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残暑に贈る心霊体験~止まらない経文~

これから書くのは、数年前にわたしに起こった実体験です。

うちにはわたしと母と、犬と猫が暮らしています。
犬や猫たちは日によって、母のベッドで寝たりわたしのベッドで寝たり、或いは自分たちの好きな場所で寝ていたりしています。特に「ここが寝床」という定着したものは決めていない家庭です。

これは母の証言なのですが、とても嘘とは思えない内容だったので記載します。


前述したように犬猫たちは毎晩好きなところで眠ります。
その晩は、わたしと母、犬猫もみなリビングにおりました。
テレビを観ながら眠くなったわたしは自分の部屋に戻るのが面倒になり、
押入れから布団を引っ張り出してリビングに敷いてウトウトしながらテレビを観ていました。

犬たちはわたしの布団の上やその横で同じように眠っていたと母は言っていました。
わたしは深夜12時になるかならないかの頃には眠ってしまったので、ここからは母の証言です。

深夜1時半頃、急に眠っているわたしが何か言い始めたと言うのです。
単なる寝言なら、一言二言つぶやいて終わり、でしょうが、
母が気味悪く思ったのはその内容と寝言の長さでした。

わたしはまったく口を休むことなく、途切れることなく何かをブツブツ話しているというのです。
そしてよく聞いてみると、どうも経文のように聞こえるのだそうです。
更に母が気味悪く思ったのは、その状態がなんと1時間ほど(!)続いていたというのです。

普通の寝言では有り得ません。
母いわく、わたしがその「経文のような寝言」を言い始めたら、わたしの周りで寝ていた犬たちがサーっとわたしのそばから離れ、中には洗面所まで逃げ込んだ犬もいたそうです。

母が気持ち悪いと思いつつ何ともなしにテレビの番組表に目をやると、あと10分かそこらでスカパーに予約していたホラー映画が始まるところだったとのこと。
わたしはそれに予約を入れたまま寝ていました。
何か関連性を感じたのか、母はまもなく始まるホラー映画の予約を取り消しにしたそうです。

朝方に目覚めたわたしは自分が1時間近く経文のような寝言を唱えていたことなど全く知らず、予約していたはずのホラー映画が録画されてなかったので母に尋ねると、そのことを教えてくれました。

さすがに多少気味は悪かったのですが、わたし自身はまったく無自覚で、スヤスヤと眠ったという感覚しかありません。
寝ている間に何か良からぬものを遠ざけようと戦っていたのでしょうか。
犬はそれに気圧されたのか、または意識がないはずの主人の異常な行動に、動物的にも気味の悪さを感じたのかもしれません。

奇妙な出来事でしたが、その後は別段悪いことなどは起こりませんでした。
強いて言えばその数時間経過後の夜、人も犬猫もいない無人の部屋から
「ガタ!」
と音がして見に行くと簡単には落ちない重さの物が床に落ちていました。
別に気にせず元に戻し電気を消してその部屋を出ると、直後その部屋の電気が勝手に点きました。

「これは本当に(いま)いるんだろうねー」「ホントにいるみたいだね」
と母と軽く言葉を交わして、しかし悪意を感じなかったのでそれはそれで何も気味悪さなど感じることはありませんでした。
とりあえずいるということを知って欲しかっただけなのか、それ以上イタズラ?のような現象はありませんでした。

ただ、夢での感覚といいますか、そういうものが前よりも鋭くなりました。
夢の内容は覚えていないのに、目が覚めた瞬間に強烈に、

「今日は外へ出てはいけない!!」という強い意識だけが残っていたり、
家族や犬猫が体調を崩すと大事にしていたモノ(指輪など)が一時的に無くなり、回復すると失せ物もまた見つかる、などということが前より増えました(これはかなり以前からちょくちょく自分に起こっていたことです)。

自分の解釈で「今 身代わりに行ってくれてるんだ」と感じています。
なので犬猫たちが体調を崩したと同時にわたしの持ち物が無くなった時は、

「今 お前の代わりに身代わりが行ってくれているからね、大丈夫だよ」

と声をかけています。


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