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パラサイト〜半地下の住人〜が面白かったので、軽く振り返る。

まず、この作品は何も頭に入れていかないほうが絶対面白いので、多くは話せません。なので、皆さんも話さないようにしてください。とりあえず、監督さんのことは後で話すので、紹介を。

ポン・ジュノ監督:『グエムル 漢江の怪物』や『殺人の追憶』などを代表作としている。

今回は軽い紹介とネタバレ有りの感想の2本立てで話します。

ーーーーーーーーーーーー簡単なあらすじーーーーーーーーーーーーー

キム一家は家族全員が失業中で、その日暮らしの貧しい生活を送っていた。そんなある日、長男ギウがIT企業のCEOであるパク氏の豪邸へ家庭教師の面接を受けに行くことに。そして妹ギジョンも、兄に続いて豪邸に足を踏み入れる。正反対の2つの家族の出会いは、想像を超える悲喜劇へと猛スピードで加速していく……。(Yahoo映画より)

といったように、貧しい家族たちの話です。彼らはアパートの地下(少し地上が見える0.5階くらい)に住んでいます。地下というものは単に貧しいということや、下層階ということで「カースト下位」ということにも捉えられます。また、海外留学に行った友人がホームステイで地下の寝室を使っていたと聞きました。なので、「地下」というものは普段使われない階ということだそうです。

この物語は不安感を感じられるポスターからサスペンスと考えられるかもしれませんが、実際はスマホで脅したりWi-Fiが入らなくて苦悩するなどしょうもなくて笑えるシーンも練り込まれています。また、家庭教師先で恋愛に発展したり、様々な家族から家族愛の様々な形があって『家族映画』の側面もあります。これはポン・ジュノ監督の作家性が出ていて、過去の作品でも見られます。

あらすじでは今作のテーマが「貧富の差」と思い込んでしまうと、作品の中に散りばめられたブラックコメディな笑いや細かなメッセージに気づけないように思ったので、そこに注意して広い視野を持って観るのが楽しめるように感じました。

ーーーーーーーーーーーーーーーネタバレ含ーーーーーーーーーーー

今作も2部作構成なように思いました。1部では主人公たちの家族が豪邸の使用人たちと入れ変わっていくところ、2部では元の使用人の1人が屋敷の地下に旦那と住んでいたことが発覚して主人公たちが弱みを握られてしまうところ、2点が物語の軸になっていたように思います。

1部では知恵を絞って、時には嘘をついて策略的に仕事を得ていくクライムサスペンスのような楽しみがありました。話術がうまくて勉強がそこそこできる兄、コンピューターに詳しい妹、だらしない父母といった数人のキレ者と愚者である家族が構成されています。そんな彼ら、無職から身分や身なりが変わっていくのが1部の面白みだったと思います(ただ、変われなかったのは「匂い」という点で、これは映画全体のテーマにもなってます)。

ここでポイントなのは「お金持ちになる」ということは多くの人からお金を集める方法または、お金を多く持つ人から直接的に集めるといった方法があるかと思います。主人公たちの家族はタイトルの通り「パラサイト」のように富む者から仕事とお金をもらっていきます。この方法は汚いように思えますが、会社員の多くが多くのお金を動かす企業から分けてもらって生活をしている現状かと思います。就職活動で自分を売り込むために、大げさな自己紹介をした人などに刺さるのではないのでしょうか。

2部では秘密を握られてしまい、2つの地下家族の攻防戦になります。その際に使われた武器が証拠を録画したスマートフォン。文書や現物の証拠なら迫力があるように見えますが、証拠となる動画を巡って戦いになるのはなんだか滑稽に見えました。また、送信ボタンを北朝鮮の核ミサイル発射のようだと話して、北朝鮮のニュースキャスターのモノマネをし始めたからどんな気持ちで見ればいいのか困惑してしまいました。主人公たちにはうまくいってほしいと思う一方で、冷静に見ればどちらも社会的に悪いことをしている立場だからどっちが救われてなくてもいいかなって思ったり…

最後に僕が『パラサイト』を観て思ったのは、軸として描かれているのは「貧者はいつまで経っても貧者のままなのか」ということです。主人公の家族4人は「同じ匂いがする」と指摘されるシーンがあります。4人の絆の強さを感じられる一方で、身なりや言葉遣いを努力して変えても地下暮らしで染み付いた「匂い」は「貧者の証」として彼らの人間性にも染み付いたものなのかもしれません。終盤の主人公がパーティを遠目に観て、「自分があそこの場にふさわしい人間か?似合っているか?」と悩んでしまい、結局溶け込めませんでした。ずっと貧しい暮らしを続けていると、本当に変われなくなったり、自分の人間性にさえも「匂い」が染み付いてしまう。自分にもどこかに溶け込めない「匂い」を発しているかもしれない。

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主に旅費、活動費になります。たまに、映画の観賞にもなったり。