書評 たそがれ清兵衛 映画は看板にイツワリあり。。

五十路のおじさん、ばっどです。

たそがれ清兵衛
藤沢 周平

時代ものの超人気作家、藤沢氏の短編集。
著書は何冊か読みましたが、ハズレなく安定の面白さ。

この本の各お話の共通点は、日ごろはさえない侍が実はかなりの遣い手で、それを軸にしたお話というところ。
短編だけにどのお話も言葉のそぎ落としがきいていて、主人公の剣の腕同様、切れ味抜群です。

この本にたどり着いたのは、同名の映画が人気だったから。でも映画は見てませんでした。
本を読んで面白いやん!ということで後日になってから映画を見たところ「え?」となったのです。
「たそがれ清兵衛」ではない・・・。映画のもとになったお話は「祝(ほ)い人助八」というお話だったのです。

祝い人というのはいわゆる「乞食」のことで、主人公がある事情から生活がものぐさになって、身なりにも構わなくなった結果ついた仇名。
ある理由で離縁となり実家に戻った、美しい幼馴染をトラブルから救ったことがきっかけで、藩のトラブル解決に命懸けで当たる羽目になります。

この話、とにかく何度読もうがラストで泣けます。知ってても泣けます。
(個人の感想です)
世の中にいくつかある、そういうお話だったり音楽のうちの一つです。

もうメジャー過ぎて今更おじさんごときが推すまでもない本ですが、読書を楽しみたいならはずれのない一冊としてお勧めできます。

件の映画ですが、何も知らずに見れば良い映画だったと思います。
が、いろんなギミックがもりもり、ラストも要らん尾鰭がいっぱいついていて、話が違うやんということと+too muchなところで、個人的には世の評価ほどには楽しめませんでした。

映画を見てから読めば、また違った捉え方になったと思うと、ちょっと損した気分ではあります。。。

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