それぞれのコロナ 日本〜ベトナム
住んでいる者の肌感覚的に、ここベトナムでは、コロナはもう過去のものになりつつある気がする。ここ1〜2ヶ月、コロナという単語を耳にしたのは数えるくらいだ。
世界的に見てもコロナ対策を高く評価され、長いこと新規感染者が出ていなかったベトナム。旧正月前の1月下旬に、北部で一時的に100名を超す感染者が出たけれど、政府はすぐに感染地域を隔離等の対策を実施。まさに"国を挙げて"封じ込めにかかった。
社会主義国であり、一党独裁体制という日本とは違う構造が功を奏した形だ。支持系統が一つだけなので、その影響力・強制力は凄まじく、やると言ったら徹底的にやる。国民は政府の決定に文句も言わず(表向きは)、粛々とそれに従う。
昨年、ハノイ市内がロックダウンされた際は、夜間に警察がパトロールしている姿を見かけた。スーパーなどの生活必需品を売る店以外は閉店を余儀なくされ、バイクの騒音や人々のがなり声であんなに賑やかだった街中は、一転して静寂に包まれた。職を失ったベトナム人もいるし、僕もそんな一人にお金を無心されたこともある。
それでも、ベトナム人たちは、なんとかやりくりして日々を耐え忍んだ。こういった時の団結力には、本当に驚かされる。その団結を可能にしたのは、きっと諦めではなく強い意志のはずで、普段のいい加減で自己中心的な彼らはそこにはいなかった。
今、日本の現状をニュースでしか見ることができないので、実際にどのような感じなのかがわからない。感染者数などの数字はいくらでも調べることができるけれど、住んでいる人たちの感覚がわからない。危機感を募らせているのか、楽観的に捉えているのか。それとも、もうあまり気にしていないのか。
「一日も早い終息を」今まで何百回と見聞きしたこの言葉を実現することは、多分に難しいと思う。いつかは必ずその日が来るはずだけれど、それは近い将来ではないと思う。
日本はベトナムのように、"極端な"制限はかけられないはずだ。オリンピックもこのままいけば開催するだろうし、そうなればまた感染リスクも高まるだろう。
(比較的)安全なベトナムからこんなことを言っても響かないかもしれないけれど、なんとか、コロナと"上手く付きあって"少しでも前向きに生活できる人が増えてほしいと切に願っている。
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