2024/06/18 僕はお金持ちだから有料特急

さあて帰省して二つの夜を超えた。時間の流れはとてつもなく早い。
昨日は昼まで眠って、メシを食うだけという昔話の王子でも、ここまでらくちんには過ごしていないことだろう。

なんとなく9時くらいに目が覚めた。どうせ大雨で外には出られるまいと昨晩は遅くまで起きていた。もうひと眠りしようかしらと思ったが、目が覚めて目を開いたすぐのところに窓がある。その窓からは雨が降っているようには見えなかった。うっすら曇っており、むしろ晴れていると言っても良い。

むむっと思い切って起きた。すぐに支度して、9:30には家を出た。かつては父と母、二人の姉と私の分で5台の自転車があったものだが、今や実家に自転車は父母兼用の一台だけである。
その自転車をかりて、懐かしい景色を走って回ることにした。まずは中学校までの通学路をじゃりじゃりと自転車のチェーンを鳴らしながら走る。ちょっと中学校とは道をかえて、川沿いに向かう。この川は私が小学生のころから泳いだり、釣りをしたりと自由自在に過ごしたもんである。懐かしい川である。
中学校の前を走って、今度は高校の方面へ向かう。ここらになると日も照って暑くなってきた。コンビニでコーヒーとタバコをのんで一休み。さあ、暑い中、高校の方へ向かう。道中、かつてはずっと工事していた道が開通し、きれいに舗装された道になっていたのを見つけた。これは通っておこうと、ギアもアシストもない自転車をぎーこぎーこと走らせる。すこし勾配になった道はとても辛い。車は気持ちよさそうにびゅんびゅんと走っていく。果たして、この町は車社会である。歩いている人も自転車の人も少ない。こんな暑い中汗をかきながら自転車を漕いでいるのは私くらいのもんだ。

高校の前まで来た。高校のすぐ近くには瀬戸内海があり、それに沿って道がある。この道を野球部は尋常じゃない回数を走っていた。嫌な気持ちも蘇るが、このマラソンロードを走ってみようかしらと思う。
じゃりじゃり漕ぎながら水の中を覗けば、かなり大型のクロダイがたくさん泳いでいた。へえ、こんなにたくさんクロダイがいるんだな。もっと時間をとって釣りをしに来ればよかったと思った。さあっと海風を感じながら自転車を漕いで、あんなことがあったなこんなことがあったなと思い出す。
思い出すとともに、こんなに思い出ばかりに浸っていれば魔が差してしまうのではないかという恐怖感も生まれてきた。自分のやりたいことと、この町の平和さを天秤にかけてしまおうかと思い出してしまう自分が恐ろしい。私は魂を東京に売ったのだ。なにも考えることは無い。ここはここで、ただそれだけだ。

ぐいぐいじゃりじゃりと道を進む。帰宅すれば、およそ1時間30分自転車に乗っていた。11時ころに帰宅した。あとは帰り支度をして東京に戻るだけだ。

18:50の成田行きの飛行機を取ってある。16時ころに家を出ればいいのだが、やることが思ったよりも早く終わった。15時ころに家を出ることにした。広島駅までは母に運転してもらってずんずん行く。途中で持った来た服やらなんやらを郵送しておいた。これくらいがちょうど良い。広島駅でもみじまんじゅうを3箱買っておいた。誰に配るかは特に決めていないが、まあなんとなくお配りしようと買っておいた。
高速バスで広島空港へ向かう。到着したのは17時過ぎくらい。まだまだ時間がある。展望室を見たり、空港に入っているロイヤルホストのメニューを見たが、特に惹かれるものもなかったので、保安検査を通ってしまう。何をしようかな。
まだ人も全然いないので、カバンを空いたベンチに置いて、売店をうろうろ見渡す。売店で広島の(準?)名物である「がんすのおにぎり」があった。これとウインナーおにぎりとアサヒスーパードライの500ml缶を買ってゆったり立ち飲みを楽しむ。

酒をゆったり飲んでいれば、カバンを置いた時には空いていたベンチが人であふれてしまった。外国人女性がカバンを動かしたり、自身のカバンを私のカバンに立てかけたり、どかすにどかせない状況になってきた。
喫煙所に隠れて搭乗時間を待つ。さて、ようやく飛行機に乗る時間である。

座席について、ゆったり過ごして間もなく離陸する。眠ったり眠らなかったりしていたら、まもなく着陸となる。予定時刻よりも10分早く成田に着くようだ。大雨の影響で風でも強かったかしらと思っていたら、通路を挟んで隣の席の女の子がどうしてもおしっこがしたいとキャビンアテンダントさんを呼んで、長い交渉の末、おしっこに立っていかれた。
飛行機に慣れていない人が多い機内ではこういったトラブルはままある。斜め奥の外国人のアベックは飛行機が飛んでもどうやら通信をしていたし、目の前の席の外国人アベックは席を入れ替わって見たり、チュウをしてみたりやりたい放題である。

成田に20:30頃に到着して、早く帰りたいという気持ちが強まる。15分後の電車に乗れなければ23時を回って帰宅することになる。成田は普通に便が悪いのだ。
急いで預け荷物を回収する。今回の規制のもう一つの目的であるアルトサックスの回収も無事済ますことができた。これで、私は晴れてサックス奏者見習いである。
急いで駅に向かう途中、やたらと入れ墨の入った金髪の若者がたくさんいた。治安が悪いなあ。見れば皆、関西空港のお土産袋を持っている。ああなるほど。恐らくはホストクラブの慰安旅行で関西に行っていたのだろう。ホストクラブは昔気質な文化が残っている業界だ。こういった社員旅行的なことをよくやっている印象だ。
かくいう私も実は大学時代に・・・・。という話しは今日はやめておく。

さあて15分後の電車は逃してしまった。どうしようかな。次の電車を待つと、30分後とかになってしまう。何かあるかしらとあたりを見渡せば、どうやらスカイライナーという有料特急に乗れば、21:40ころに日暮里駅に行けるようだ。あまりにもへとへとだからこれに乗ることにする。
まわりは外国人だらけである。酒を飲んでおおきなげっぷを発するものなど、やりたい放題だ。これが円安の影響というやつか。

予定通り日暮里についた。22時少しすぎには帰宅することができた。当然ながら晩御飯はないので、冷蔵庫に入れっぱなしだった野菜を使って味噌汁と野菜をチーズと塩コショウで蒸し焼きにしたものを支度した。空港でおにぎりとちょっとしたたんぱく質をとっていたから、これくらいの野菜料理がちょうど良い。

0時すぎに眠ることができた。やれやれ。これにて6月のやるべことのおおよそは終わった。うわ~~~つかれた~~~~。
でもあらためて海沿いの町が自分にあっていることを実感した。今の家は来年に二度目の契約更新がある。それを機会にうまいこと海沿いに引っ越せないか考えている。でも今の家が東洋館から近くてたいへん居心地が良いから考え物だ。やはり家賃激安物件×2の二拠点生活がちょうどいいのかもしれない。海沿いの物件には本やらなんやらの漫才のための道具を置いておけば、事務所兼倉庫として使えそうである。かんがえよ~っと。

今日面白いと思ったことは「空港で飲むお酒はかなりおいしかった。成田空港の待合室もとても居心地が良かったので、また行こうと思う。全国地各地で酒を飲む。」


こんなつらい人生。ここに空き缶を置いておきます。