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しわくちゃのメモ

午前中。抜けるような青空で気分が良い。
家中の窓という窓を開ける。風が淀んだ空気を瞬く間に新鮮なそれに変えていく。窓を開けるだけで良かったわけだ。
洗濯物を畳む。最後に残ったのは柄の違う二足の靴下(二足だと四つになるのだろうか。この場合は柄違いが片足ずつ残ったということ)。
どこを探しても互いのパートナーは見つからず、不可解なまま二足をタンスにしまう。

夕方遅く。
腕時計のベルト(数日前にカバンを下ろす拍子に何かに引っかかり、ちぎれた)、無性に食べたくなった青椒肉絲の具材、エレキギターの弦を買いに出る。
腕時計のベルトは気に入ったものが見つかる。が、手首が細いため穴が合わず、手首で回転してしまう(今は下を向いている)。
青椒肉絲の具材は無事揃うも、塩胡椒がどうしても見つからない。トマトペーストやら塩麹やら、今まで見たこともない調味料ばかり目につく。建物の閉じる時間が20時で、5分も残っていなかった為気持ちが焦る。早足で通り過ぎる店員を呼び止める勇気もなく致し方なしにレジへ向かう。建物を出る際、その店だけは21時までやっているという看板を見つける。足を戻す気にはなれず。
エレキギターの弦は店が閉まっていた為買えず。
欲しいものははっきりしていたのに、何も手に入らず。

夜。
青椒肉絲は上出来。
仕事部屋で作業。次の動画の為の音源作り。エレキギターを入れるつもりだったが、弦を買えなかったのでキーボードの手直し。たった一音の変更を思いつく。全体が格段に良くなる。もうキーボードはいじらないつもりだったのに。
“ほんの少しの変更”で人生が良くなるのであれば、見逃したくはないものだ。

15分で終える予定が40分かかっていた。
ふと足元を見たら、柄違いの靴下を履いていた。
まったく呆れたものだ。

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