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圓朝と星新一と村上春樹、文庫版『恋はいつもなにげなく』が出ること、インタビューを誰でも受け付けます

古典落語で「芝浜」という有名な人情噺があります。この噺、僕はすごく好きなのですが、人によっては「いかにも作ったような物語だ」と指摘します。

芝浜、どうしていかにも作ったような物語なのか。三遊亭圓朝という落語家のオリジナル作品なのですが、これ圓朝がお客さまから「お題」を3つあげてもらって、その3つのお題「酔漢」、「財布」、「芝浜」から作った物語なんです。

だから、どうしても物語に「無理」があるのでしょう。でも、僕としましては、その「無理具合」が良いんです。物語がちょっとでこぼこしているからこそ、心に沁みます。フィクション、創作物語ならではの面白さです。

この「三題噺」の創作方法を採用していた作家が他にもいまして、星新一なんです。星新一、箱の中に「犬」とか「砂糖」とか「傘」とかって言葉を書いたメモ用紙をたくさん入れておいて、執筆前にその箱からメモ用紙を3枚引き抜いて、その言葉からイメージする物語を書いていたそうです。

こういう「作家がどうやって物語を書き始めるか」っていうの、面白いですよね。僕が「なるほど。そんな方法があったのか」と思ったのは村上春樹の方法で、ジャズ・スタンダード曲のタイトルを、あらかじめ小説のタイトルにしてしまって、そのタイトルから思い浮かぶイメージを思い描いて、創作したというものです。

さて、僕はどうやって作っているかと言いますと3パターンあります。

一番面白い物語が出てくるのは、谷川俊太郎の詩集をぼんやり読んで、何かひっかかる言葉を拾って、そこからイメージをふくらませるというスタイルです。これ、他の詩人の詩集でも試したのですが、なぜか谷川俊太郎の詩が一番です。

次によくやるのは、先に登場人物の設定だけを考えるというものです。「40歳の既婚女性がすごく年下の男性に恋をしてしまう」という設定だと、いったいどんな物語が切なくなるだろうと、思い浮かべていく方法です。これはうまくはまる時もありますが、「ありがちな話」になるのが悲しいところです。

3つ目の方法は村上春樹の真似で、先に曲のタイトルをいただいて、そこから思いつくイメージを物語にするというものです。これ、僕だけかもしれませんが、結構うまくいくことがあります。

さて、2018年に出た僕の『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる。』が文庫化されることになったのですが、担当編集者の竹村優子さんから、「何か物語をもう1本書き下ろして」とリクエストがありました。

僕が竹村さんに「どんな話が良いですかね?」って聞いたところ、「今まで全部がバーの中での物語だったから、一回外に出た方が良い」っていうのと、「語る人がマスターだったけど、違う人の視点で語るのが良い」っていう「お題」をいただきました。

そして、その時期ちょうどデューク・エリントンの『女王組曲』という曲にはまっていたので、個人的に「その曲のイメージにしよう」と思いました。

そうです。僕にとって初めての「三題噺」でして、「バーの外に出る」「違う人の視点」「女王組曲」というお題で考えることになりました。

それで考えた小さい短編小説が文庫版の『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる。』には収録されています。自分で言うのもアレですが、結構気に入ってます。

あと、そんなすごい登場ではないのですが、小説の中で「犬のなっちゃん」がチラッと出てきます。探してみてください。

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文庫版、8月5日に発売します。

デザインは単行本の時にもお願いした佐賀野宇宙さんです。佐賀野さん、すごく素敵なカバーにしてくれました。ありがとうございます。

文庫版は解説がつくのですが、こちらのnoteで解説文を募集して、幻冬舎の竹村優子さんが選んだ、この5人の文章が掲載されています。みなさん、どうもありがとうございました。

木原克直さん、日野笙さん、藤田七七さん、makicooさん、宮坂英子さんです。みなさん素敵な解説文ありがとうございました。

さて、今回も「この本に関するインタビュー」、募集いたします。

YouTubeやVoicy、テレビ、新聞、雑誌、ウェブサイト、そしてもちろん、こちらのnote、どんなメディアでも結構です。

プロの方でもプロ志望の方でも、学生の方でも、誰でも大丈夫です。もちろん僕の本の宣伝なので、僕の出演料は不要です。

東京渋谷のbar bossaでも受け付けますし、ZOOMでのインタビューでも結構です。どちらも1時間くらいでお願いいたします。

アップされた記事等は、必ず僕がTwitterでシェアいたします。

ご希望の方は、こちらのメールアドレスまで、「掲載するメディア」と「インタビュー希望日」を書いて、ご連絡ください。makijobim@yahoo.co.jp

以前の本のインタビューはこんな感じでした。お二人ともプロの方なので、記事が「最高」ですが、ビビらずに是非、ご応募ください。

それではよろしくお願いいたします。



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