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あなたは日本三大奇書というものをご存知か?

黒死館殺人事件中心です


はいーみなさんこんにちは。今回は奇書のお話でございます。

早速ですが、日本のミステリーには日本三大奇書というものがあって、

ドグラマグラ
虚無への供物
黒死館殺人事件

の三つであり、中には匣の中の失楽を加えた四大という意見もあります。ただこれは他の三つを意識して書かれているのと、書かれた時代がわりと新しいので、三大の呼び方の方がメジャーであります。

で、私はこれまで黒死館殺人事件のみ読んでなかったのだが、今回やっと読み終わることができた。はい拍手!

かれこれ十年近くかかったのだろうか。他の三つは比較的早く終わったのですが、いやぁコイツだけはなかなか手を出せずに寝かせておりましたね。まぁ読み出すと五日間くらいで読み終わったんですが。

寝かせておいた理由は、なんといっても難解なんですよね。一応ストーリーを簡単に説明しておくと、

黒死館という館で殺人事件が起こるっていう話です。

むちゃくちゃそのまんまな説明なんですが、だってそうなんだもの笑 しょうがないじゃないですか。ホントに読んだのか~? ちゃんと読みましたよ。
といいますかね、この作品はストーリーはあるにはあるけど脇役であり、メインはやはり超絶マニアックな蘊蓄なんですよ。もうわけわかんなすぎて笑うくらいわかんないです。

例えば、トリックの話をしてたはずなのに、いつのまにか惑星の軌道半径の話になっていたり、異常なほどのルビの多さとか、もうすごい。
しかも解説にあったんですが、本当っぽく書いてあるからっていうんで実際調べてみたらそんな事実はどこにもない……つまりウソなんです。
どこまでが本当でどこまでウソかわからないくらい知識が盛り込まれているので、もう判別のしようがないんですね。そこがスゴイ。どうやって勉強したんですかねホント。

あの~机上の空論って言葉あるじゃないですか、あれを徹底的に追究したというか。厨二病を極めたらああなるのかなって感じですね。とにかく蘊蓄の一点豪華主義で、人間を描くっていう文学的な主題とは離れてるんですよね。
一応人間は出てきますが、登場人物の心理とかはあんまり重要じゃないんですよね。もっというと犯人も大して重要じゃなかったりします。ある意味そこがミステリーであり、奇書たる所以かもしれないですね。

この本を読む意義はそうだなぁ、この本がその後のミステリーに影響を及ぼしているので、ミステリーの系譜をたどれるっていうのと、後は、この筆者(小栗虫太郎)の他の作品も読んでみたくなります。ちなみにこの方、45歳という若さで亡くなられているので、かなり短い期間に集中して作品を書いてるんですよね。そこらへんの背景も知っていくとより作品の理解につながると思います。

ちなみに他の三つの作品については、これは別の機会に紹介したいのですが、いずれもオススメです。最初にどれを読んだらいいかわからない方には、とりあえず虚無への供物がいいかと思います。理由は一番読みやすくて、エンタメ度も高いので。
私はこれ上下巻、文庫で読んだのですが下巻は一日で読み終わっちゃいましたね。それだけ熱中できる力を持ってるのでよろしければどうぞ。

そしてすべての作品を読破して、フツーの作品じゃ物足りなくなってしまった暁には、

おめでとうございます。本当の読書ライフの始まりであります。

そして、これが本当の異世界であり、異次元空間です。


というわけで行ってらっしゃい。





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