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【イベントレポート】日本初「ウェルビーイング学部」学部長 前野隆司教授が登壇!従業員幸福度を高める、まったく新しい“切り口”を学ぶセミナー

ライフプランの実現を支援する金融サービス開発カンパニー ブロードマインドの広報です。
先日5月29日に、経営者や人事の方向けのセミナーとして【従業員幸福度を高める、まったく新しい“切り口”を学ぶセミナー】をオンライン・会場のハイブリット型で開催いたしました。併せて70名ほどのご予約を頂戴し、会場にも多くの方が足を運んでくださり、大変盛会となりました!
改めてご参加いただいた皆さま、誠にありがとうございました。

そんな今回のイベントには、なんとゲストスピーカーとして前野隆司教授に登壇いただきました!👏
幸福学第一人者として名高い前野教授ですが、現在慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の教授でありながら、この春には武蔵野大学にて日本初創設のウェルビーイング学部 学部長にも就任されています。

今回のセミナーのポイントでもあるこの「ウェルビーイング」は、ライフスタイルや価値観が多様化した今、個人の方にとっても身近になってきているのではないでしょうか?
今や、企業においても採用市場の競争激化や人的資本の開示義務化などを背景に、従業員の労働生産性・エンゲージメントだけに留まらず「ウェルビーイング」を高めることが求められています。

企業においても個人においてもここ数年で非常に注目が高まっているウェルビーイングを軸に前野教授に解説いただきながら、今回はさらにブロードマインドが強みとするfinanceを掛け合わせた調査についても発表しました。

お時間がある方は、是非アーカイブをご覧ください👀
↓↓↓


こちらのnoteでは、重要なトピックスを抜粋してまとめていきます📝
ボリュームがありますので、目次👇より気になるテーマをクリックいただければ該当箇所にジャンプできます💨


セミナー(会場)の様子

0.登壇者プロフィール

前野 隆司氏
1984年東工大卒業、1986年同大学修士課程修了。キヤノン株式会社、カリフォルニア大学バークレー校訪問研究員、ハーバード大学訪問教授などを経て、現在慶應義塾大学システムデザイン・マネジメント研究科教授。2024年4月より武蔵野大学ウェルビーイング学部 学部長にも就任。ウェルビーイング学会会長。博士(工学)。著書に、『ウェルビーイング』(2022年)、『幸せのメカニズム』(2014年)、『脳はなぜ「心」を作ったのか』(筑摩書房,2004年)など多数。

中村 哲規(なかむら・てつのり)
ブロードマインド株式会社 経営企画室。大学卒業後、2014年にブロードマインドへ入社し、ファイナンシャルコンサルティング部署でFPとして顧客対応に従事。2023年4月に経営企画室へ異動。FPの知見を活かし、ライフプランシミュレーター『マネパス』の開発・改修、営業、導入サポートを担当。さらに金融教育プログラム『ブロっこり』の開発リーダーとしてチームを率い、カリキュラム設計~顧客企業の人事とのコミュニケーションなど推進業務全般を担当する。

1.ウェルビーイング経営 -従業員と社会を幸せにする経営とは!?-(前野教授)

まだ日本でウェルビーイングという言葉に触れる機会が少なかった16年前から幸福学についての研究を始められていた前野教授。これまであまりお話しされてきていなかったという【幸せ×おかね】についても、見解をお伝えいただきました。

  • 日本ではここ数年で急激にウェルビーイングという言葉が身近になり、ファイナンシャル・ウェルビーイング(以下FWB)という言葉も広まり始めている。

  • しかしFWBの捉えられ方が「資産運用のための勉強リテラシーを見につけ ましょう」というところに留まっている気がする。色々な人がどうお金とお金以外の幸せとをうまくバランス取ってこう生きていくか、ということを考えるものだと理解する必要がある。

  • ウェルビーイングとは「幸せ」という意味と解釈している。他にも、健康・福祉などの意味を持つ。

ウェルビーイングの定義
  • 幸福度と社員のパフォーマンスは深く影響しており、ひいては企業価値・自己資本利益率・利益にも大きな効果をもたらす。

  • つまり社員が幸せな状態だと、おかね(利益)はついてくる。

米国1600社以上の分析結果
  • 年収と幸福度の関係性については、一定の年収額までは比例するが、それ以降は横ばいになることがアメリカの研究で明らかになっている。さらに、複数の研究結果から、その年収額というのもバラツキがあることが分かってきた。

カーネマンの研究結果
  • 地位財型(ドーパミン型)の幸せは長続きせず、非地位財型(セロトニン型)の幸せはじわーっと長続きする傾向があるため、オススメ!

