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”ソモソモロンパ”に走る人の誤解〜”そもそも”の距離感の話し〜

「そもそも論」に走ることを僕は心の中で「ソモソモロンパ」って呼んでいる。論破って人の理屈を別の理屈でマウントとってねじ伏せる感じがする。正直好きではない。ある意味正しい論破として"論破王 ひろゆき" さんのとも全く違う。
ここで言うカタカナ表記の「ロンパ」は正しくは論破じゃない。
もちろん「ダンガンロンパ」でもない。

■論を破壊するロンパ

発する人の理屈や仮説はなく「そもそも」って変に便利な呪文で「議」を「壊」する。この「ロンパ」は、よく使われる「論破」ともまた違って根こそぎ議論を破壊してしまう厄介なものと考えている。

論破って言葉自体も好きにはなれない。でもそれ以上に議論の場で大袈裟な「そもそも論」を繰り出してくる人はホントに大嫌いだ。大っ嫌いだ!って2回言ってやった。

そういう人は「そもそも」を波動拳くらい軽く繰り出してくる。間合いを詰めて投げ技なんかは絶対やれないタイプ。
やめろっ!遠くから波動拳だけで削ってくんのっ!って思う。

僕の気持ちとしては、「そもそも」ってラピュタ(ラピュタ万能説)で言うところの「バルス!」と同じくらい使って欲しくない。だってそれ言ったら話しが崩壊しちゃって天高く昇って行ってしまうよ…
実家の暖炉の後ろにでもしまっておいて、なるべく出さないで欲しい。暖炉ないだろうけど。

■「そもそも」って、そもそも何だ

そもそも【抑】
㊀《名詞》〔物事の〕最初。初め。第一。〔副詞的にも使う〕用例(島崎藤村・森本薫・永井荷風)
㊁《接続詞》ある事柄を説き起こすときに使う語。いったい。そも。用例(中村真一郎)
《参考》「そも」を重ねて強くいう語。
広辞苑より

さすが広辞苑。なんだか書き方が難しくて分からん…
他のweb辞典なんかも含め、少しかみ砕いた説明にするとこうだ。

「最初」や「初め」って名詞的な使い方、「もともと」のような副詞としても使う。その他「さて・いったい」という接続詞でも使える。
そのような用途から話のすり替えに使われることも多く、それが過ぎると会話が先に進まなくなることもある。

●知らず知らず話しをすり替えている

使う側はたぶん副詞的に使っているつもりで、知ってか知らずか「話のすり替え」が起きてしまっていることが多い気がする。
すると「会話が先に進まなくなる」という「ロンパ」が起きる。
説き起こすことを度々やってしまうと話しが全然先に進まない。


■会議で「ソモソモロンパ」が起こると


「そもそも会社の方針次第じゃない?」みたいなこと平気で言う人いませんか?

こういうタイプ、一番嫌い。
本人は「オレ、核心ついちゃってるから」って心なしかドヤって感じ出てるし。そもそも、君を呼んじゃった僕の間違いだったね…

『そもそも、”そもそも”で話し始めちゃったらそうだろうよ!』と僕は思う。そもそも返しっ!

結局、何を議論しようがこの理屈って、
「そもそも国の方針次第じゃない?」の類、”それを言っちゃあ おしめえよ”(「男はつらいよ」寅さんのセリフより)なのである。


●実はアレルギー反応なんじゃないか説


その考え方って結局「話しのすり替え」が起きているだけ。低レベル過ぎてこれっぽっちも議論になってない。もっと言うと”責任転嫁”の類だと思う。

今集まってるメンバーで議論すべきこと。この時間、この面子で求める結論に迫っていく努力は必要。ここで結論に至れなかったとしてもいいし、まして何かの責任を背負えとも言ってない。

この場合、何がすり替わってしまったのか?

「会議の目的」 → 「会社の方針」?
何がすり替わった?

に話しがすり替わったようにも見える。でもどっちか言うと

「会議の議題」 → 「その責任の所在」
責任取ってなんて言ってないよ

「そもそも」を言い出すきっかけとして↑のようなすり替わりが起きているように思う。だから責任転嫁(防衛手段)に出てしまったような…ある種、過剰な免疫反応、つまりアレルギー反応のようにそもそもが出ちゃう。

自分が思うにこれを言う人は悪い人でもないし、悪気もない。
今回の例の場合は、「責任アレルギー」って症状ではなかろうかと思う。


●お上に責任転嫁する人の誤解

ミッション概念図

前にミッション、ビジョン、バリューについて書いた。
その際にこの概念図も軽く説明したと思う。

●「そもそも会社の方針次第」は間違じゃない

そもそも論者のおっしゃる会社の方針は確かに大事。それは間違ってない。
でも抽象度レベルが違ってて、そこを勘違いしちゃってるのが問題。

図の上の方「上位概念」に行くほど抽象的な内容になって行く。
ミッションやビジョンの文面を見れば分かりやすいだろう。
この記事で言っている議題は、たいがい戦術~戦略の「下位概念」の話し。

なぜなら、そこから上は役員レベルにまで人数制限をかけないと収拾がつかない。上位概念に行くほど抽象化し、かつそれを考える人数も絞り込まれていくもの。

戦術~戦略を考えるのに上位概念を巻き込まれちゃ困る。そんなホイホイ変えられるものでもないし。逆に上位概念と全く関係ない戦術、戦略を立てちゃうのは論外…

上位概念はあえて抽象的な形になっていて、柔軟性を持たせてある。
戦術~戦略はそこを柔軟に捉えて作れるようにふり幅が与えられているはず。そこを逆手に取って、それぞれの概念レベルに即した考え方をして欲しいっていうのがこの概念図の言わんとしているところ。

必然的に抽象度もこの概念レベルによって異なってくる。

先程の会議の話しは、その概念レベルで具体的に結論を導き出さなきゃいけない。まずは、その具体的な結論が先。それを上位概念に変換した時に、初めて「そもそも」を考えなきゃいけないのかどうか?が分かると思う。

順番を間違えると話しは一向に先へ進まない。

そこを理解できていれば「そもそも論」は出さなくて済むのだが、ココの誤解が問題の根本なんだと思う。

■いい「そもそも」の使い方もある

一応、誤解のなきよう。
全ての「そもそも」が関係なくNGワードだと言っているのではない。

「そもそも」って言った瞬間、スパンッ!ていい音の鳴るスリッパで叩かれるように思わないで欲しい。

先程の上位概念みたいに「遠投そもそも」が良くないという話しだ。抽象レベルが違うし、いちいち外野ばかりに投げていたらゲームにならない。
内野で回す分には良い昨日を果たしてくれる言葉だったりする。

同じ概念レベルで使えば、話しの本題とズレた時なんかには有効だ。

「そもそも、この会議の目的って何だった?」

みたいに、近距離で説き起こしをする分にはイヤ味は無いし冷静さを取り戻すような効能もある。
「ソモソモロンパ」ではなく「ソモソモアタマダシ」っていう感じだ。

要は“用法容量を守ってお使い下さい”なのだ。

「もともと」「さて」「いったい」とか、別の言葉も使ってそもそも論者と思われない回避策もある。

話しを壊してしまう「ソモソモロンパ」しないように気をつけましょう。

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