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全て消えてしまうから

全て消えてしまうから
跡形も無く消えてしまうから
それが
誰かに名付けられ
知らぬ者の鼓動を鳴らし
微かに世界の体温を上げ
数えきれぬ網膜を名も無き色で彩り
如何程の美しき思い描かれた造形を残したとしても
洗い浚い
見る影も無く
抵抗する術も無く
ただ立ち尽くすことさえも出来ずに
摂取された生命諸共
声に成れなかった感情諸共
全て飲み込まれてしまうから

だから私は
僅かに残った一滴の雫があなたの喉を突き刺す情景を
夜の帳に描いている

見ていただけたことが、何よりも嬉しいです!