前野教授が提唱する「幸せの4つの因子」

2.従業員幸福度を高めるファイナンシャル・ウェルビーイングについて(ブロードマインド 中村)

当社はFP相談サービス「マネプロ」にて年間2万件ほどの個人の方に対し、経済的な安心を届けるべくご支援しています。さらに、直接的な解決だけではなくより根本的な課題にアプローチするため、数年前からファイナンシャル・ウェルビーイングを支援する「ブロっこり」を企業従業員向けに開発提供を開始しました。
そんなサービスの開発を推進する中村より、本テーマにおける日本の現状や新たに調査して明らかになったことなどをお伝えしました。

  • 「ファイナンシャル・ウェルビーイング(FWB)」とは、ウェルビーイングを構成する5つの要素の1つ(Gallup社の定義)であり、欧米では先行して使われている概念。

  • 欧米では、FWBではないことで従業員の労働生産性が下がっていることが分かっており、経済的損失に繋がっていると課題視されている。

経済的損失に影響があるとされているFWB
  • そのような課題に対し国家戦略も定められており、金融教育や貯蓄、ラフプラン設計など重要なテーマに対し数値的な目標を掲げ取り組んでいる。

  • 日本でも24年4月に金融経済教育推進機構(J-FLEC)が設立され、missionにも「FWBの実現」が掲げられている。欧米に倣い、日本でも今後広がっていくだろう。

  • FWBは前野先生がお話しされたウェルビーイング(幸福度)とも非常に強い結びつきがあることが分かった。

調査結果 一部抜粋

📌調査サマリー
① FWBが高い人の方が低い人にくらべ、幸福度が5ポイント以上高くなった。
② また年収帯別にみても、FWBが高い人の方が低い人にくらべ、幸福度が5~6ポイント程度も高くなった。年収だけではなく、FWBが高いことも幸福度に作用する重要な要素であると見受けられる。
③ さらに年収400万未満でFWBが高い人と、年収1,000~1,500万でFWBが低い人を比べると、同等の幸福度であることが明らかとなった。年収差が1,000万近くあっても、FWBを高めることで同等の幸福度になることが分かった。
④ FWBを高めるために必要なものについては、FWBが低い人においては【1位 収入の上昇】だったのに対し、FWBが高い人においては【1位 ライフプランニング】という結果となった。
⑤ また、いずれにおいても【2位 金融知識】となり、FWBを高めるには重要だと捉えられていることが分かった。

これらの調査データについては、リリースにまとめています📝
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この調査を踏まえ、以下の通り見解を述べた。

✅ FWBを高めることは、幸福度を高めることにも有意に影響する
✅ 幸福度は従業員の生産性にも大きな影響があるため、 FWBを高めることは従業員の生産性を高めるためのアプローチの1つになると言える
FWBを高めるために必要な要素として挙がった「ライフプランニング・金融知識」は、これから日本においてもFWBを高めていくためのアプローチとして重要なヒントに成り得る

3.トークセッション・質疑応答

トークセッションパートでは、司会者からスピーカー2名に様々な質問を投げかけ、見解をお話しいただきました。ボリュームたっぷりですので、ご関心のある議題についてだけでも、是非ご覧ください👀!
note上ではテキストで読み易いよう内容を補記、言い回しの編集しています。

トークセッションの様子

3-1. 日本でもFWBというテーマを掲げつつ「金融経済教育推進機構」が設置されましたが、ウェルビーイング研究をされている前野先生から見て日本の金融教育や対策の流れについて、どのようなお考えがありますか?

(前野教授)
富裕層向けの投資教育に偏っているようにも見える。本来は、お金(資産)の多い少ないに関わらずきちんと教育をすることで、お金を殖やすのではなく一生経済的に問題がない状態にすることが必要。
日本は少しばかり「ファイナンシャルな話は富裕層向けのもの」という傾向があるようにも思えるので、懸念しているところ。
また、若い方に対しても「投資教育」「投資」がとにかく盛ん。しかしリスクがあることには変わりはないので、今ある資産でどう生きるかを(大前提)考えたうえで投資をするという視点も、FWB教育においては重要なのではないかと感じます。
勿論そういったこともやっていると思うが、目立つ情報だけに飛びつくと誤ってしまうこともあるので、心配な思いはありますかね。

(司会)
ありがとうございます。今の話を踏まえて、中村は事業開発に携わる前はFPとして1000世帯ほどの一般の方々に対しコンサルをしてきましたが、実際のお客様を見て同議題について感じることなど、見解があれば教えてください。

(中村)
多くのお客様のご相談にのってきましたが、投資についてのご相談が増えてきているというのは感じていました。ただ、投資というのも手段のひとつでしかなく、本当に大切なのは「ライフプランニング」とか「目的」であって、今のご家庭がどういう状況なのかというのをしっかり把握していただくことが大切だと思う。
投資という手段に先走ってしまうのは、(目的を失いとにかく殖やすことを重視してしまうことで)投資詐欺なども増えているので、懸念しています。

3-2. 投資詐欺という話も出てきましたが、学生さんとはそういった投資関係の話題が上がることはありますか?

