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嘗て、僕は、チョコレートだった
あの日、ポケットの中で溶けたチョコレート。
ポケットに締まったことを忘れた記憶とあの日の体温。
洗濯機の中で回るジーンズと洗剤と綺麗に消えたチョコレート。
チョコレートなんてなかったかのように、真昼の陽に照らされるベランダに干されたジーンズ。
再び、足を通すジーンズと体温。
チョコレートは何処へ行ったのだろう。
何と化したのだろう。
増えも無くなりもしない世界。
形変え廻りめく世界。
止まることのできぬ無常な世界。
混沌に向かうエントロピー増大の世界。
これは、嘗て、僕が、チョコレートだった時の話。
見ていただけたことが、何よりも嬉しいです!