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保護犬を迎えるvol.5 飼い主の責任って……


5/6 健康診断の記録

マルの治療方針を決めるため、健康診断を受けた。
健康診断を受ける前にわかっていたことは2点。
・フィラリア陽性
・歯肉増生
避妊手術もしなければならないし、歯肉増生も治療したい。そのために必要な麻酔ができる状態かどうかチェックするための健康診断を行った。

フィラリア症

犬を飼っている人なら、常識としてフィラリアの予防をされていると思う。蚊を媒体とする寄生虫で、薬を飲ませれば予防できる。

保護犬はかなりの確率でフィラリア症を発症している。飼い主が適切な飼育をしていないかった、もしくは、保健所に保護されるまでの期間に感染したのかもしれない。

マルも例外ではない。譲渡前からフィラリア陽性が血液検査で判明していた。問題は、どの程度進行しているかだ。

検査の結果、心臓に成虫が寄生していた。ミクロフィラリアと呼ばれる寄生虫の子どもも血液中に高濃度で確認された。
「かなり長い期間、フィラリアの予防がされていない」というのが獣医師の所見だった。

さらに今回の健康診断で、マルには心臓病があることが判明した。

僧帽弁閉鎖不全症

僧帽弁閉鎖不全症は、シニアの小型犬にかかりやすい病気の一つとされています。この病気の原因は、心臓にある僧帽弁が上手く閉じず、血液が逆流してしまうことにあります。血流を本来の一方通行に戻そうと心臓が強く動きますが、疲弊することで次第に機能が低下し、やがて僧帽弁閉鎖不全症を起こすこととなります。

わんちゃんホンポ

フィラリアが棲みついている心臓に、さらに心臓病を発症している。
あともうひとつの弁も閉鎖不全を起こしていると言われたが、ちょっと名称を忘れてしまった。要するに2か所で弁閉鎖不全を起こしているらしい。

ただ、この僧帽弁閉鎖不全症そのものは、初期の段階。最大の問題は、やはりフィラリアだ。

フィラリアの治療を行えば、死んだミクロフィラリアが腎臓にたまる。
また、成虫は何らかのきっかけで心臓内を移動し、血管につまる可能性がある。ショック死のリスクを伴うフィラリアの治療は、命がけだ。
しかし、治療をしない選択肢は、ない。

貧血

血液検査でも、異常が見つかった。

血液検査結果

Eos.好酸球異常→フィラリア感染によるもの
Hb,PCV,MCV異常→貧血

マルは貧血になっていた。
この貧血は、何か病気が原因で起こっているものではないらしい。
おそらくこれまでの食生活が原因とのこと。

食生活といえば、もうひとつある。

胆石

人間でも、胆のうに結石ができると「食生活気をつけましょう」なんて注意される。脂肪分の多い食事とか生活習慣とかで、胆石になると言われている。
マルは太っていない。おそらく、高カロリー・低栄養のエサを与えられていたのではないか。想像に過ぎないが、人間の残飯、スナック菓子とか。ふつうにドックフードを食べていた犬が貧血や胆石になるだろうか?

股関節亜脱臼

マルは歩き方もヒョコヒョコとしている。私は獣医さんに伝え忘れていたのだが、看護師さんが気づいてくれた。
レントゲンを撮ると、左足が亜脱臼を起こしていた。
マルはおそらく、まともに散歩もさせてもらってない。

何を優先して治療するのか

健康診断により、5つの疾患が判明した。譲渡した当初は、施設の人に「避妊手術を」とお願いされていた。だが、避妊手術どころではない。マルの命を最優先に、治療をしていかなければならない。

獣医さんとの話し合いの結果、さっそくフィラリアの治療に入ることになった。このフィラリア治療にはリスクを伴う。治療薬が身体に入って、ショックを起こすかもしれないのだ。
ショック症状を和らげるための薬を5日間飲み、中日にフィラリア治療薬を摂取する。飲むタイミングは、必ず平日の朝。その日は外出せず、マルちゃんのそばにいてあげられる日にしてください、と獣医さんに言われた。

この治療薬でショックを起こさなければ、第一関門はクリア。
その後のことはまだ考えられない。とにかく、一つひとつクリアしていきたい。

元飼い主への怒り

マルがどういった経緯で保健所に保護されたのかは、まったくわからない。しかし、マルの健康診断の結果や日頃の様子から、ある程度のことは推測できる。
狭いゲージの中で、ろくな食事も与えられず、フィラリア予防もされていなかったマル。繁殖犬として飼われていたのだろうか? ひどい扱いを受けていたのだろうか? ……と考えると、ふつふつと怒りと悲しみがわいてくる。

飼い主の責任って、なんだろう。
犬を飼うなら、愛情を持って育てるのは、当たり前ではないのか……?

マルを幸せにしたい。
穏やかで、心地よい毎日を過ごしてほしい。
一日でも長く生きてほしい。
獣医さんとともに、難関を乗り越えていきたい。




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