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猫の毛で作る猫毛ボール~ぬん毛を求めて~

こにちはぬん。ベビだす。
こ、って打つだけで「こにちはぬん。」が予測変換で出るのは有難いね(なんのこっちゃ)。

わたしは物書きであると同時にハンドメイドも好きだ。
書く事を再開するよりも前、時間のある時などは人形をカスタムし、販売もしていた。

そんなわたしがここ数カ月で行っている、『自らのお手手のみで出来る文字通り100%ハンドメイド』を紹介しよう。


羊毛フェルトという言葉や、羊毛フェルトで作る○○など、見聞きしたことのある方も多いと思う。
なんとそれは、犬や猫の毛でも可能なのだ。
それ自体は既知であったが、身近に「ペットの毛で何かを作っている」人をわたしはある時まで見たことが無かった。
話は昨年に遡る。

ある日、職場の上司に話しかけた際だった。
何の用で話しかけたのかは覚えていないが、上司はわたしに問われた件によりデスクの引き出しを開ける必要が生じた。

その時、おベビは見てしまったのである!!

上司のデスクの引き出しの中にある、こんもりとしたデカいマリモのような存在を!!

犬や猫と暮らすおベビは、それがすぐに「ペットの毛で作ったボール」だと一目でわかった。

そのマリモのごとき存在は、野球のボールどころかソフトボールくらいの大きさがあった。
長い年月をかけて少しずつ継ぎ足され、形成されてきたものだとそれは訴えていた。

「それ、ご自宅の猫ちゃんの毛で作ったんですか?」
と問うてみると、猫を飼っている上司は嬉しそうに笑って
「そうなんです、ブラッシングしたり、撫でて毛がたまった時に集めて、十年くらいかけて作ったんです」
と実に嬉しそうに答えた。

十年……!!!


たしかに、ソフトボール大の大きさのボールを形成するには、それくらいの時間がかかるのかもしれない。まして上司宅の猫は、一匹のみである。
職場のデスクの引き出しの一番上に入れているくらいなのだ、さぞかし愛情をもって集め、作り上げ、大事に思っているに違いなかった。

わたしが猫毛ボールの件に触れたことを快く感じたのか、上司は引き出しから猫毛ボールを取り出し、わたしの手に渡してくれた。
わたしはそれを受け取り、手に持ってみた。

軽いのにめっちゃ硬い!
とてもしっかりと目が詰まっている。
ふわふわなものを連想していたわたしは、更に感嘆して上司に聞いた。


「これ、よくある羊毛フェルトをチクチクするニードル(針)とかでツンツンして作ったんですか!?」

「いや、違うよ~。ひたすらに手でこねて丸めただけなんですよww

なんだと……。
ああいうのって、よく百均とか手芸屋さんで売っている、いわゆるニードルでツンツンしなきゃいけないものだと思っていた(もちろん、複雑な形を形成するためにはニードルが必要だと思う)。


だがしかし上司の話によれば、「毛が集まっては足していき、ひたすらにこねてきた結果、十年経ったらこうなった」らしいではないか!!

軽いが、とてもしっかりと硬く丸くなった猫毛ボールに、わたしは上司がどれだけ自宅の猫を愛しているのかを見た気がした。
十年かけて作ったという歳月にも。それを職場のデスクの一番上の引き出しに入れているという事実にも。

そして、猫毛ボールはガチのハンドのみで作れるという情報を、わたしは忘れなかったのだ。


以来わたしは、うちの猫たちをブラッシングしたり撫でたりしたときに、気が向けば毛を集め始めた。
いつもではなく「気が向けば」のため、猫が五匹いる割に猫毛ボールは鼻くそ程度の大きさからスタートを切った。

もちろん、犬毛フェルトも作れる。
なんなら換毛期になれば体の大きな犬の方が毛の収穫量は多いだろう。
が、猫毛の方が細く柔らかく「手のみで」丸めやすいため、わたしは上司に倣って猫毛ボールを育て始めた。

執筆の合間に休憩したいときなど、その辺で寝転がっている猫を撫でる。
猫毛が抜ける。
猫毛ボールに足して、指先でこねこねする。
そんな数か月を送ったが、わたしの猫毛ボールは鼻くそサイズからあまり育っていかなかった。

比較的黒い毛の部分が多い鈴や月から毛をもらった時は、猫毛ボールの外皮が黒くなる。
パソコンラック下の引き出し部分には、黒い鼻くそサイズの猫毛ボールが鎮座していた。

そんな折、久々に猫毛を大量に収穫する機会が訪れた。

仕事から帰宅すると、エアコンつけっぱなしの涼しい部屋の中で琥珀(ぬんちゃん)がスヤスヤと眠っていた。
わたしは何気なく、眠るぬんを撫でた。

すると、ごそっと抜けたのである。

これは猫毛ボールに加算するしかない!!
シールポイント柄のぬんの毛は、混ざると良い感じのモカ色とホワイト色のハーモニーを奏で、それはそれは気品があった。
わたしは真っ黒い鼻くそサイズの猫毛ボールにぬん毛を加算し、こねた。

するとその結果。
なんと、黒い鼻くそとぬん毛が微妙に分離し、帽子をかぶったドングリのようなものが出来てしまったのである。

イメージ画。
こんなやつが出来てしまったのです。
上の帽子部分がぬん毛。


これはいけない。
わたしはこういうものを望んでいたわけでない。


ぬん毛を!!
ぬん毛を追加しなければ!!!


わたしは再び、琥珀を撫でた。
琥珀の首元からそうっと体をさすっていき、ケツに行き着く頃にはぬんの体から脱落したぬん毛が集まる。
わたしはそれを、三度ほどにわたって収穫した。

そして「帽子をかぶったドングリ」に新たにぬん毛を追加し、わたしはそれをこねくり回した。
それが今回の見出し画像でもあり、下記の画像である。

実際よりかなり明るい色に写りました。
実物はもっとグレー寄りのカラーです。


再三にわたるぬん毛の追加によって、わたしの猫毛ボールは鼻くそサイズから「赤ちゃんマリモ」サイズに成長した。
直径は約1.5センチほどだろうか。
しかし触ってみると癒着がまだまだ甘いのか、ぬん毛で作られた外皮と鼻くそボールとの間に空洞がある事が指先から伝わる。
頭蓋と頭皮のように外皮が動くため、最内部の鼻くそボールと外皮が「一応くっついてはいるものの完全に一体化してはいない」ことがわかる。

よりこねくり回していけば、内部で密着するのだろうか。
それとも、こねくり回すことによって内部と外皮がより剥離し、若干の空洞が形成されていくのだろうか。
現時点で内部に空洞が確認できるということは後者の可能性の方が高いと思われた。


猫毛ボールの運命や、いかに。
わたしはこれからも猫毛を集めて猫毛ボールを育成していこうと思う。

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