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適材適所

 人事に携わっていると必ず耳にしたことがある言葉です。近い表現もたくさんあります。そして、妙な説得力を持った不思議な言葉でもあります。私も何度も口にしたことがあります。

 組織のパフォーマンスを最大限発揮するためには、その「ヒト」が持てる力を発揮できる仕事に従事させることが一番です。しかし、時にその場合その個人にとっては、成長の機会になっていない場合があります。なぜならば、すでに「できる」仕事に従事してもらっている状態になるからです。

 人が成長する時は、やはり新しい仕事や困難なチャレンジを通してです。それを普遍性の高い学びにすることができるかどうかが限りある職業人生の中で必要なことです。特に世代の価値観が変わってきていて、この成長実感を大事にする人が増えてきています。その成長のステップは、「俺の背中についてこい」ではなく、合理的で論理的かつ成長実感が感じられるステップが必要です。

 そこし、話がそれたので、元に戻します。適材適所です。短期的な企業の成果と中長期的な個人の成長を同時に実現しなければならない。やはりそれを実現するには、定量・定性の両方のデータが必要です。以前は、完全に感覚的な要素が強かったですが、昨今ではHRテックを活用して、科学的やろうとする方向が強くなっています。SPIをはじめとした分析や社内試験などの客観的な現時点の学力データ、本人・上司の申告などの定性的なデータを活用します。あとは、目に見えない人間関係が難しい。データや定性分析から、異動を決定したはずなのになかなか成果が上がってこない場合、何らかの人間関係問題が発生しているケースがままあります。人事の役割は、最終的には、この暗黙的な部分を差配することに収斂するかもしれません。

 そんなこんなで、想像以上にいろんなことを踏まえて適材適所を実施していかなければなりません。規模が大きくなれば、加速度的に複雑性が高まります。何より、強みを活かした配置をして、そのヒトがキラキラ成果を出しているのを見たり聞いたりするときは、人事冥利につきます。

 最後に、これからは社内人材だけでなく、外部人材も含めて適材適所を考えていかなければいけない時代がきます。それに向けた準備期間です。


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