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ラーメン安すぎ論争

ネットではある有名人の方が、デフレマインドに慣れた日本においてラーメンの値段が700円前後で安すぎるという発言をして賛否両論話題になっていた。それについて自分の中で腑に落ちるよう少ない経済学の知識をもとに自分なりに考察をしてみた。

まず、ラーメンの値段が高くなっても需要がついてくるかが鍵になる。値段を上げても売れなければ店の経営は成り立たなくなるのは動かぬ事実である。市場経済においては、需要と供給が一致する所で価格が決まり、その適正価格なるものよりも低ければ消費者余剰として消費者側の取り分が多くなり、その逆は供給者余剰として供給側の取り分が多くなる。一つのパンを切って、その取り分がどちらが多くなるかを考えればわかりやすい。それで、全体の生産量において、消費者の取り分が多くなるか、供給側の取り分が多くなるかの違いだけの話であるということでないかと思った。

賛否はあるが人の満足を大きくするのは物であるから生産物が多くなれば幸せの度合いは大きくなるということを前提として、全体が幸福になるためには生産量が上がらなければならない。そのためには、需要供給曲線において、需要または供給曲線のどちらかの右側へのシフトが必要になる。需要曲線が右にシフトする時は国民の所得が増えた時、供給曲線が右にシフトする時は生産コストが下がって低い価格でも生産を上げるモチベーションが増えた時などがある。

そこで、需要側(消費者)や供給側どちらかの取り分が減ったとなると、どうなるだろうか。それは、均衡価格よりも上か下の需要曲線と供給曲線が交差しない部分の価格でやり取りされているということになる。

均衡価格よりも下の安い価格でやり取りされれば、供給は持続不可能になり、市場から退場する企業も出てきて、供給が減ることになり、ある産業(ここではラーメン店)の希少価値は大きくなり、結局は価格を上げざるを得なくなると考える。

逆に均衡価格よりも高い価格で取引される状態が続くと、需要側の取り分が減り、供給側に利益をもたらす。これは、企業が儲かってそれが一般消費者に還元されないといった状態に似ているのではないかと思った。その状態では結局需要が弱くなり、価格を下げざるを得ない結果になると考えた。

需要は小さいが供給不足によって価格が上がっているのは今日本で起こっていることであると思うが、需要供給曲線で見れば、供給曲線の左へのシフトにより価格が上がって生産量が減るから本当に豊かになっているとは言えないが、政府の財政や金融政策により需要曲線の右側へのシフトが起これば、それは企業に利益をもたらし、それが従業員に還元されれば、それをきっかけとしてさらなる需要のシフト、増大が起こりえるのではないかといったところなのではないだろうか。

ここで大事なのは、需要側が値上げを受け入れるマインドができてくるというのも大事かもしれないが、適正価格以下のもので取引されていたものをせめて適正価格に戻させるということが大事なのではないかと思った。そうしなければ、企業が利益を得られず従業員にも還元されないからという理由で。需要側が取り分を多くとったとしても、供給側が取り分を多く取ったとしても、それがうまく分配されなければいけないのだろうが。

また、需要曲線のシフトはなしで、生産コストの減少により供給の右側へのシフトが起こって、どんどん価格が下がり、生産が上がっていくということにより国民の生活が豊かになるということもあり得るのではないかと考えた。それは、究極的にはロボットが生産の大部分を担い、生産コストが下がり、働かなくても生産物が手に入るということではないだろうか。ただし、その際もロボットの所有の差があり、格差というのは解消されないのかもしれない。

そういったことを踏まえると、適正価格よりも安い価格で取引されているのならば是正が必要であるが、ラーメンが安いとか高いとかいうよりも、生産が多くなるかということが大事であり、その取り分が偏らずに行き渡ればより多くの人が幸福になるということが本質的な所ではないかと思った。

#経済 #経済学#ラーメン#産業#インフレ#デフレ

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