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火の鳥 真・大地編、再生編

原稿用紙2枚分の手塚治虫の遺稿から桜庭一樹さんが手がけた大地編の小説とは違った大地編、その後の再生編を考えてみた。

大地編


舞台は1547年から1945年の日本。
主人公、狂言回しは明智光秀~天海~安土大佐

竹千代に鳳凰の話をする僧正に、永遠の命など無用と吐き捨てる信長。
不老不死になったもの、四肢が無くなっても再生したもの、永遠に青年から幼児を繰り返すものの話を熱心に聞き入る竹千代。

光秀は戦乱の世を平定し、民と大地に安寧の世を渇望する。

やがて時は経ち、秀吉の策略で本能寺の変を迎える。
業火の中で火の鳥と邂逅し、骨まで残らず焼かれる信長。

伊賀越えの窮地の中、鳳凰を見つけた為、穴山梅雪に捕獲を命じるが、土豪に打ち取られてしまう。

秀吉に裏切られた光秀は敗走する中で、火の鳥に出会い、永遠の生を渇望する。大いなる火に自分の体を投げ入れ復活させることを条件に、死ねない体になった光秀は以前から旧知の高僧と入れ替わり、天海僧正となる。世間知らずの高僧は騙されて、憧れの武者生活を満喫しようとしたところを打ち取られる。

秀吉の天下の中、家康の麾下となった天海、国替えで江戸の大地を豊かな地に変えるべく奔走する。
民と共に働き、喜びを分かちあい、幸せな時を過ごす。

寿命が近づく秀吉は唐に伝わる鳳凰伝説を頼りに火の鳥捜索を命じ、朝鮮へ出兵する。白頭山の頂上で鳳凰を捕獲するが、火の鳥ではなく、変異した雉であった。生き血を飲ませようとしたが、間に合わず淀殿と秀頼は生き血を飲むが、偽であった。

関ケ原の舞台に天海も参戦する。
細川忠興が今回の猿田彦となる。

臨終の際に天海に火の鳥から不老不死を与えられたことを知り、納得の内に天寿を全うする家康。

天海は密かに日光東照宮の家康の墓に火の鳥の亡骸を隠す。
かごめかごめの歌にその秘密を込める。

青年の肉体となった天海は海を渡り、世界を巡る旅に出る。

昭和13年、日中戦争の勝利に沸く上海の港にサングラスをかけた一人の将校が現れる。安土大地と名を変えた明智がそこにいた。

世界中各地の戦乱を見て、究極の戦のない世界を創る為、一つの答えにたどり着く。
最終兵器を誰もが手にすることで、千日手となり、そのもとで民が豊かに暮らせるとの考えに原爆研究を上海で行う。

安土大佐の研究助手は細川忠興の子孫で猿田という。お茶の水博士の父親にあたる。終盤にお茶の水で暮らす妻と男の子(お茶の水博士)がいることを話す。(猿田の子供はその後の太陽編、再生編(アトム編)に繋がる)

ウラン濃縮と研究成果を米国やドイツ、ソ連に流すことで研究開発を各国で進めることを画策する。

広島への原爆投下予定を知り、日光東照宮にあった火の鳥の亡骸を持ち出した明智は火の鳥との約束を果たすため、原爆の業火の中で火の鳥の復活を見届け、跡形もなくなる。

その後の世界はやがて大きな戦争が少なくなり、民は少しずつ豊かになっていく。気候変動(小氷河期から産業革命後の温暖化)と戦乱、人口増大で食料農地に変えられ、大地が疲弊していく。人間の欲は自然を破壊し続け、地球生命を脅かす。

大地編 完

再生編

主人公は天馬博士。狂言回しはお茶の水博士とアトム。
手塚キャラ総動員、作者死後のキャラクター達の再生、狂気からの心の再生を主軸に描く。

時代は1968年~2003年の日本。

練馬大学の研究室でロボット工学の研究に没頭する天馬と猿田。お互いのあだ名を住んでいる駅名で呼び合う「千駄ヶ谷(天馬)」と「お茶の水(猿田)」。

学生運動にのめり込む猿田の弟と甥の大友(太陽編の猿田博士、光教団の大友)を諭すお茶の水。天馬には愛する女性がいる(三つ目がとおるの和登さん)が、性同一性障害で悩みを抱えている。

彼女を救う為、ブラックジャックにたどり着くも、進行がんであることが判明する。結局、がんを治すことはできず、最期の願いとして、卵子摘出と凍結保存を選択する。(ネオファウストの一ノ関第一とメフィストから凍結保存法についての研究を聞く)

卵子凍結と後に人工授精で誕生した息子が天馬飛雄であり、亡き天馬の妻の形見だった。星江とされる妻は代理母であり、のちに後妻となっている。妻の苦しみと死は天馬を最初の狂気へと走らせる。

死んだ人間を復活させることに執着し、遺伝子研究にのめり込む天馬。
(未来編のオマージュ。人は同じ思考にたどり着く)

一方でロボット工学一筋で彼女の再生を図るお茶の水博士。
彼の研究成果は商売人に騙されて、精巧なダッチワイフ(やけっぱちのマリア)に転用されてしまう。

AI技術を使って声や思考を当時の本人に似せようとするが、サンプルのパターンの中でしか再現できず、そこに価値を見出せない。

永遠の命を求める中で、火の鳥伝説にたどり着く。

妻の再生は諦め、研究で得られた技術によって天馬飛雄が誕生する。
息子を愛し、幸せな日々を送るなかで起こった第二の悲劇は天馬をまた狂気に走らせる。

天馬は科学省長官の地位を利用してアトムを作り出す。

ここまでの話の回想を宇宙から地球を火の鳥と一緒に眺めるアトム。
傍らには宇宙葬となったお茶の水博士の亡骸がある。

地球上の各都市からミサイルが飛び交う様子とAD.3404の文字が表示されたアトムの目でこの話は終わる。

再生編 完


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