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五輪観戦からEkiden世界大会開催に思いを馳せる

五輪を観ていて、長年の陸上競技ファン魂に火がついた。フランス陸連での陸上経験も踏まえ、こんな大会があったらいいな、というアイデアを共有したい。

本記事は、あくまで私の個人的な意見であり、裏付けのない提案だが、日本陸上競技連盟関係者や、陸上競技、駅伝が好きな人方々との未来の議論のためのメモとしても役立てたいと考えている。

0 ポイント

・駅伝のさらなる発展と、Ekidenの国際的な普及を目指した提案。本提案は、日本の陸上競技界に新たな刺激を与え、世界に通じる競技の育成に寄与することを願うもの。

・国内では、10km,5kmロードの日本選手権(マスターズ日本選手権や市民の部と同時)の開催、駅伝日本選手権(42.195: 5-10-5-10-5-7.195)の開催(東京世界陸上2025レガシーとして市民参加型駅伝も検討)。

・国際的には、World Ekiden Games (42.195km) の日本開催、将来的には世界陸上や五輪でのEkidenの実現を目指す。

・更に、実業団の駅伝の魅力をより高めるべく、出雲駅伝の実業団部門創設、ニューイヤーの予選会を中止し、記録スコアにより選考した新たな全国駅伝の創設、駅伝日本選手権などによる駅伝グランプリシリーズの導入。

1 問題意識

(1)フランス陸連などの取組

自身はフランスで、現地の陸上競技・ランニングクラブに所属し、フランス陸上競技連盟の取り組みに触れる機会があった。

連盟に登録することで、陸上競技、クロスカントリー、Ekidenのクラブ対抗戦、フランス選手権(10km)など、多岐にわたる活動を知る機会となった。妻も同様で、マラソンや100kmのフランス選手権などに参加してきた。

イギリスでも本年6月に10区間72マイルの第1回の駅伝が開催された。

(2)「箱根から世界へ」について

箱根駅伝によって、日本の長距離レベルは大きく向上し、実業団という素晴らしい仕組みができている。

今回の五輪では、赤﨑選手の6位入賞、三浦選手の2大会連続入賞は素晴らしかった。一方、800,1500,5000は代表選手なし、10000は世界のスピードに圧倒されたように、アフリカや欧米のトップレベルに及ばない現状を憂慮して、(箱根)駅伝が、若手選手のスピード育成を阻害し国際舞台での成績に影響を与えているという指摘もある。

なお、女子は、鈴木選手のマラソン入賞の他、田中選手のダイヤモンドリーグらの活躍を見ると、田中選手は別だが、駅伝を通じた強化を進んでいると言えるものの、世界と溝を空けられている点について要因分析が必要であろう。

(3)世界の陸上動向

パリ五輪において、男女混合競歩(男女2人ペアで計42.195km)という競技が目に付いた。

また、来年は東京世界陸上の参加標準記録のうち、5000mと10000mは、トラックだけでなくロードレースでも認められている。

2 提案

上記を踏まえ、駅伝(Ekiden)をより国際的的に認知される競技にできないかと考えている。

一方、かつて開催中止に追い込まれた、国際千葉駅伝(1988~2014年)の二の舞は避けなければならないと感じている。

(1)国内的アプローチ

1. 10km,5kmロードの日本選手権開催

・参加資格は、トラック及びロードでの資格記録を有する者のうち上位50名など。非常に狭き門であるトラックよりも多くの走者の参加を認める。組を分け、より多くの参加者を認めるのも良い。

・マスターズ選手権や市民の部も同時開催し、より広範な参加を促す。

(参考)
・世界陸連のルールでは、ロードレースについて、スタート地点とゴール地点の標高差がレース距離の1/1000とすること、なるべく周回が望ましく、スタートとゴールの位置が、最大でも、レース距離の50%以内に収める必要があるなどの条件が付されている。

・フランス陸連では、5kmと10kmのロードともに、シニア(39歳以下)だけではなく、マスターズ部門(40~44、45~49、以下5歳刻み)が、それぞれ年齢に応じた参加資格タイムをクリアした者がエントリー可能。大会当日は、同コースで、出発時間をずらして開催し、個人に加え、クラブ上位3名によるクラブ別での順位も競う。 

2. 駅伝日本選手権(42.195km:5-10-5-10-5-7.195)の開催

・世界陸連のルールでは、ロードリレーレースの推奨距離を42.195kmとし、5km周回コースを利用すること、区間は5-10-5-10-5-7.195とすることを推奨。

