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テート美術館展-光-

2023.7.12 Wed. - 10.2 Mon.
新国立新美術館

空いてる美術館でゆっくり作品と対話が理想的な鑑賞なのですが、東京の美術館では中々難しいところです。
金曜日ナイトが比較的空いていて美術館の良さを味わえます。
私が行った時は大混雑で半分、外国人でした。移りゆく東京の姿を目の当たりにして『諸行無常‥』と念仏のように心に唱えるのでした。

光と影が作り出す世界の『光』にフォーカスした展示
光の色や量によって作り出された場に精神状態までコントロールする力があることは科学的に証明された事実です。

⚫︎精神状態を反映させた光の演出の絵画(作者のコントロールされた状態を見る)

⚫︎鑑賞者の精神をコントロールする作品
の両方を同展で見ることができるのは一方的ではなく興味深い試み

光にばかり注目するように仕掛けられた展示ですが『光と影』はセットだと再認識させる展示も

影は光を越えてはならない
越えられない

光があって影がある

〝ユダヤ教とキリスト教の信仰では、神は最初に光を創造したと伝えられています。〟(展示より)

非現実に逃避してしまいたくなるような過酷な現実があると影が光を覆って光が見えなくなります

光には/リアル、現実、肉体
影には/イメージ、形のないもの、精神
もしくは
光には/夢、希望
影には/現実

などが当て嵌まるのではないかと考えました。

〝旧約聖書と新約聖書で光は『善と純粋』を表し、暗闇は『破壊と悪』を意味します。〟(展示より)
どちらか一方だけが存在する世界はありません。
かならず光があれば影は出来ます。
全方位から光を照射し光の世界をつくっても、寄り強力な影の世界も同時に作られます。

精神世界にのめり込み過ぎて現実が見えなくなる場合があります。
影が光を越えてしまった状態です。
幸せを求める行為が「今、ここ」の現実を蔑ろにし、本当の幸せを手放すほどバランスを欠いた状態です。

これは比喩なので様々な場面に置き換えることができます。
心の幸せを求めて宗教にハマりすぎて家庭を壊す人。
お金に取り憑かれて一番大切なものがお金になってしまうこと。
辛い現実に希望を失い心を壊して命を絶ってしまうこと。
自分の利益ばかりに目が眩み他人を蹴落とすひと。
逆もあります、他人を思いやるあまり自分を大事に出来ない人。
本当の大切な事はなんなのか、美しい光の表面に惑わされず本質を掴む。
闇の部分からも目を背けず受け入れる。


美しい光の効果に恍惚状態で居続けるのは不可能な事です。この世を肉体を持って生きるということは両方のバランスを保ってより良い光の方に進むというのが理想論。
影の部分から目を背けては生きられない
影も物事の一部
影の部分とどう向き合っていくかが光のコントロールに欠かせないのです

アンバランスな存在、もがく人間
だからこそ美しいものに魅了される。
光は人を導く力の象徴。
そんな精神論を抱いたLight展でした。

太陽光の神々しさはいつの時代の人間も浄化
影があるから光が美しく映える

しかし、影もまた美しい‥

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