貧困の子どもたち
以前、子どもの貧困について考える
https://note.com/banbirokon/n/na63f1b21c68a
という記事を書きましたが、その際にでは実際どのくらいの貧困の子どもがいるのですとか、どういう取り組みがされているのかというご質問が来たので、今回は貧困対策と、貧困の実態について書いていきたいと思います。
相対的貧困率
2013年度の国民生活基礎調査になりますが、日本の子どもの相対的貧困率は16.3%となっております。
つまり、6人に1人が貧困の世帯となります。
(子どもは18歳未満を指します)
30人クラスだと5人は貧困であるといえますね。クラスでパッと見た時貧困の子どもたちが結構いると思ったのではないでしょうか。
同じく2013年度の調査では、等価可処分所得ならみた中央値は244万となります。
いわゆる、手取りの年収の中央値は244万ということですね
相対的貧困のラインはこの半分になりますので、122万円が貧困となります。
ボーナスなしで手取りが月収10万ぐらいの世帯だとザッと言えると思います。
働いてる人はわかるかもしれませんが、かなり厳しい収入であることがわかります。
この相対的貧困のラインというのは、実は生活保護のラインでもあります。
日本では貧困というのを相対的貧困で捉えているのですね。
さらに問題があります。子どもがいる世帯で片親の貧困率はなんと54.6%です。
およそ半分が貧困であるという状態です。
片親だと半数が貧困になるということは、日本の場合特に女性が子どもの親権を得ることが多いですから、女性単独の収入だと厳しいことが多いのかもしれません。(こちらは、男女の収入差の問題になるのでここでは扱いませんが)
貧困対策
前の記事にも書きましたが、やはり子どもの貧困というのは問題です。特に子ども期間だけでなく、その後も引っ張ってしまうのが、大きな問題となるでしょう。
そのため、2014年に「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が施行されました。
この法律の目的は
子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、貧困の状況にある子どもが健やかに育成される環境を整備するとともに、教育の機会均等を図るため、このもの貧困対策に関し、基本理念を定め、国等の責務を明らかにし、及び子どもの貧困対策の基本となる事項を定めることにより、子どもの貧困対策を総合的に推進すること
長いですが、要するに、生まれ育った環境で将来が決められてしまうのはまずいので、国の責任を明確にして、環境を整備するよと書いてあります。
こちらの貧困対策ですが、4項目おもにあります
・教育の視点
・生活の支援
・保護者に対する就労の支援
・経済的支援
この4項目で実際に行われてる支援を見てみましょう。
教育の視点からの支援
要保護家庭を対象に、無償の学習支援を行なっている自治体があります。
(要保護家庭というのは生活保護を受けている家庭だと思っていただければ間違いではありません)
貧困の問題で言われているのが、家で勉強する場所がないということです。
両親が働きに行っていて帰ってこなかったり、(ご飯を自分で調達したりと家事に時間を取られてしまいます)そもそも勉強机がなかったりと、勉強するための環境がないといった問題が指摘されています。
さらに、塾に行くことがかなり普及してきたことによって、塾に行けないという差も生まれてしまいました。
こうした実態を踏まえ、自治体がNPOなどに委託して、無償の学習支援を始めました。
例えば名古屋では学習サポーターバンクを作り、児童館といった拠点で学習支援をしています。もちろん単純な勉強だけではなく、親や先生以外の人との交流というのも大きな意味をもっていくのではないでしょうか。
http://www.kodomoennoshita.com
生活の支援
子どもの生活というと、衣食住が基本にあります。行政の支援という意味では、物品の支援よりも金銭的な支援が現在では中心なようです、
その中でも子ども食堂といった活動があります。こちらは行政が主体というよりも民間である活動に、行政が支援していることが多いようです。
子ども食堂は格安または無料で、子どもたちがご飯を食べることができるもので、単純な食事の提供ということではなく、大人と一緒にご飯を食べるという経験をしてもらう意味も含まれています。
保護者の就労支援
自治体とハローワークがチームとして支援する「生活保護受給者等就労自立促進事業」などの施作があります。
また少し変わりますが、「ひとり親家庭・多子世帯等自立応援プロジェクト」では専門の相談窓口を設けて、子育て、生活から就業支援までを目標に相談できる体制も作られております。
ハローワークを通じた政策が主となっているようです。
経済的支援
核となる支援ですね。いくつかあるのですが、2つ挙げておきます。
児童扶養手当。
(18歳に達する日以降の最初の3月31日までにある児童を監護している母又は監護しかつ生計を同じくする父、もしくは父母に代わってその児童を養育している方に支給されます。)
いわゆる現金支援ですね。各自治体によって違うので詳しくは各自治体で調べて見てください
母子父子寡婦福祉資金の貸付
こちらは、母子家庭や父子家、または寡婦に対しての低利子による貸し付けです。いわゆる奨学金のようなものですね。
他にも教育の負担減や、保育料の無償化、減額化など、実際にかかる金額を下げるといった支援をしています。
まとめ
数値的に貧困を捉えて、実際の政策を見てきましたが、文面上だけで見るとかなり政策があるのだなと思ったのではないでしょうか。
実際に各方面でバラバラとされているのですが、統括してこの人にはこういう支援がいるといった、中核となる場所がありません。
学校も含めて、子どもの貧困や様々な問題を一度集めて適切に各政策と連携して解決できる、イギリスのチルドレントラストのような機関ができると、より多くの子どもがすごしやすくなるのかもしれません。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?