・選手としては10kmや5kmのロードレースの強化として活用しやすく、また高校生も参加可能であり、観衆としては馴染みある距離であり、また国内の運営としても、マラソンや高校駅伝らと同じで開催しやすい、という利点あり。

・世界陸連のルールに基づき、1区の5キロは公認記録扱いとできるとよい。2から5区は難しいか。

・東京世界陸上2025のレガシーとして、市民参加型駅伝の同時開催も検討。

(参考)
・フランスのEkidenは、陸連加盟のクラブも、ファンランも、同じ時間に、同じコースを疾走。

・先日のパリ五輪では、五輪の最中に、市民イベントとして、約4万人がマラソンや10キロに参加。

(2)国際的アプローチ

1. World Ekiden Games (42.195km:5-10-5-10-5-7.195)の日本開催


・Ekiden発祥の地、日本の象徴的なところで開催。

・男女混合や、また将来的には五輪や世界陸上でのEkiden実現を目指す。

3 更案: 駅伝グランプリシリーズ

(1)国内駅伝の現状と課題

箱根駅伝が国内で最も注目されている一方、実業団の駅伝の魅力をどう高めるかが課題。

実業団選手の多くは、ニューイヤー駅伝と世界(五輪、世界陸上)での活躍を目指すが、皆が後者が狙える訳ではない中で、駅伝はニューイヤーのみにする必要はなし。

ニューイヤーの日本人区間は全て10キロ超である中、1500や5000のランナーをも活躍できる仕組みとして、グランプリシリーズを提案したい。

(2)駅伝グランプリシリーズの具体案

全4戦構成。各戦の表彰に加え、各戦の順位ポイントによるシリーズチャンピオンを決める。

1. 10月 出雲全日本実業団駅伝

出雲駅伝に実業団部門の創設。
※高校生も大学部門に参加可にするのも一案。

【区間距離のイメージ】
8-5.8-8.5-6.2-6.4-10.2
(45.1km,6区間)

実業団部門の出場資格は、前年のニューイヤー駅伝の上位チーム。

2. 11月 晩秋全日本実業団駅伝

ニューイヤー駅伝の各地区予選会を中止し、中距離ランナー向けの3kmと、5kmと10kmを軸とした全国駅伝を創設。

【区間距離のイメージ】
 10-3-15-7(外国人可)-5-5-10
 (55km,7区間)

(参考)2023年東日本実業団駅伝
 11.6-8-16.5-9.5-7.8-10.6-12.9
 (76.9km,7区間)

各地域の実業団陸上競技連盟の持ち回り開催。

チームの選考案は以下のとおり。
◯各チーム1500m1人、5000m(5km)3人、10000m(10km)3人、計7人の、春先から夏前までのグランプリシリーズなどの主要トラックレースの記録と、上述のロードレース日本選手権、後述の第4戦の区間記録他、により算出した記録スコアで決定。

◯各チームは、所属選手を、いずれの距離にも何度も挑戦可だが、1人で複数種目の記録提出は不可。外国人は1人まで可。

3. 1月 ニューイヤー駅伝

現在の各区間距離は、マラソンランナーには良いが、1500から10000の選手には少し長い印象。 

【区間距離のイメージ】
 10-3-8(外国人可)-5-10-5-21
 (62km,7区間)

(参考)2024年ニューイヤー駅伝
 12.3-21.9-15.4-7.8-15.8-11.2-15.4
 (100km,7区間)

チームの選考案は以下のとおり。
◯前年のニューイヤー駅伝の上位チーム及び、当年の第2戦の上位チーム。

◯上記の上位チームの重複時は、第2戦結果から重複チームを除き、その上位チームから選出。各地域最低1チームは出場可。

4. 3月 駅伝日本選手権

上述した、大学、実業団、クラブ、高校らによる駅伝日本一決定戦。海外クラブの招待、市民の部門の開設。

【区間距離のイメージ】
 5-10-5-10-5-7.195
 (42.195km,6区間)

各都道府県陸上競技競技連盟との協力の下に持ち回り開催とし、マラソンや全国高校駅伝予選会などのコースを活用。

(参考)
本年7月末に、朝日放送が、2025年3月16日(日)に、ニューイヤー駅伝と全日本大学駅伝の上位チーム計20チームを招待して、「大阪・関西万博開催記念 ACN EXPO EKIDEN 2025」を開催する旨を発表。大会全容は未定だが、この趣旨を引き継ぐ。

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