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図書分類は知識のグラデーションのようで美しい

こんにちは、こんばんは。緑髪の広報担当です(@318bal)。

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唐突な話なのですが、私は大学生の時に大学図書館でバイトをしていました。
いろいろな業務があったのですがメイン業務は本の返却作業
返却された本を背表紙に貼ってあるシールの番号に従って返却するだけなのですが、図書館は地下2階+4階建てだったので、図書館中をたくさんの本とともに歩き回るのはなかなかハードな作業でした。

図書館でバイトをするまで知らなかったのですが、背表紙にある番号って図書館共通の割り振りがしてあるんですね。

ざっくりの分類がこんな感じで↓

■類目表(1次区分表:綱目表目次)
0類 総記
1類 哲学
2類 歴史
3類 社会科学

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もうちょっと細かくするとこんな感じ↓
上の「0類 総記」がさらに細分化されています。

綱目表(2次区分表)
0類 総記
 000 総記
 010 図書館・図書館学
 020 図書・書誌学
 030 百科事典
 040 一般論文集・一般講演集
 050 逐次刊行物・年鑑
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本屋さんに漫画コーナー雑誌コーナーがあるように、すべての図書館では上記のような大きな分類と、それを更に細かくした分類の仕方で図書が配架されているというわけです。
図書分類がわかりやすかった堺市図書館のサイト


■あるべき場所に本を戻す

で、冒頭の図書の返却業務に話が戻るのですが、この番号に従って本の返却作業は進んでいきます。

まずは返却された30冊の本を番号順に並べて、例えば1階に置いてある本が0類〜3類までだとしたら、000番台~300番台までの本を持って図書館1階をウロついて本をあるべき場所に戻していきます。
基本的に力仕事(本が重いし、なんか埃っぽい)なのですが、この作業がすごく楽しかったんです。

1類 哲学」で返却作業をして哲学やらキリスト教やらの背表紙を眺めていたはずが、いつの間にやら、「2類 歴史」でアジア史や地理についての背表紙を眺めている・・・。
本屋さんだと、漫画コーナーとビジネス書コーナーの境目には流石に気付くと思うのですが、図書館だとその違和感がないまま、気づけば次のコーナーに移動しているわけです。

グラデーションが緻密で曖昧で、序列ではなく自然な並びで、それはそれは美しい。すごく美しい。


■推し?7類ですね。

個人的には「7類 芸術・美術」が好きです。
(マニアックすぎるけどもうちょっと付き合ってください。)

大きな分類としては、芸術・美術。
細かく見ていくと、まず「芸術・美術」が来て(デザインもここに入りますね)、そこから彫刻や版画や写真というもう少し具体的な分類に。
そして、工学や音楽という形があったりなかったりする芸術に踏み込んで、演劇やスポーツという身体を使った文化に移ろって、最後は娯楽で締める。え??最高では?知識のグラデーション、美しすぎでは???

7類 芸術・美術
 700 芸術・美術
 710 彫刻
 720 絵画
 730 版画
 740 写真
 750 工芸
 760 音楽
 770 演劇
 780 スポーツ・体育
 790 諸芸・娯楽

もちろん、1冊1冊の本は図書分類なんて考えずに書かれているのに、この分類に当てはめて並べていくと、それはそれはいい感じになるんですよね。


■知識はグラデーションであって、区切るなんて野暮なんじゃないか

レオナルド・ダ・ヴィンチは医学も数学もなんでもできて、人体解剖から戦車作りまでなんでもやっていたと言いますが、この図書分類を思うと、研究ジャンルなんて後から人間が勝手に作ったものに過ぎないのではないかと感じます。
学問や研究というのは図書分類のように知識のグラデーションなのであって、「歴史研究」「芸術研究」といったように区切って考える必要は無いんじゃないか?

スティーブ・ジョブズも言うてます。コネクトドットです。
松岡正剛さんも言うてます。千夜千冊、キーブックです。

親・子・孫の3段階に構成されているのだが、それぞれが30〜80項目を構成する孫項目には、項目ごとに10冊前後のキーブックがぶらさがるようになっている。つまり「目次の目次の目次」を、ぼくなりの構想にもとづいてメタデータ化するマザープログラムになったのだ。ただし、まだ工事中である。『インターネットはいかに知の秩序を変えるか?』
(以下のサイトより抜粋)


■Balloon Inc.は、この美しいグラデーションを「聴く」雑誌としてすくい上げたい(とてもむずい)

Balloon Inc.では、毎号1つのテーマを決めて、ゲストの方にお越しいただき、あるテーマについて多角的に見つめて考えていくという試みをしています。本号のテーマは『浮遊するコミュニティ』
毎回、5つの質問をゲストの方にお伺いしています。
同じ質問をしているけれど、もちろん正解はなくて、ゲストの皆さんがそれぞれの視点から回答をしていただいています。
1つのテーマに対していろいろな回答があるというのは、ある意味、知識のグラデーションに通ずるところがあるのではないかなと個人的には思っています。

もし良ければ、知識のグラデーションをいっしょに楽しんでください。
あわよくばいっしょに面白いものを作りませんか?
まずは、こちらのバルーンチャンネルをチラミしていただけると雰囲気が伝わるかなと思います。


■おまけ

こちらは5つの質問を簡単に解説した説明回です。
「1970年代のグラノヴェッターの弱い紐帯の強さ理論、いまだに使ってるとか古くない?www」って私が解説をしています。



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