見出し画像

月の満ち欠け(第157回直木賞)を読んで

ドストエフスキイの「白痴」以来だろうと思う。

読んでいる途中で何度も本のページを遡って確認をしながら本を読むというのは。

まだ若かりし頃、ドストエフスキイの作品を読むと、途中で登場人物がいったい誰なのかわからなくなってしまうという現象に見舞われた。次から次へと似たような名前の人物が登場し、はて?この人なんだっけ?状態に陥ってしまった。名前が長ったらしくてそれだけでもう覚えていられないのだ。

そういう意味では、海外モノの推理小説はしおりに登場人物がすべて書かれている本もあって、あれは本当に有り難く、頼もしく、読者の脳に寄り添ってくれているなあと感じるのです。

今回はそもそもネタバレすると、ある女性の生まれ変わりの話であって、生まれ変わった人が関わる人と以前に関わった人とが交錯していくので、まず頭がついていかない。

その上、時系列に並べて話してくれないので、「その1か月前」とか「18年前には」とかもはや頭はグルグル状態のまま話が進んでいく。

ちょっとページを戻ってくくる程度ではだめで、その段落、章全体がどんなだったかを思い出しつつ新しい場面を読んでいくという参照型読書になってしまった。

結局、最終章を読むのに最初から読み返してみたり、どのシーンに大事なことが書かれていたのか?の確認作業が必要だった。

のは、もしかして最近ふと感じる、私の記憶能力が落ちてきているからかもしれないなあ。

いや、やばいと思う。

一冊の本を読むのにこんなに前をひっくり返すなんて。そもそもデジタル書籍だったら難しい。最近Audibleで本を聞くことばっかりやってたから、受け身の読書になってしまっているのだろうか?活字が脳をさまよってしまって、記憶につながらないのだろうか?

ここまで深く自分と向き合わせてくれる本である(おすすめ)

「月の満ち欠け」

そもそもこのタイトルに興味を惹かれたのは確かだ。最近「月」にまつわる本を好んで読んでいる。作者が「月」に何を投影しているのかが気になるのだ。

今回の作品は「月にように死んで、生まれ変わる」ということを表現しているらしい。表紙に書いてあった。月は死ぬのか?月は生まれ変わるのか?謎である。

星読みの観点から言わせてもらえば、月は地球から一番近い星であり、潮の満ち引きなどでも地球に影響を与えています。満ち欠けをすることで、心という不安定なものに影響を与えています。また、人生でいえばだいたい7歳くらいまでの幼少期の精神の成長と重ね合わせてみると、ピッタリはまることが多いものです。

(ネタバレ)あ、そうか、だから7歳とか8歳で高熱になって、そこから記憶が…(独り言)

「前世を
記憶する
子どもたち」

という作中本が登場する。ちなみに、ここ何年も前世を記憶する子どもたちがこの世に生まれてきているそうだということは私の周辺でもよく聞くこととなっている。

https://amzn.to/3BVBz08

こんな話がまことしやかに話される時代になったというのも、「風の時代」の所以かなと思いつ三島由紀夫の「豊饒の海シリーズ」が未完の輪廻転生の話であったことも思い出しながら、私はそれを受け入れちゃってるからあんまりインパクトを受けないのかなと。

いや、輪廻転生なんてないでしょ、という人が読んだらどういう感想を持つのかな。
途中で投げるかな?なにしろストレートに易しく読める本ではないので、ヒックリ返して遡って読まないといけない忍耐もいる。

映画化される

どうやらこの冬、映画になるらしいことを実は映画館で知った。大泉洋や有村架純が出演し、映像を見てなんとなく見てみたいかも?と思ったら、本屋で本と出会ってしまったのだ。映画の話が先だ。

でも、たいてい、原作がある作品は原作の方が面白い。

しかし、きっとこの作品は映像の方がわかりやすいかもしれない(汗)映像なら時の流れをうまく掴むことができるだろう。顔が違えば誰だっけ?ってならなずに済むだろう。

映像向きなのかもしれない。そっちを期待してみてもいいのかもしれない。

映像はすでにファンタジーだから、生まれ変わりのストーリーもすんなりとそれなりに受け入れられちゃって…、本でのインパクトとはまた違うんだろうなあ。

読み終わって忘れないうちにつらつらと書き留めてみました。
最後までお付き合いくださりありがとうございました(^^)


この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?