見出し画像

ダメパパが私立小学校受験に挑んでみた8 ~新年長開始編~

【3行でわかる前回のあらすじ】

娘は

絵の視点が

独特

【ダメパパ私立小受験記まとめ】

【イトー家の紹介】

〈僕〉
30代後半。都内勤務のサラリーマン。不本意な小受に邁進中。

〈妻〉
僕と同い年。某私立小学校の卒業生。悪魔。

〈娘〉
4歳の年中。小受に奮闘中

〈息子〉
1歳。最高にハイな男児。

〈その他情報〉
神奈川県在住。ローンありの持家に住む。世帯年収は900万円ほど。

【本編】

11月。それは小学校受験界隈では、年度の切り替え時期である。

つまり娘は11月から新年長とよばれるクラスに変わった。異世界転生ファンタジーものでいうところのクラスチェンジとなった訳である。

かくいう僕はと言うと、特に何も変化はない。娘のクラスチェンジに関しても、フゥン?ぐらいのノリで聞いていただけだった。しかし、このクラスチェンジによって地獄の門が開かれたことになっているとは僕も娘もまだ知らずにいたんだ……

以前の記事を読んでいただけるとわかると思うが、この新年長へのクラスチェンジに伴い、娘が受けるお教室のコースを変更していた。これまでと比べ勉強時間が1時間多い。当然娘の負担は多くなる。

しかし勉強時間が長くなったと言うことは、出される課題が増えると言うことでもあった。

お教室では課題用のプリントが毎回配られる。それを1コマの授業の中で取り組み、余ったプリントについては自宅で取り組むことになる。これまではそもそも課されるプリントの量がそこまで多くなかったため、家に持ち帰ってきてもすぐに終わらせられていた。娘も楽しみながら取り組んでいた。いわば遊びの延長でしかなかったのだ。

それが新年長で一つ上の難易度のコースに変わったことで流れがガラッと変わった。1週間に一度の授業で出されるプリントの量が半端ないことになった。わかりやすく例えるなら、これまでがはんぺんぐらいの薄さであったプリントの量が、こんにゃくぐらいの厚みに変わったのだ。うん、わかりづらい。

余談だが、受験終了までに取り組んだプリントを全て積み重ねたら、とんでもない高さになり、それがのちの武蔵小杉のタワマンの原型であることはあまりにも有名である。

それぐらいプリントの量が増えたということは、それはつまり自宅学習の時間が大幅に増えるということだ。これまでは育休中の嫁が、娘の幼稚園が終わった後に一緒に見るだけでよかった。娘と息子の世話をしながらでも、勉強時間を確保することができ、一週間のプリントをしっかりと終わらせることができていたのだが、量が増えたことでこれまで確保していた時間だけではこなせなくなったのだ。

そうするとどうなるか。のほほんと生きている僕に白羽の矢が立つのだ。

ここで話は少し脱線して、簡単に僕の平日のルーティンを皆さんに紹介しよう。

→朝7時半に起床し娘を幼稚園に預け仕事へ
→深夜12時頃まで仕事し帰宅
→多少の家事や晩御飯、風呂を経て深夜2時頃就寝

以上。平日は自分の自由時間は特になく、ただただ職場と家の往復を繰り返す毎日である。このような状況のなか、妻から言われたのは「1時間早く起きて娘のプリントを見てやってくれ」であった。

当然僕は拒否した。人の1日の活動量や睡眠時間の基準は、個々によって異なる。僕の平日の活動が、見る人によっては「この環境で1時間早く起きるなんて余裕だろ」と思われるかもしれない。それは甘えだという人もいるかもしれない。タワマン界隈の小受ガチ勢の奥様方から鼻で笑われるかもしれない。

それでも僕は拒否した。なぜなら”巻き込まれた小受のために自分を犠牲にしたくないから”である。自分が心の底からやりたいことであれば、睡眠時間を削ろうが苦ではない。必要なことだと思えば、当然それにリソースをさくことを考える。しかし、僕は私立小学校への入学を望んでいないし、なんなら懐疑的だ。

そんなことに朝の貴重な睡眠時間を犠牲にしたくない。だから僕は心の底から拒否した。

「いやだ!1時間も早く起きるぐらいならもっと有意義な使い方があるだろ!たとえばさー……あれとかさー……な?もっとこう……あるだろー!?」

僕は妻に訴えた。しかし妻は鼻で笑いながら僕にこういったのだ。

「やりたいことなんて特にないでしょ。それに子どものことを考えられるなら起きれるでしょ?」

これを拒否したら子どものことを一切考えない糞パパのレッテルを貼るぞという脅し文句が妻の口から飛び出た。でもこれは脅しではなく、実際に拒否したら妻は恐らく僕のことをクソ旦那認定するに違いない。マジなのだ。マジかよ?

こんなことを言われたら妻の要求をのむしかない。

こうして僕の睡眠時間と精神を削られていくことがここで確定してしまったのだ。

しかし、これで終わりではなかった。さらに精神攻撃は続く。

「それから、土曜日のお教室の時間だけど、娘をお教室にあずけたら一回家に帰ってきて」

なん……だと……?

僕はこれまで、娘をお教室に送り届けてからはパラダイスタイムを満喫していた。娘の授業が終わる1時間ちょっとの間、喫茶店でコーヒーとタバコを嗜みながら遊戯王カードで決闘(デュエル)をエンジョイしていたのだ。それが僕の唯一の憩いの時間だったのだが、妻は睡眠時間だけでなく憩いの時間まで奪いにかかってきた。

「いやだ!わざわざ家に帰ってまたお教室に迎えにいって……そんな無駄な時間を過ごすならもっと有意義な使い方があるだろ!たとえばさー……あれとかさー……な?もっとこう……有意義なさぁ……あるだろー!?」

僕は拒否した。しかし、

「でも2時間ちょいもすることないでしょ。その間に家に帰ってきて掃除とかの家事をしてね」

て……て……てめぇの血は何色だああああ!!!!

と、この時ほど叫びたくなったことはない。僕が北斗神拳伝承者だったら、”旦那に優しくなる妻”の秘孔を百回ぐらい突いてたと思う。

そうこうしているうちに僕の時間まで浸食してきた小学校受験。もちろん受験家庭であればそれが当たり前のことなのだが、受験を望んでいない僕にとってはただの足枷にしかなっていないのだ。

しかし、地獄の門は開かれたばかり……ここから受験本番までさらに過酷になっていくことを僕はまだ知らない……

続く

【次回予告】

地獄のはじまり

【ダメパパ小学校受験記まとめ】

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?