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「UIトレース」だけではUIデザイナーになれない理由

この記事は、UIデザイン学習者に向けて、UIデザインの勉強方法について思うところを書きました。

「UIトレース」に欠けているもの

UIデザイナーになるための学習方法として、「UIトレース」というものがあります。その言葉通り、既存アプリのキャプチャを撮って、そっくりそのまま再現した画面を制作するというものです。

デザイン学習の最初の一歩として「デザインツールに慣れる」とか「UIコンポーネントの種類や用途を知る」ことを目的に行うのであれば良いと思うのですが、UIデザイナーを目指す場合には、このやり方だけでは決定的に足りないものがあります。それは、「人との関わり」です。

「人との関わり」が必要な理由

そもそも、なぜ「UI」をデザインする必要があるのでしょうか?それは、製品やサービスの提供価値を利用者に届ける道筋をつくるためです。もっと言えば、その価値提供を持続的に行う事業を営むことで、経済を成長させ、人々の暮らしを豊かにしよう、という背景があります。

よって、UIデザインという仕事の周囲には必ず“人”が存在します。例えば、ユーザーがいて、企画者がいて、開発者もいて、経営者もいて、株主もいます。そういった様々なレイヤーの人々の関係性の中に「UI」は存在しているのですから、以下のような問題をひっくるめた丸ごとすべてと向き合う必要があります。

  • そもそもユーザーは何に困っているのか?

  • 企画者はそれをどう解決しようとしているのか?

  • 開発者はそれを実現可能か?どうやって実現するのか?

  • 経営者はどのようにそれを持続・成長させるのか?

一方で、「UIトレース」は、現実世界からただ“画面”だけを切り抜きます。それはつまり、人との関係が断ち切られた仮想の環境でUIデザインを行うことを意味します。そのような行為は、もはや「デザイン」とは呼び難く、表面的なスタイリングであると言えます。

どうすれば良いのか?

では、UIトレースをやめればいいのか。代わりに何をやればいいのか。

はじめにも書いたとおり、UIトレース自体は、目的によっては良いアプローチです。よって、UIデザイナーを目指す場合には、それに加える形で、人との関わりを持ったUIデザインをすることをお勧めします。

例えば、企画者を見つけてUIデザインするとか、実装者を見つけてUIデザインするとか。それらが難しいようでしたら、自分で企画して自分でUIデザインするとか、自分でUIデザインして自分で開発するとか、1人で何役かを担う形でも、何もやらないよりかは良いと思います。視点が変われば気づきがあります。

デザインは人と人との関わりの中にあるものです。1人で黙々とやる勉強があっても良いですが、人との関わりの中で取り組むUIデザインにもぜひ挑戦してみてください。

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