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アンパルの自然を守る会主催石垣島に急激に進む開発現場を巡るツアー

アンパルの自然を守る会のFacebookページの投稿より転載の許可をいただいて掲載しています。

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アンパルの自然を守る会
2017年11月12日 ·
【ご報告】
2017年9月24日
「急激に進む開発現場のツアー」を実施しました。

アンパルの自然を守る会 山崎雅毅

「アンパルの自然を守る会」は「急激に進む開発現場のツアー」を9月24日に実施しました。多くの参加者は、石垣島がどうなってしまうのか心配して参加されました。要所々で、島村、谷崎両氏による植物、地質等についての解説があり、自然破壊の現場を見る「楽しくない」ツアーが「充実感」のあるツアーに変身しました。

回ったコースは、冨崎リゾート→前勢岳ゴルフ場&リゾートホテル→川平、マリオットホテル&スパ→米原・高級会員制リゾート→桴海・温泉&ホテル→野原崎・リゾートホテル→白保・リゾートホテル→宮良(空港アクセス道路)・旧大浜町上水設備→平得・自衛隊ミサイル基地予定地です。

出発するとき「開発とは自然破壊そのものだ」、という参加者の発言がありましたが、まさにその通りの現状でした。

完成すれば見た目は立派なゾートホテルとなり、南国らしい植栽を整え、観光客を「満足」させるのでしょう。しかし多くのリゾートホテルは、海岸に作られますから、海と陸の自然な関係を失い、必ず海の自然を壊します。

たとえば、冨崎の浜の海ガメの産卵はすでに激減していますが、さらに2倍以上の広大な樹林を壊しホテル増設工事中です。

前勢岳の北側に降る雨はせき止められ、アンパルに流れない計画です。汽水域は海水と淡水のまじりあう環境です。淡水が少なくなれば塩分濃度が上がり、生態系も変わります。さらに海と川が断絶され、自然度豊かな場所は土砂で埋まり、または水没させられます。

米原の海が守られてきたのは、背後の於茂登山系と海岸林が健在だったからです。海岸林が根こそぎにされれば、緩衝地帯としての機能を失います。サンゴも「青の洞窟」も変質していくでしょう。

白保のアオサンゴの生息する海の直近に大型リゾートホテルができ、その排水がアオサンゴの海に流れ込みます。いくらBODを下げても影響なしと断定できる科学的知見はありません。アオサンゴを失ってから騒いでも後の祭りです。

旧大浜町の上水設備は、歴史を語る重要な遺産です。於茂登岳の水源から密林の中を引いてきた人々の労苦と技術力を、子どもたち伝えられる絶好の教材です。廃屋、古びた設備、配管に過ぎないと思うのか、先人たちの血と汗の遺産と思うのかの認識の差です。

自衛隊基地予定地が、名蔵川と宮良川の分水嶺です。軍事基地は「秘密の空間」ですから、そこから何が流れ出すのか市民は知ることはできません。などなど問題は限りなくありました。

現在、石垣市にはホテル、旅館3,062室、民宿398室、その他608室(H26年12月31日現在)があります。報道によれば、さらに2,000室を超える宿泊設備が計画されています。こんなに増やしてよいのかという議論は関係業界から聞こえてきません。
弱い地元資本の企業は淘汰されるのでしょう。

さらに疑問に思ったことは水の問題です。全く足りなくなることは明らかです。そのために、白水(アンパルの源流)で大量の取水計画を立てています。アンパル=生物多様性の宝庫を守ることは全く考慮されていません。石垣市は、アンパル保全案を2年計画で作成しようとしていますが、小手先の策で何とかなる次元を超えています。
石垣島固有の「生物多様性保全地域戦略」を本気で作らないと、石垣島は滅茶苦茶になってしまいます。(生物多様地域戦略については後日論じます。)

直前に(中略)逮捕のニュースが飛び込んできました。私たちは、いつかこういうことが起こるだろうとうすうす感じていました。ゴルフ場をめぐる暗闘の結果としての今回の逮捕劇を、自然保護の観点からどう見ればよいのでしょうか。伊原間牧場(国立公園)、前勢岳(市民の山)の2か所とも環境省や沖縄県が「自然度の極めて高い場所」と認定しています。市長も逮捕された面々も石垣島の自然を守ることについて一切言及せず、着々と開発を進める自然破壊者です。大浜町の上水設備を保存しないことを決めた教育委員会も市長任命の委員たちです。景観地区、風景づくり条例を骨抜きにする市長らの危険な企みも徐々に進んでいます。

自衛隊ミサイル基地に反対する署名が15,000筆にもなろうとしていることに「危機感」を持った市会議員が「お花畑の平和ボケ」とかいう侮辱発言をしています。
しかし、外資を含めた企業家たちは、こんなに大量のホテルを石垣島に建設しようとしているのです。利にさとい彼らは「尖閣危機」は致命的な事態を招かないと「現実的判断」をしているからだと思います。一発銃声が発せられ、日中双方にけが人や死者が出れば、石垣島観光は壊滅します。大金持ちの企業家たちは「アメリカと中国は尖閣を巡って戦争はしない、できない」と踏んでいるということでしょう。そうでないと、巨額の投資がすべて無駄になるのですから。
自衛隊ミサイル基地建設が、尖閣のためにあるのではないことが、この一事を見ても明らかで、アメリカの中国封じ込め戦略(オフショア作戦)の片棒を担ぐためです。そんなことも、今回の「開発現場ツアー」から透けて見えてきました。

石垣島の自然保護団体結成は急務です!

私たちは危機に瀕する石垣島のために「自然保護連盟あるいは協会」のような団体を設立したいと考えています。石垣島全体の自然を過剰な開発から守るための調査、研究、行動する組織です。
開発をすべて止めるわけにはいきません。しかし、最小限の開発をしながら、石垣島の生物多様性を保全し、豊かにしていくことは可能です

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