(前野教授)
武蔵野大学でも慶応大学でも、投資詐欺だけでなくマルチ商法なども含め気を付けようという話はすごく伝えています。いずれも不安に付け込むようなアプローチであって、世の中には正しいものと・詐欺のようなもの、そしてその中間にあるようなものもある。それら(の存在を知ったうえで)きちんと見抜く目を持ちましょうということは話している。
でも実際どのように見抜く目を持てばいいか、は教えるのが難しい。世の中(経験を積んで)分かってから判断できるようになると思うけれど、この間まで高校生だった子にとっては、本当にリスキーな世の中だなと。だからこそ、正しいことを広めていかなければいけないなと思います。

(司会)
ありがとうございます。私も人事ですので採用担当として学生と関わる機会は非常に多いのですが、国が就活生向けに「どのような研修があれば入社志望度が高まるか」を聞いた調査データでは、ITリテラシーやビジネススキルが挙がるなか、1位は「金融教育・金融リテラシー研修」という結果が出ているんです。今のお話しいただいた投資のように、学生さんにとっても関心が高まっていると感じますね。

3-3. 我々も先ほど企業も金融経済教育の担い手になっていこうという話をさせていただきましたが、(学生ではなく)経営者や人事の方は(金融経済教育への重要性など)どのようにお感じになられているのでしょうか。実際に事業推進をする中村さんは人事の方と対話をしてどう捉えていますか?

(中村)
実際に企業の方にFWBの概念やその効果について説明をすると、非常に良いねと共感してくださいますが、一方で従業員のおかねの話はとてもプライベートな情報なので企業がそこまで踏み込むべきか悩まれるご担当者様も多いです。また、経営者の方ですとご自身がファイナンシャルリテラシーが高いため(わざわざ会社が福利厚生として準備する)必要がないと考える方も結構いらっしゃいます。
企業側も実際施策として導入するのは、まだまだハードルが高いのかなとも感じています。

(前野教授)
確かに、企業側も把握してないですものね。同じ給料でも、借金している人もいれば上手くライフプランニングしてやり繰りしている人もいるだろうけど、従業員のプライベートな情報だから知らないし、大丈夫じゃないかなと。実際には大丈夫ではないケースも結構あるんですかね?

(中村)
そうですね。ただ企業にとっては(本当は企業にとっても影響があることではあるものの、従業員のプライベートは)別のものと捉えていらっしゃる場合が多いとは思います。

(司会)
ありがとうございます。実は私も過去にFPとして活動していた時期がありますが、すごく年収が高いご家庭でもふたを開けてみると貯金0・・・というケースもありましたので、資産の管理や見通しが立てられているということを企業側が把握することは(踏み込まないと)難しいのだろうと思います。

3-4. Q. 企業がなかなか踏み込みにくい情報であることも踏まえると、「FWBを自助努力をベースにすべきか、インフラ的なものとして供給すべきか」については、どのようにお考えでしょうか?

(前野教授)
ウェルビーイング教育・健康教育と同じだと思います。
ちゃんと運動した方がいい、炭水化物摂り過ぎない方がいい、睡眠はとった方がいい、というようなことは「リテラシー」として知っておくべきじゃないですか。だから保険体育などの時間に教えるんですよ。
ウェルビーイングもFWBも同じで、やりがいや繋がりがあった方がいいとか、とにかくお金が殖やせれば幸せということではなく、今のお金でちゃんと安心できるプラン・見通しがある人の方が幸せなんだということを知っておくべき。そういうリテラシーが身につけば、もし「もっと金融商品でお金殖やした方がいいよ」と詐欺に遭遇しても、「今の(資産)状態でやりたいことがやっていけるから大丈夫」と言うことが出来れば詐欺に遭わなくて済む。そういう観点で、きちんとリテラシーとして学ぶべきだと思う。

(中村)
自助努力かインフラとして供給されるか、どちらかと言われると難しいのですが。勿論個人で取り組むことは非常に重要だと思っていますが、一方で企業が健康診断をするのと同じで、企業側も(満遍なく機会を)提供することも大切だと思う。個人・企業の両面で取り組みが進むという流れが出来れば良いのではないかと思います。

3-5. Q. FWBの高い方・低い方、どのようなところに特徴や違いがありますか?

