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マンション管理組合の理事長になった話
みなさんはいまどのような住居にお住まいでしょうか。
私は一時期分譲マンション(中古ですが)に住んでいたことがあり、しかもその長くない期間に管理組合の理事長になったことがあります。
今考えれば、たまたま他の候補の方が皆忙しいか高齢でさらに直前に理事長や別の役目をやっていたなど引き受け手がいなかったタイミングで、40戸程度の中規模マンションだったので私のような初心者でも出来ましたが、当時は若かったので正直嵌められたかな?と思う感じもありました。
しかし1年間やってみたら本当にタメになることばかりで、住人でも知ることが難しいマンション管理の真実を直接見ることができました。
「マンション選びは管理状況で判断するのがいい」という説がありますが、本当にその通りで、むしろそれを知らずに購入するなんて恐ろしいことをよくやれていたなと感じるくらいです。
もちろん購入前に不動産業者経由で目当てのマンションの管理状況を知ることはできますし、内見の際に時間をかけて観察すればある程度のことは分かりますが、リアルな会計の状況や住人の本音は分かりません。
マンション購入を考えている方や、すでに住んでいて管理について知りたい方は、私の体験をひとつの参考としてみてはいかがでしょうか。
合議制という高いハードル
「これじゃ何も決まんね~」、私は最初の総会でこう思いました。
マンションの管理組合は住人の合議制で、管理会社がお膳立てしてくれた議題を事前に配布し、出席者または代理人などが話し合い、議決します。
普通の議題、例えば毎年の植栽の剪定や、ちょっとした安い部品の交換などはいいんです。
でもちょっとでもお高い何かや、当初は想定していなかった問題についてはすぐ揉めるのです。
そのマンションの玄関スロープには手すりがなかったのですが、高齢の方が雪の日に滑ったらしく、手すりをつけようとなりました。
しかしそれが意外と高いためうるさ型の住人が文句をつけ、結局否決されてしまったのです。
実は裏では、手すりよりはるかに高価な立体駐車場の部品交換がそろそろ必要という話が出ていたので、すんなり承認が得られると思っていたこの案件が否決されたことに管理会社と理事会は頭を抱えてしまいました。
合議制は一見正しい仕組みですが、ゴネるのが目的の人がいたらうまくいきませんし、れっきとした住人なので排除も強引な説得もできません。
もちろんそんな人が住人にいることなんて、買う前はおろか住んでいてもほぼ分かりません。
そのとき、玄関の手すりですらこれだけ大変だとしたら、将来にありうる建て替えなんてできるわけがないのでは・・・?と気づき、マンションに長く住むことのリスクを本当に理解しました。
素人の判断力の限界
私はそのマンションの部屋を中古で購入したので、少しずつ設備の劣化や時代遅れ感が露わになってくる時期に差し掛かり、少し先の大規模修繕に関する議題が管理会社より提案されました。
そこには、新築当初から積み立てていた修繕費用がこのままでは足りず、どうやってお金の不足を補うかの案が述べられており、なんて悪いタイミングで理事長になってしまったんだろうと正直感じました。
というのもこれは途中で住みはじめた自分には関係のない、初期段階での見積もりの甘さをどう取り返すかという話であり、結局増額以外の道はないのでどうしたって反対されるに決まっています。
そしてさらに、さまざまな部品類や人件費の値上がりにより、当初の予算ではまかなえず費用を増額しなければいけない事案がいくつも発生しました。
どれも必要なものばかりですが通すのはなかなか難しそうです。
さて、ここで問題です。
そのマンションはどうやってその問題に対処したでしょうか?
答えは、何も決めずに問題を先送りした、です。
何ということでしょう、何も解決できないまま多くの課題が翌年以降に先送りされ、私は1年の任期を終えました。
その後引っ越したので、あのマンションの積立金不足問題がどうなったか分かりませんが、おそらく効果的な手は打てなかっただろうと思います。
でもそれは仕方がありません、全員素人ですから。
さすがに大規模修繕はいつかしなければならないので、価格交渉と修繕範囲の縮小などによって現実的に対応したのだと思いますが、そういった先送りによって建物の劣化が食い止められなくなるという大きな問題が、住人の気持ちひとつで簡単に起こるのだとその時知りました。
※次回に続きます。
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