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書評 ケインとアベル 本格的物語読書の入り口

五十路のおじさん、ばっどです。
初回はまだ本を読めてるんだかわからない時期の本でしたが、2回目は今に通じる「読書」の入り口と言っていい本。
これもまた現物が手元に。

ケインとアベル (上・下)
ジェフリー・アーチャー
永井淳 訳

これも35年前の本。
今も同じお話は売っていますが、値段は当時の倍です。

名門出身のエリート実業家 vs ポーランド移民から成りあがった実業家の対決が物語の軸。
稀代のストーリーテラーと言えるアーチャーは、英国社会が舞台の作品が多いのだが、これはアメリカが舞台。

とにかくどちらの主人公も波乱万丈で、読んでいて飽きることがない。冗談抜きでほとんど中弛みするパートがないのだが、それでもメリハリがついている。
そしてその作品性は(自分が読んだ)すべての著作において共通。どうしたらこんな話が、これだけ書けるのか??

そういう原書の面白さがあってこそだとは思うが、とにかく訳者の永井氏の仕事がイイ。ニュアンスがビンビンに伝わってくる訳は、訳の域をを超えていると感じる。
氏は2009年に亡くなるまでアーチャー氏を一貫して担当。
没後に引き継いだ戸田裕之氏も良い仕事をしており、アーチャー著作は最近の作品も安定の面白さを維持しています。

とにかく面白い話が読みたい、時間を忘れて読書に没頭したい。
そんな時、手に取ってほしいのがアーチャー作品。
個人の感想ではありますが、新潮から出ているアーチャー作品を読んで、読書好きなら99%の人が面白いと感じるはずだと思ってる。
好みかどうかは分かれるかもしれませんが、そんな作家さん(そして訳者さんとのペア)というのが、自分の評価です。

クリフトン年代記以降の作品は未読。それはこれからの楽しみです。
アーチャー氏は2024年2月時点で存命(84歳)。もしかするとまた新作が出ることがあるのだろうか・・・


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