ピエロ
君が左で僕が右
いつの間にか決まった並びで歩くようになった
特に意味はないけれど
ただ心地が良いからそうなっただけ
深夜の内容の無い電話も
すっぴんのまま目の前で酔い潰れて寝ていても
友達以上恋人未満
それも心地が良いからそうなっただけ
そう君が言うからそうなっただけ
手を引いたり小突いたり触れることはできるのに
肝心な心の方はまるで幽霊のように君をすり抜ける
君の好意は僕のとは種類が違うのを知っている
プラスとマイナスのように合わせると
打ち消されてしまうのは分かっていた
だからもう決めたんだ
君の笑顔が見れるなら
おどけたピエロに僕はなろう
誰かと手をとり歩き出すなら
たくさんの風船を空に上げてその背を見送ろう
僕はピエロ
素顔は見えないままの方がいい
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?