインやセリフから受けた影響は今でも自分の中にその痕跡を見つけることができる。
しかし6部に入ったくらいでなぜか読むのが億劫になり読まなくなって今に至っている。

次に多くの人がこの中でピンとくるのはΠΛΑΝΗΤΕΣ(プラネテス)だと思う。
一介のデブリ(宇宙ゴミ)回収業者の主人公・星野 八郎太が様々な社会問題、人間関係などを体験して登っていく成長譚とでも評せばいいのだろうか。心理描写がとても良くてセリフの何個かは今でもはっきり覚えてるし、なんなら自分の名言箱の中に収まっているものもある。
NHK BS2でアニメ化された。
原作のイメージが壊れるのが嫌で未だ以って僕は観ていない。
とても完成度の高い名作だと思っている。未読の方にはぜひオススメしたい。

さらに続くのは“Gente”だろう。
確かこれもずいぶん前にフジの深夜枠アニメで本作の前にあたる作品“Ristorante Paradiso”(作品内時系列でいうと違う)が放映されたと思う。
絵柄が好みで読み始めたのだけど内容も面白い。カメリエーレ(イタリア語でサービスマンの意)やシェフとそれを取り巻く常連客たちの群像劇とでも言えばいいのだろうか。
飾られた日常といった趣のお話なのでこういう鬱々たる日々が終わる時に想いを馳せて読むのも一興かと。
ちなみにこちらもアニメは観ていない。
カメリエーレ達のポージングなどは見せ方の勉強になった。

あと2作は微妙か、どマイナー作品に分類されると思う。知っている、或いは読んだことのある人はわりかし話が合いそうな気がする。
わかりやすい仕事面というよりさらにその下、カルチャーやら趣味面の構成を手助けしてくれたもの。

“Coconuts crush”というこのマンガは知らなくても作者であるJerryは音楽誌愛読者なら聞いたこと−と言うよりそのイラストを見たこと−ある人がいるかもしれない(おそらく極少数と思うけど)。一時期、“レコードコレクターズ”のイラストを描いていたのを覚えている(今も描いているのだろうか?)。
正直、話は大したことないのだけどポップで個性的なレタリングと、あまり日本人ぽくない(と個人的には感じている)絵柄が好みで影響を受けた。

最後に“桜 玉吉作品のだいたい全て”。
これはこういうタイトルの作品があるわけでなく、実際にこの作家(桜 玉吉)の作品のほぼ全てが当てはまるので作品というより作家そのものという括りです。
初めて読んだのは“ファミコン通信”(現・ファミ通)で連載されていた“しあわせのかたち”という作品。
ゲームをパロディした作品を展開していたのだけど、中に織り込まれるそのパロディやギャグ、セリフなどはけっこうマニアックでファミコンの情報を欲しがるような読者層がついていけなそうなものばかりだった(ファミコンなんて単語久しぶりに使ったけどめちゃくちゃ歳を感じますね)けど、逆にそこでハマった感がある。厭世観とか諦念感とかにとてもシンパシーを感じてしまう。
おそらく、出逢わなければもう少しメジャー性ある方向に行ったんじゃないかと思わないでもない。
今はつげ義春みたいな私小説的漫画を描いている。リリースされれば欠かさず購入している。
寡作ゆえかも知れないけど、そういう作家は片手で余るからやはりかなり好んでいるのだろうな、と実感する。

以上の5冊です。

世代的に“スラムダンク”やら“ドラゴンボール”、“ろくでなしBlues”など昔のジャンプ黄金時代ど真ん中にも関わらず「自分の構成」という括りで見ると“ジョジョ~”のみ(それも2~5部限定)という結果だったのは少し驚きがあった。
同時に「いかにも」な感じを受ける選書で僕自身も苦笑を禁じ得ない。
だけど今の自分を省みるに、ここら辺が「構成」をしているものの「一部」だと思っている。

「好きなマンガ」と「構成するマンガ」はやはり違うのだ。

【余談】
これはaluというマンガコミュニティとのタイアップお題のようで、そのサイトで投稿OKが出ていたら記事にコマの貼り付けができるらしいけど、“ジョジョ~”と“ΠΛΑΝΗΤΕΣ(プラネテス)”以外は無かった。然もありなん。

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