(中村)
調査したわけでないのでFPのときにお会いしたお客様を思い返してみて主観的・感覚的な視点ですが、やはりご自身でライフプランを前向きににやってみたり、数年後もそのプランを指針にしながら意思決定をされている方は、お金の管理が出来ていて、生活が安定している人が多いように思います。
逆に、お金をとにかく殖やしたいというご要望から入られる方は、数年たっても変わらず「お金を殖やしたい」という点に注目されていて、なかなか変わっていないケースはありますかね。

3-6. Q. 年収だけでなく、年齢やライフステージによっても幸福度が変わると思いますが何か傾向はあるのでしょうか?
前野先生が以前「ライフステージと幸福度」というお話しをされていたことがありますので、その辺りお伝えいただければと思います。

(前野教授)
横軸に年齢×縦軸に幸福度を取ると、きれいなU字になるんです。平均値ではありますが、20代が高く、40-50代が低い。そして60以降にまた右肩上がりになっていくんです。それを踏まえると、年収やお金だけじゃないんだと思います。ライフプランのような見通しや、やりがい・繋がりなどがある人が幸せなんだと思います。

3-7. Q. ウェルビーイングという言葉を聞くようになったが、~~ハラスメントなどの言葉も同様に耳にすることが増えたと感じる。心が貧しくなったからウェルビーイングの重要性が高まった、など相関関係はあるのでしょうか?

(前野教授)
~~ハラスメントなど増えているので、世の中は不幸になっているんじゃないかと感じる人もいると思いますが、実は意外と幸福度はじわじわと上がっている。局所的には景気などの要因で下がることもありますが。世の中悪くはなっていなくって、殺人なども犯罪も今が一番が一番少ない。
じゃあ~~ハラスメントはなぜ多く耳にするかというと、恐らく昔は「根性がない」などと誤ったレッテルを貼られていたものが、医学などが進歩してきちんと分かるようになったんだと思います。なので、決して悪い時代ではないと思う。
そういう視点から、ホワイト社会になりすぎても良くないと思う。~~ハラスメントにならないように言いたい事が言えないような「優しすぎる」環境ではなく、「優しいけど活力がある社会」は実現可能だと思うし、そうしていきたい。

3-8. Q. 4つの因子が高い方・低い方の、子供のころの過ごし方で何か違いはあるのでしょうか?

(前野教授)
子供に対する研究は子供本人が正しく回答が出来ないので難しいのでやったことがないが、データとして幸せな両親の子供は幸せになるという傾向はある。なので結局のところ、両親も社会も、幸せに暮らすことができる環境を作っていくことが重要だと思います。
今日はFWBを中心に解説していきましたが、すべてアナロジーだと思うんですよね。大きな視点で考えて、自分はどう生きるのかを考えることが大切。それをやっているのが、ウェルビーイング学部なんです!

4.ファイナンシャル・ウェルビーイング・プログラム『ブロっこり』の紹介

一部の最後に中村よりブロっこりを間単にご紹介させていただきました。

当イベントへの参加に関わらず、現在無料トライアルのキャンペーン実施中です🥦🥦🥦 サービス概要はこちらのサイトをご覧ください👀 ↓

https://www.biz-broccoli.jp/

5.交流会

会場でご参加くださった方々とは、そのまま二部の交流会!
様々な業界・立場の方にお越しいただきましたが、「従業員に幸せに働いて欲しい」「ウェルビーイング、FWBなどの大切な概念を正しく広めていきたい」と同じ想いを持った方々と意見・情報交換することができました。
当社スタッフとしても大変勉強になりましたし、励みになりました。
共に手を取り合い、情報発信・啓蒙活動していければ嬉しく思います。

最後はお土産でお渡しした、お野菜の方の「ブロッコリー」と共に集合写真を撮らせていただきました📷🥦✨
皆さん“幸福感”溢れる笑顔☺素敵です!
(お顔出しNGの方は加工させていただいております。)

会場参加者の皆さまと交流会&記念撮影!

おわりに

以上、イベントレポートでした🙌
今後も、 #ブロードマインドと学ぶウェルビーイング として、情報発信してまいりたいと思います!

そのなかで、ぜひ志を共にする皆さまと啓蒙活動をしていければと考えておりますので、何かご一緒に企画をさせていただけそうな方がいらっしゃいましたら、是非一度経営企画室 広報までご連絡ください🎵

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(担当:冨永・志村)


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