『月は無慈悲な夜の女王』ロバート・A.ハインライン∥作/https://www.nanshin-lib.jp/WebOpac/webopac/searchdetail.do

岡田斗司夫さんの推薦動画を文字起こししました。


Appleはなぜ生まれないのか?っていうのに対して僕がいつも即答しているのは、
「いや日本の社長ってのはSF読まないからですよ」っていうの。
あのね、読んでないです、実は。ホリエモンですら読んでないです。
成功する条件で、日本人はありものの技術とか、ありものをさっと組み合わせて、勝てる仕組み、成功に導く人が多いです。
だから、SF読むような人っていうのは評論家にはなりやすいんですけど経営者には大変なりにくい。
シリコンバレーに来るような人らは、(日本で企業を立ち上げて成功する奴というのは、高校とか中学時代からの人気者が多いです)でもアメリカではGeekとかNerdと言われた人達が大学に入ってようやっとデビューできて、その成功するっていうのがすごく多い。
つまりウォール街ビジネスマンみたいな人がIT企業の社長になってる例は割と少ない。だから彼らは子供のころに好きだった、パソコンとか込みになってる文化のSF小説を大量に読んでる。となると何が違うのか?あるものを作った時に、その物によって世界がどう変わるのか見えちゃうんですね。
で、「あー、SF読んでないな」と思ったのは、ソフトバンクの孫さんが「ソフトバンクこれからの30年」講演したときに将来のビジョンが技術屋さんのですね、ハードウェアだけの考え方なんですね。これからの携帯は脳の中に埋め込まれて脳波だけで操作できるようになってテレパシー通信が可能になるだろうていう風に言うんです。それは技術屋の考え方なんですね。もしそうなっちゃったら僕たちの家族関係どうなるんだろう?とか恋人との関係どうなるんだろう?とか。(略)でもソフトバンクの予想にはそれが全く入ってないそれはなぜかというと孫さんがSFを読んでないからだと僕は思ってるんです。
やっぱ僕が一押しなのが『月は無慈悲な月の女王』ってハイラインの小説なんです。これは21世紀2030年の世界で(注:2076年が舞台です)月が独立するって話なんですよ。月が地球の圧力とかに耐えかねて「もう、いくらなんでもやってられるか、俺たち植民地が独立するぜ!」と言って地球に戦争を仕掛けてそして最終的にはリニアカタパルトを使って地球に隕石を落としてって話なんですね。すごい面白い小説なんですけども、『月は無慈悲な夜の女王』何がすごいのかというと(社会の変化)込みで書いているから、月世界の中ではどうなるかっていうと技術者ばっかりが集められたっていうこととあと初期の段階ではまるでオーストラリアのボダニーベイのように犯罪者たちの子孫が集められた。でおまけに地球から月へ運ぶのにコストがかかるから女が少ない。で男ばかりの社会。そうなると女は貴重品だから奪い合いになるのか?逆なんですよ。女の人が何もかもの決定権を持っている。女系型の社会、部族型のクラン社会ってのが月では営まれてる。そして月の中では空気を買うのにもみんなお金を払わなきゃいけない”TANSATTAFL”って言葉ができてます。無料の昼ごはんなんてないんだ。もし何か無料のものがあるとしたら、それは何らかの形で僕らは割高で、割高で買わされているにすぎないというようなことはもうハイラインは1950年代にばっと今のフリーミアム社会を言っちゃってるんですよ。で彼自身がですね、強烈なリバタリアンでありながらアメリカの建国神話って言うのをこの小説の中でもう一度立ち上げようとしているんです。それが、SF小説で読めるっていう、本当に読んでください。

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