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賃貸派と購入派、あなたはどっち?

家を買うというのは普通の人の人生において、あって1回か2回しかない大きな出来事で、できるだけ失敗したくないと誰でも考えます。

私はだいぶ前に自宅を購入しましたが、その際にすべて正しい選択ができたかと言えばまったくそんなことはありません。
後で考えればこうしておけばよかった…というのはいくらでも出てきます。

もちろんうまくいったことも多いので全体としては満足していますが、不動産のプロでもない普通の人が完璧な選択などできないのが当然です。

さらに最近の不動産の激しい高騰、リモートワークなどによる働き方の変化、感染症等を避けるため人口密度の高い環境を避ける傾向、長期間のローンを返すことに対する不安など、心配することは山ほどあります。


賃貸派が考える3つのリスク


そのためか、さまざまなところで家の「購入派」と「賃貸派」が論戦を繰り広げる際、購入派の旗色が昔に比べかなり悪くなっていて、賃貸の合理性が説得力を増しているように思います。

① 長期間のローン支払いのリスク
仕事の継続に関するリスクと金利上昇のリスクによって、35年ローンを組むことの危険が認識されています。

繰り上げ返済によって実際に35年払い続ける人は少ないですが、それにしても10年以上は普通なので、その期間仕事を維持することが難しいのではないかという不安を持ち、またローン金利が異常に低い今の状況はそう長くは続かないと考える人が多いと思います。

② 不動産価格低下のリスク
今の不動産価格高騰は、低金利政策・円安による輸入資材高騰・大都市への人口移動などによる一時的な現象で、人口減に伴い必ず不動産価格は低下するはずと認識されています。

なので、今慌てて買っても売りたいときには非常に安い価格になってしまい損するだけ、と考えるのは自然かもしれません。
バブルの時期に非常に高かった郊外の不動産が暴落して負動産化しているのを見ても、説得力がある説です。

③ 借金によって投資ができないリスク
これは比較的将来の収入が見込める場合に限るかもしれませんが、若い時期に大きな借金をしてしまうと、将来投資する資金が少なくなってしまい、当然貯蓄もできないので困るという考え方です。

若い時から賃貸の費用を抑えてその分投資すれば、元手を早く確保できる分短い期間で確実にリターンが得られるという期待があり、早い段階での資産形成とFIREを目指すような人にとって、借金は自由度をなくすだけの重荷と考えると思います。


購入派が考えるメリット


これらの説得力のある3つの視点によって、賃貸派が勝利し購入派はオワコン化してしまうのでしょうか。
当然ですがそんなことはありません。

家というのは将来にわたって安心を得る場所だという意見がありますが、本当にそう思います。
賃貸契約ひとつで家がなくなるかもしれないという状況は、特に経済的に弱い子供や働くことが難しい人に心理的な不安を与えます。

また病気や老後の際に賃貸を続けることができるのかと考えると、家を所有していることのメリットがさらに明確になると思います。

また昔からの価値観、経済的に自立している人であれば家を持ってしかるべきという考えは生きていて、大人なら自分の足で立ち家族や周囲を引っ張っていくべきという考えは、私はありだと思います。


ただ、これらはよく目にする意見でまあ妥当だけれど、悪く言えば古い考えを持ち続けているだけで、賃貸でも不安が少ない仕組みも増えているし、自立した大人といっても実際は困ったときに相互に助け合う世の中のほうが生きやすい、という考え方もあります。

私は、こういった議論の際に意外と出てこない視点がまだあり、実はその部分が大きい影響を与えていると感じることがあります。
それは「人は自分を変えるために大きな買い物をする」という点です。


人が大きな買い物をする理由


日常レベルの出費ではない高価な車や不動産、一部の仕事に欠かせない高価な道具、難しい資格や勉強のための費用には経済性を超えた、どうしてもそれを手に入れたい動機が存在します。

それをものにすることで自分が変われるという信念があり、お金には代えられない価値があるなら、一生かけてその借金を返しても構わないという人はいると思います。

ワールドカップや世界的なイベントに参加するために仕事を辞め借金をするような人がたまにいますが、きっと彼らはそれが人生の大きな目的で、そのためにお金や犠牲を払うのは当たり前と感じているのではないでしょうか。


私も、若い時は考えもしなかった家の購入に思い至ったのは、結婚後まだ子供がいないとき、もし家族が増えたら独身時代の無責任だけど楽しい暮らしの延長ではなくちゃんとしないといけないと感じたので、当時の自分には不相応な金額の家を買いました。

でもそんな高価な買い物でも、何十年という時間で分割すれば実はたいした金額ではないですし、それによって得られた大きな変化を考えると、安い買い物とは言えませんが、妥当だったと断言できます。

今回の結論として、購入派と賃貸派のいずれかを選ぶのであれば、自分の中に買う理由を見つけられる人なら絶対に買うべき、と思います。




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