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出雲にっき卒業公演


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2022年4月24日、ある一人の女の子がアイドルを卒業した。
僕は彼女のラストステージを見て涙が止まらなかった。
それだけ感情を強く揺さぶられる卒業公演だった。

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「出雲にっき」というアイドルを知ったのはnoteがきっかけだった。

今年の1月に偶然にっきちゃんのnoteを読んだのだが、そこに書かれていた素敵な文章に一目惚れして、僕は一瞬で彼女のファンになった。
それからにっきちゃんのnoteを時間も忘れて読み続けた。
読めば読むほど「彼女の文才」に圧倒された。
そして「こんなにも素敵な文章を書く人がいるのだから、みんなにもおすすめしたい」と思い、にっきちゃんの文章を紹介するこんなnoteを書いて、ツイッターに投稿した。

するとにっきちゃんがこの投稿をリツイートしてくれた。
一度も会った事のないどこの誰だか分からなかったはずの僕の投稿を読んでくれて、そしてリツイートまでしてくれた事が嬉しくて、僕は導かれるように彼女が所属するinnes(イネス)という6人組のアイドルグループのライブに通うようになった。

ライブ後の物販で、にっきちゃんの文章が好きだと毎回言っていた気がする。
ライブを見に行っているのに、ライブの感想をほとんど言わず、ただただ文章を褒め続けた。今考えると失礼な話だ。
でもそれぐらい彼女の文章が好きだった。
「出雲にっきの書く文章が世界で一番好き」とも伝えた。
この言葉に嘘はなくて、彼女の書く文章が本当に世界で一番好きなのだ。
芸術的で惚れ惚れしてまう感性豊かな比喩表現と、センスしか感じない言葉と言葉の紡ぎ方、そして文章の中で時々出てくる「えへへ」という彼女の笑い声が僕は特に好きだ。
彼女の文章を一言で表すと「言葉を自由自在に操ってる」っていうイメージ。
膨大な言葉の中から、いろんな言葉と言葉をくっつけて、混ぜ混ぜして、毎回完成度の高い唯一無二の文章に仕上げてくる感じ。
本当に「言葉選び」がとにかく秀逸で、いつもうっとりさせられている。
そんな彼女の文章の素晴らしさは、下記のnoteに具体的に書いたのでもし読んでもらえたらとても嬉しい。
にっきちゃんの文章の好きな部分は、このnoteに全て書いた。

そんなアイドルとしてのにっきちゃんとのお別れは、とても早くやってきた。
僕がinnesの現場に通い始めて約2ヶ月後の3月8日。
にっきちゃんがアイドルを卒業する事を発表した。
卒業公演は4月24日。
とても悲しかったが、唯一の救いは彼女はアイドルを卒業しても「文章を書くこと」は続けると発表した事だ。

ただアイドルとしての出雲にっきが見られるのは、あと僅か。
僕は「アイドルとしての出雲にっき」を最後まで見届けたくて、卒業発表後のinnesの現場にほとんど行った。
もうこの頃には、文章を書く出雲にっきと同じぐらい、アイドルをする出雲にっきも好きになっていた。
彼女は「表現者」として優れているので、アイドルとしてステージ上で見せるパフォーマンスも素晴らしかった。
だからinnesのライブに行くのが、本当に楽しくて仕方がなかった。

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2022年4月24日(日)
とうとうにっきちゃんがアイドルを卒業する日がやってきた。
卒業公演の舞台となる下北沢Flowers LOFTに僕は向かった。
会場入りして周りを見渡すと、にっきちゃんの盟友・ひだりききクラブのすずめ園さんを見かけた。
にっきちゃんの卒業公演に駆けつけた彼女を見た時、二人の絆を感じてなんか嬉しかった。

開場からライブ開始まで30分くらいあったので、僕はにっきちゃんのこのnoteを何回も繰り返し読んでいた。

アイドルを卒業する3日前に彼女が書いたアイドル卒論。
特に僕が印象に残ったのはこの部分。

卒業公演にわたしは全部置いていく。アイドルとしてのわたしは此処で終わる。
たぶん、23日の夜だってうまく寝付けないけど、それでもわたしはニコニコで舞台に立てる。だって、今まででいちばん幸せで、忘れられないような景色がそこにあると思うから。アイドルとして出会えたすべての人たちに、24日、アイドルとしての愛を余す事なく伝えたい。来れない人にも伝わるくらいの電波を届けたい。そうすればわたし、アイドルになれた自分をまるっと肯定できる気がする。だからこの日だけはわたしに、あなたの時間をください。
   引用・出雲にっきnote(2022/4/21更新分より)

「卒業公演にわたしは全部置いていく。アイドルとしてのわたしは此処で終わる。」という一文から、彼女のこのステージにかける覚悟と、並々ならぬ決意を感じ取った。

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出雲にっき卒業公演

一曲目は「グッド・バイ」からスタートした。
僕は最前列からこのライブを見ていたのだが、目の前にメンバーの可愛唯ちゃんが来た時、唯ちゃんの瞳から涙がこぼれ落ちる瞬間を見た。
すごく間近で見ていたので、はっきりと頬を伝う涙が見えたのだ。
その涙を見て自分もグッとなり、一気に涙腺が緩んだ。
メンバー愛を感じた瞬間だった。

それからどんどんライブは進んでいった。
にっきちゃんの一挙手一投足を目に焼き付けた。

「イネス・ザ・スカッド!」でラップするにっきちゃん。
「デジタルリレーション」でメンバーにギュッとされるにっきちゃん。
「聴こえる」でペダルを踏み込むにっきちゃん。

