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POP読書|04.このミス大賞 安楽椅子探偵もの「名探偵のままでいて」


「名探偵のままでいて」小西マサテル、宝島社、2023


認知症の男性が、日常ミステリの真相を「物語」として紡ぎ明らかにする。

孫娘の楓には、大好きなおじいちゃんがいる。
しかし、認知症を患っており、かつての聡明な祖父の姿が少しずつ薄れていくことに複雑な思いを抱いていた。

しかし、ミステリに触れる時、祖父の症状は和らぐかもしれないと考える。
身の回りに起こった不思議な出来事を、祖父に相談しながら、その様子も見に行く日々を過ごす。

様々なミステリ作品も登場しながら、
そして介護の現状も混ぜながら、
楓と祖父の会話が描かれている。



ミステリ要素ももちろんだけど、
介護の日常に、胸が苦しくなる時があった。
私の母を思い出すから。

現実は、物語のようにうまくはいかないけど、
そうあって欲しかったなとも思う。

ミステリ自体は、複雑怪奇とまではいかず
程よいスッキリしっくり感。
一気読みできる分量。

表紙の、Re°さんのイラストが素敵。
楓の様子をよく現しているようで、儚く美しい姿がまた想像を広げて良き。


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