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嗚呼、青春のヴィレッジヴァンガード

上のリンクは先日、ヒマな時にネットで見つけたヴィレッジヴァンガード(以下V.V.)のまとめ。
僕も10代終わりの多感な時期にこのお店が近所にできて出逢った。いや、出逢ってしまったというべきかも知れない。

雑貨屋とも本屋ともつかないお店ができたと聞いて興味が湧き、友人と連れ立って覗きに行ったのを覚えている。
そして、これがきっかけで「サブカルにどっぷり浸った」とか「今の自分の一部を形成してくれた」となってくれていたら、それはそれはいい思い出話になったのだけど現実はそうならなかった。
上手くいかないものだ。

確かに周囲のお店に比べたら群を抜いてエッジの効いた品揃えであったことは間違い無かったけど、それなりにサブカル方面を齧っている”つもり“のハタチ手前、生意気盛りで「少しは見識あるぞ」と調子に乗ったいけすかないガキ(僕のことです)からするとV.V.は「なんだこんなもんか」だったんですよねえ。
覗きに行った帰り道、「サブカル入り口には悪くない店だよな」と友人に偉そうに宣ったのを覚えている。

捻くれていたせいか、ああいうものは店からサジェストされるのではなく自ら調べ見つけていくものだという意識があった。
それに加えて、自分が時間をかけて大事に集めてきたモノを一気に陳列されていることへの気に喰わなさみたいなものもあったのかも知れない。
そんなこんなでV.V.はむしろ買う気を削いでくれる店という認識になってしまった。

それでもその後に何かのきっかけで印象が変わって通うようになった、とかなら書きものの着地点としてキレイなんだけど、残念ながらそんなこともなく現在に至っている。
しかし年に1、2度は思い出したように行き、ぐるり回って出てくるという無意味な行為を今でもやっている。当然、何も買わないけど。

が、全否定しているわけではないのだ。
こうやって年に1、2度でも行くだけ行ってみるわけだし、出逢って購入したモノだっていくつかはある。それにけっこう前だけど名古屋本店詣もした。
僕のカルチャー的な部分になんら影響を及ぼしていないというだけだ。

もちろん少しでもよく見てみれば知らない、面白いモノも多くあったのだと思う。が、一度「買うに足らぬ店」という印象をつけてしまうとそれをひっくり返すのはなかなか難しい。こうなると意地とプライドの問題に発展しており、「V.V.で購入したら負け」みたいな空気を自分の中に醸成してしまっているのだ(事実、買った時にはなぜか敗北感があったのは否めない)。
けっきょくそれも未だ拭いきれぬままだ。

しかし冒頭のリンクでも誰かが書いていたようにいまやV.V.はだいぶ変わってしまい、当時のようなエッジは失くなり、”ちょっと風変わりだけど無難な雑貨と本を売る店”に成り下がってしまった。
だからあの当時に抱いた何某かがあったとするならそれはもう無い。
V.V.はおそらく成熟して社会のマジョリティに対応した“企業”となり、僕は僕でそういう分野からはだいぶ離れてしまったように思う。

お互いにそういう場所からは距離を置く存在となってしまったのだ。きっと。
V.V.に真っ直ぐな好意も思い出もないけれど(僕が抱いたとするなら、それらはずいぶん捻れたものであったと思う)、店舗として人としてあの頃は互いに若かったのだろうな。と、拗れた青春時代の思い出を身勝手に振り返るいい機会をこのまとめ記事でもらった気がする。

もし、記事を読んでくれてお店の方が気になったら覗いてみてください。Instagram / FBもページがありますが、まずはオフィシャルHPを。 http://www.bar-tool.com/ サポートしていただけた場合はお店の運営に充てさせていただきます。