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書評:「データで強くなる! バスケットボール最強の確率」を読みました

こんにちは
先日、このような本が発売されました。

流通経済大学バスケットボール部ヘッドコーチで日本バスケットボール学会理事でもある小谷究さん(twitter著書)と、千葉ジェッツでビデオアナリストをされている木村和希さん(twitter)が著者として書かれた、バスケのデータ分析に関する本になります。

普段、バスケのデータ分析について調べたり取り組んだりしている身としては、主要な文献が基本的に洋書か英語の論文しかない中で、日本語でこのような本が発売されたことに驚きつつ、日本でもバスケのデータ分析に関する取り組みが進んでいるなあと実感しました。

今回は、この本を読んだ感想などを書いていきたいと思います。

本の概要

公式サイトには以下のように書かれています

体力や感覚のバスケットは終わった。 試合は開始前からはじまっている

プロバスケットボール(Bリーグ)で活躍中の第2世代アナリストが勝利へのデータ分析術を解説。スタッツから相手チームの長所と短所を導き出す最強の方程式を紹介。客観的な評価がよりチームを強くする

スタッツとは、スポーツで個人やチームのプレー成績をまとめたもの。
スタッツを分析することが相手チームや自身のチームの成績を評価することができ、状態を把握し戦略を立てる。近年のスポーツではなくてはならないものだ。

本当に止めるべきシューターは? 実はハイパフォーマンスな選手とは

スタッツはメンバーの名前や背番号が明記されるが、「PTS」、「FGA」「FG%」などの略語と数字が並ぶ。
これは「得点」、「フィールドゴール試投数」、「フィールドゴール成功率」のことを示すのだ。
しかし、この数字からだれが積極的な選手なのか、ショットを打たせてはいけない危険な選手なのか。がわかる。
これにより、自身のチームではプレーヤーの特性がわかり、相手チームに応じて戦略をより具体的にたてることが出来るのだ。

アナリストはいう。「トラッキングデータはただの数字。読み取る力が求められるのだ。 しかし、数値に囚われない能力をあわせ持つことが必要だと。」

データを分析し、勝利の方程式を導き出す戦略解説本。

バスケのデータ分析に関する文献にもいろいろなタイプがありますが、この本は試合に勝つためのデータ分析という要素が前面に出ています。個人的にはこのような本は見たことがなく、自分の興味関心にも合致していてとても良かったです。

掲載内容としては下記のようになっています
(Amazonで記載されている目次から少し変わっているようです)

序章:ヘッドコーチのアナリストやスタッツとの向き合い方
Part1:オフィシャルスコアから読み取れること
Part2:ベーシックスタッツから読み取れること
Part3:アドバンススタッツから読み取れること
Part4:データの体系化とBリーグにおける分析の実際

流れとしては、スタッツの活用シーンをイメージしてもらってから、スタッツの具体的な活用方法について述べていくという形になっています。
具体的な活用方法についても、誰でも見られるデータからプロレベルのデータまで段階を踏んで紹介しているので、分析を行いたい方やバスケのファンならどなたでも学びになる内容かなと思います。

面白かった項目

全体的に情報がまとまっていて面白いのですが、その中でも特に自分が面白いと思った箇所をまとめました

  • 4 factors使うところがビジネスでのKPI管理と近いように感じて納得感がありました

    • ただ単に勝敗や得点差で一喜一憂するのではなく、それを要素分解して、具体的にどこが良くてどこが悪かったのかを発見し、次回に活かすという流れはビジネスでも行われていて、こういった分析フローは業界問わず鉄板だなと感じています。

  • シナジーを使った分析は、普段中々触れることのないデータ群でとても学びになります

    • 関係者以外がデータに触れることは難しいですが、収集するデータの切り口や、それを利用した分析のアプローチはとても参考になります。

    • 試合の分析をするときの分析アイデアのストックになるので、データ取れないから意味ないと思わずに読むことをオススメします

  • 個々のスタッツの紹介の内容も充実しています

    • ただ定義を書くだけではなく具体的な選手のスタッツを載せたり、どのように数字を見ているのかが書かれていたりして、利用のイメージがつきやすくなっています

他にも、スコアシートを使った分析の章もあり、ベーシックスタッツを中々取得できない学生バスケにも学びになることが多いと思います。
(もちろん、ベーシックスタッツ以降の項目でどのような観点で数値を見ているかなども学生バスケでの分析に役立ちます)

気になった点など

すでに充実した内容ではありますが、欲を言えばこれも書いてあると(個人的に)めっちゃ嬉しいという箇所もあったので、そちらもまとめました。

  • 目の前の試合を分析する以外でデータを活用するケース

    • 選手のスカウトや編成、健康管理といった要素もスタッツを利用した分析が貢献すると思うので、それらに対するアプローチについて紹介されてると更に参考になりそうでした。

  • 特定の試合を題材にしたケース分析みたいなやつ

    • 個々のスタッツや項目ごとの活用方法が把握できるので、逆に「こういうシチュエーションではこういう数値を見る」というのが具体例などで示されていると、バスケでのデータ分析をより包括的に理解できそうだなと思いました(権利関係とか難しそうですが)

あと超絶細かい点ですが、背表紙側の帯に「第2世代アナリスト」と書かれていて本文中に言及なかったので伝わりづらいかもですね。
※意味合いとしてはおそらく下記で言及されているものかなと思います

Twitterでの言及

まとめ記事

まとめ

バスケで試合に勝つために、スタッツをどのように活用するのかが段階を踏んでまとめられていて、とても学びの多い本でした。
どのカテゴリの方にも何かしら参考になる記述があると思うので、分析をしてみたい方やバスケファンの方など広くオススメできる本です。
自分もまだ読み込めきれていないところがあるので、再読していきたいと思います。

今回の記事は以上になります。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
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