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【寄稿者:藤本遼】「場づくり」における時間軸の話と資本主義的ではない価値の話。(寄稿記事vol.1)

みなさん、はじめまして。

「場の発酵研究所」発起人の藤本遼(株式会社ここにある代表取締役)です。当講座(コミュニティ)に参加してくださる方も、そうでない方も、ぜひこのnoteを通じていろいろとやりとりや考え方の交換ができればと思いますので、チェックしてみてくださいね。

このnoteでは、運営に関わってくれているメンバーや、フェロー(受講者のみなさんへの助言をしたり、新たなつながりをもたらしてくれたりする)という立場で関わってくれている仲間たち、また時によってはゲスト講師のみなさんが、「それぞれの場づくり論」や「場づくりに関する問いへの応答文」、あるいは「講座の記録レポート」などを展開していきます。週に一度以上の頻度で更新していくべく、運営一同がんばります。

さて、ぼくが執筆するnoteをご覧いただく前に、場の発酵研究所の「ややこしい」紹介文をご覧になってください。下記に掲載します。

https://peraichi.com/landing_pages/view/banohakkokenkyusho

いやー、必要以上にややこしいですよね。文章は端的に書けと教わったんですけれど。なかなか難しくて。すみません。

そんな面倒くさい告知文に、講座を開催するにあたっての背景や想いはある程度込めているので、今回のブログではそれ以外の部分について書いていければと思っています。



「発酵」という切り口で場づくりを語ると、時間軸というものがひとつのキーワードであるということが浮かび上がってきます。なぜならおいしい醤油や酒は、決して一朝一夕にはできないからです。それらは、手間と時間がかかってできるものです。そうして良質な場も時間がかかって立ち上がってくるものなのではないか、という気がしています。

仕事柄というのか活動柄というのか、お寺の取り組みに関わらせていただいたり、イベント会場にさせていただいたりすることがあります。これまであまり意識をすることなくお寺を「活用させて」いただいていたのですが、最近、少し感じ方が変わってきました。

それは、「今までこの場所を維持するために、どれくらい多くの人の手間と時間がかかってきたんだろう」という直感というか、感覚のことです。もちろん、自分の目や手に触れるものは、誰かの時間や手間がかかったからこそここにあるわけですが、でもなんだろう、お寺で(というかなにかの瞬間で)感じたのは、関わった人たちの顔や声や名前なんて知らないけれど、でも確かにその人たちがそこにいるようなそんな感覚というか。

ぼくはそのことについて「経済性には還元されないカルチャー(価値観)のようなものがそこに蓄積されているからではないだろうか」と思いました。それが「人間のいた証」というか、そういう雰囲気を醸しているのではないだろうか、と。

儲かるとか、競争に勝てるとか、そういう理由とは違うところにあるお寺の存在根拠。それはお寺だけではなく、神社や教会、その他の宗教的な施設全般にも当てはまることなのかもしれません(当てはまらないものもあるかもしれませんが)。

自分たちに必要な「日常(この部分をインフラと言い換えてもいいし、公共施設や「コモンズ」と言い換えてもいいと思います)」を自分たちでデザイン、あるいはクリエイトしていた。お寺が教えてくれるのはそういうことなんじゃないか、と思っています。そして、それが脈々と受け継がれていることを感じさせてくれる場である、と。

現在、素敵な(価値のある)取り組みができているとするならば、それは実のところ過去の産物のおかげであるということも大いにあるだろうということです。分野や専門を超えた場づくりだけではなく、時代(時間軸)を超えた場づくりがいま求められているのではないかと痛感します。どんどんと近視眼的になっていく現代社会において、時間の射程を延ばした場づくりはとても意味のある取り組みになっていきます。きっと、そういったことを過去を生きた自分たちの先祖や祖先は「普通に」していたのではないか、と。ぼくにはそう思われるのです。

場づくりというのは、単に人と人とを有機的につなげましょう、という話ではなくて、現代社会における歪みを回復していくプロセスであるとぼくは思っています。だからその取り組みは、現在の歪みを生んでいるシステムや思想の上に乗っていてはいけない、と。現代社会のフォーマットとは別のところにそのヒントがあるはずだと思うのです。

今回の話は、宗教万歳、お寺めっちゃいいよね、という話でもありません。ですが、現在社会におけるブレイクスルーポイントのようなものが、その仕組みや価値観、カルチャーの中に埋め込まれているような気もするのです。そこからなにを引き出し、なにをリデザインするのか。この「場の発酵研究所」では、そういったことをこそみんなで対話し、考えていきたいなと思っています。残念ながら、場づくりのノウハウのようなものはたぶんほとんど出てきません。けれども、自分たちが感じている違和感や表現しづらい無力感のようなものをゆるやかに打開するヒントや連帯の仕方(そして仲間も見つかるはずです)について学び、実践していけるのではないか、と思っています。

<今日書いたこと>
・時間を超えて場づくりが行われることがある
・時間がかかってこそ良質な場が生まれる
・大切にしたい価値観がきちんと反映されてこそ良い場になる
・場づくりは社会の歪みを回復していくためのプロセス
・違和感や無力感をゆるやかに打開するために学んでいきたい


来週は共同発起人の坂本大祐さんの記事がアップされます。お楽しみに。


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