movie 『ある街角の物語』
『ある街角の物語』手塚治虫製作
私が生まれた頃には既に映像は身近なものであった。当たり前で、見慣れている。今更、「画が動く」ことには驚かない。
しかし、この作品を前にして、映画やアニメーションが浸透し始めた頃に初めて”映像”を見た人々の高揚感が、私の全身を覆い尽くした。
「なるほど、映像はこんなにもすごい。」
人類における映像の原体験を、直感として私も経験する。
対象が次々と移り行き、綺麗な輪になるストーリー。軽やかなようで抜かりなく作り込まれている。
特にポスターのシーンは圧巻。楽しさの興奮が止まらない、とても一回では見切れない!いろんな遊び心が端々まで満載だ。私はこの作品を国立映画アーカイブで見たから、「全部見たい〜〜!惜しい〜〜!」と生唾を飲むしかなかった。でももし家で見ることがあれば、思わず何度も巻き戻してしまうだろう。それ程までに凝っている。
そして、そんなアニメーションの最大出力を可能にするのは、紛れもなく音楽であった。
この作品は、映像と音楽の効果的な使い方を世界で一番理解している。場面転換も、音楽と色彩で「ばちん!」と変わる。こんなに滑らかに展開が浸食していいの、、、?
アニメーションの真意が、当時の才覚を失わずに私に届く。
現役のタイムカプセル。
すごい。
ばばみお
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