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舞台ダブルブッキングを観てきた話

Twitterでなんだかおもしろそうな舞台がやっているのを知った。2つの劇場で同時に幕が開き、キャストが劇場間を走って行ったり来たりして両方の舞台に立つらしい。そんなの絶対面白いに決まっている。即チケットを取り急遽観劇してきた。あまりに知るのが遅くシアタートップスでの公演しか観ることができなかった。きっと両方観たらさらに面白いんだろう。でも単体で観てもとても面白く満足感でいっぱいだった。ダウ90000ぶりのシアタートップス。やっぱりなんかこの劇場好きだなと思った。新宿の騒がしい街の中からふらっと非日常の中に入れる感じがするというか、演劇を観にきたぞという感じがすごくする。

開演前にスタッフの方がいろいろと説明をされていた。演者とバッティングしてしまうからトイレは済ませておいてという話や通路も演者が通るから荷物を置かないでおいてなど、自分達がいる客席や路上までもがステージの一部なんだと思うとなんだか面白かった。そしてなんと演者の皆さんは2つの劇場を行き来する時エレベーターを使わず階段を使うらしい。しかもどちらの劇場も建物の4階にある。

幕が上がると、聞いていた通り本当にいろんな人が舞台上に通路を通ってやってきた。あの階段登って来てるんだと思うとそれだけで尊敬しかなかった。4階から5階のトイレにいくだけで息切れしてた自分が恥ずかしくなった。

個人的に特にツボだったのはアザラシの密猟とかしてたおじさん。ふらっと現れてなんだこの人はと思っていたらバックグラウンドが面白すぎて一気に興味が湧いた。でもあの幼馴染のおじさんが柏木について本音で話していた時はなんか感動した。

お花屋さんが無理矢理連れてこられてお花届けなきゃいけないのに演じさせられてるのもかわいそうすぎて面白かった。お花屋さんの花を貰う側になってみたかったという言葉には考えさせられたけど、でもお花屋さんは自分の仕事に忙しそうに戻っていった。

そしてあの柏木という男。最初は自分勝手な人なのかと思っていたけどとにかく熱い演劇人だった。柏木の言いたいことも分かるけど、でもデニスホッパーズの仲間たちの気持ちもよく分かる。仁美ちゃんの「好きだからみんな怒ってるんだよ」が全てなんだろうと思った。そしてそれに気づいた柏木はもう大丈夫だろうと思った。振り回されてきたけど結局みんな柏木が好きだから怒ってる。なんかどれだけ近くにいても言わないと伝わらないことってあるんだと思った。

あと記者が仁美ちゃんに言っていた言葉が印象に残った。夢と言うけれどそれはいつ達成するの?何年後?みたいなやりとり。夢と言ってはいるけど心のどこかでどうせ叶わないって思ってるんじゃないかみたいなセリフ。
自分は役者じゃないから役者としての夢みたいなものはよく分からないけど、でも、誰にでもこういうのって小さくても大きくてもあるんじゃないかと思った。できっこないと分かってるけどやりたいとか言っちゃうもの。本当にやりたいんだったら本当にやるための道筋を考えて自分が心からできると信じられる状態を作って、自分が自分を信じてあげられないといけないのかななんて思った。

帰る時、お花屋さんが柏木にそれ飾っておいてと頼まれたお花がちゃんと受付に飾ってあって嬉しかった。
1階まで階段で降りて帰った。
いつか紀伊國屋ホールでの公演も観てみたい。


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