今日で全部見納め。
どれも大好きだったな。

innes6人体制ラストの曲は「FEELINGS」だった。
にっきちゃんはいつもと同じように、最後まで明るく元気に歌い続けた。
目元はうるうるしてたけど、アイドルらしく笑顔で楽しそうに最後まで踊り続けた。

アイドル卒業の3日前に書いたnoteで「アイドルとして出会えたすべての人たちに、24日、アイドルとしての愛を余す事なく伝えたい。来れない人にも伝わるくらいの電波を届けたい。そうすればわたし、アイドルになれた自分をまるっと肯定できる気がする。」って言ってたけど、本当に愛が伝わってくるライブだった。
しっかり愛は伝わったし、きっとにっきちゃんもアイドルになれた自分を肯定できたと思う。
それぐらい最高のステージだった。
僕が今までに見たアイドルのライブの中で一番良かった。
きっとこれから先も「一番心に残っているアイドルのライブは?」と聞かれたら「出雲にっき卒業公演」と答え続けるだろう。
それぐらい心を揺さぶられる感動的なステージだった。
「FEELINGS」を歌い終えた瞬間、また涙が出てきた。
アイドル出雲にっき最後のステージが終わってしまった悲しさで。


曲が終わった後、ステージ上にはにっきちゃん一人になった。
彼女は手紙を持っていた。
そこでにっきちゃんからファンに向けて、最後のメッセージが読み上げられた。

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にっきちゃんが涙を流しながら、声を震わせながら、手を震わせながら、全身全霊で読み上げたアイドルとしてのラストメッセージ。

にっきちゃんも涙を流していたが、僕も涙が止まらなかった。
一言一言が全て胸に突き刺さり、涙が止まらなかった。
「文芸するアイドル」を名乗っていた彼女らしい素敵な文章だった。
こんな感動的な手紙読まれたら涙止まらないよ。

そしてにっきちゃんは手紙を読み終えるとステージから消えた。

客席からはアンコールの拍手が鳴り止まなかった。
誰一人帰ろうとせず、みんな拍手を続けた。

するとにっきちゃんを除いた5人のinnesがステージに再び登場し、新曲となる「この手のひらで」を最後に披露した。
その歌詞が、新たな道へ進むにっきちゃんへのエールのように聴こえて、僕は感極まって再び涙を流してしまった。

この手のひら 何ができるだろう
ギュッと握る
エールを送るよ
飛び込んでいこう未来へ
           引用・innes/この手のひらで

こうして「アイドルとしての出雲にっき」最後のステージは終わった。
にっきちゃんは、多分悔いなくアイドルを終えられたと思う。
それぐらい全部を出し切ったのが伝わってくるライブだった。

ライブ終了後、僕は初めてinnesの6人と囲みチェキを撮った。
にっきちゃん以外のメンバーと喋るのは初めてだった。
みんなに絶対に伝えたい事があったから、僕は一つ一つ伝えた。

「文芸する出雲にっき」を好きだった僕が「アイドルする出雲にっき」も好きになったのは、innesのライブが最高にカッコよかったからだという事。
そしてにっきちゃんを通して、innesのメンバー全員を好きになったという事。
これからのにっきちゃんを引き続き応援するという事。
にっきちゃんだけでなく、innesの事も応援するしライブにもまた来るという事。
innesが大好きだという事。

ずっと伝えたかった事をやっと言えた。
そんな僕に、innesのリーダー節子さんが「にっきちゃんに、innesの曲を作詞してもらえるように私たちも頑張ります!」と言ってくれた。

別々の道を歩む事になったにっきちゃんとinnesのメンバーだけど、またいつかそういった形で再会する日がきたら、ファンとしたらこんなにも嬉しい事はない。

最初で最後になってしまったが、大好きな6人のinnesとチェキが撮れて本当に良かった。
一生の宝物のチェキ。
みんなありがとう。

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囲みチェキの後はにっきちゃんとツーショットチェキを撮った。
アイドルとしてのにっきちゃんと撮る最後のチェキ。
にっきちゃんは、僕にこんな言葉をかけてくれた。

「にに、ブーメランチャンネルさんと初めてチェキ撮った時の事、すっごい覚えてるよ!その日、私パジャマ着てたからもっとちゃんとした格好で会いたかった(笑)」

僕が初めてにっきちゃんとチェキを撮った日は、メンバー全員がパジャマ姿で登場する企画ライブだった。
その時の事を覚えていてくれて嬉しかった。

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左がアイドルとしてのにっきちゃんと初めて撮ったチェキ。
右がアイドルとしてのにっきちゃんと最後に撮ったチェキ。
ちなみに会場はどちらも「下北沢Flowers Loft」
もうこの会場、思い出ありすぎて一生忘れられない。

ライブ中は感極まって泣いちゃったけど、特典会はいつも通りにっきちゃんと楽しくお話できて、不思議なくらい悲しさはなかった。
だって、これからの出雲にっきの活動には期待しかないし、きっとまたどこかで会えると思うし。

また会えた時にはnoteの感想とか言いたいな。
その時はまたいつもみたいに「えへへ」って笑いながら迎え入れてくれたら嬉しいな。

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にっきちゃんはアイドル卒業後、自身のTwitterで今後の展望をこう述べた。

にっきちゃんはこれから文筆家として活動していく。
そんなにっきちゃんを、僕はこれからも変わらずずっと応援していく。
なぜなら、にっきちゃんの書く文章が世界で一番好きだから。


僕はにっきちゃんの事を約4か月前に知ったから、アイドルとしてのにっきちゃんを応援できた期間はすごく短くて、アイドルとしての彼女は流れ星のように僕の目の前を一瞬で通り過ぎて行ったけど、キラキラ輝く星みたいに美しくて儚い存在でした。
これからも輝き続けて、文学の世界で一番星になってね!

おすすめ→出雲にっきnote
https://note.com/anone_diary/

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