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Book Review『瞬時に「言語化できる人」が、うまくいく。』

著者:荒木俊哉 氏

世の中には「言語化」本がたくさん出ていて、なんとなく興味を持っていたのですが、立ち読みしたという妻からも読んだらプラスになりそうな本だと勧められたので、購入して読んでみました。

一言で言って「買って損なし」の本でした。あとからAmazonの口コミも見ましたが、かなり数の高評価がついています。
(私の場合、口コミは、質よりもまずは数に注目することにしています。今回の場合は平均のポイントも高かったです。)

本の内容を紹介しますと、

人間は誰しも出会った事象に多くの気持ちを向けているけれど、それを言語化しないでいることが多い。
その場合、自分で自分の考えがわかっていないので、良いアウトプット(もっとはっきり言ってしまうと「良い仕事」)ができない

という筆者の考えが示された上で、具体例としていくつかの仕事の場面が挙げられ、さらには「言語化」ができるようになるための練習法が、丁寧に説明される、という流れになっています。

どう言うか」より「何を言うか」が大事だという理念についての解説にとどまらず、具体的な改善策までしっかりと提示されており、巻末には問いの例が大量に挙げられてもいるから、これ一冊で筆者の言う「言語化」スキルを高めることができるワークブックになっています。
購入して手元に置いておく価値がある本だ、と言えるでしょう。

文章がとても読みやすいし、いいタイミングで具体例(具体的な場面や問い)が出てくるので、内容も理解しやすく、読み物としても楽しめるのですが、個人的には、この本を読んで、一つの発見ができたことが一番の収穫でした。

自分は「深掘り」があんまり得意ではない、という発見です。

そもそも私は、どちらかというと「言語化」を、よくしている方の人間だと思います。
目の前の事象について、自分なりにあれこれ考えて、意見するのも好きですから。

今回この本にあるトレーニングを実際にやってみても、問い対する答えはすぐ複数思いつくし、その理由もそれなりに説明できるのです。しかし、理由に行く前にその話題を「深掘り」する(本文の言葉では「芋づる式に解像度を高める」)の部分が弱いことに気づきました。

この本では、自分のひねり出した考えを、いったん広げ、そのたどり着いた先の部分について「理由」を考えるかたちを提唱しているのですが、私の場合は直観的に出てきた答えについて、広げる前に理由を考えてしまうので、深まりが足りないのです。

学生時代のディベートでも「反対尋問」の部分が得意でなく、すぐ「反駁」へ行こうとしてしまう、というクセがあったことを思い出しました。

この発見は今の自分にとってたいへん重要な気づきでした。
ハッキリ言って「独善的」かつ「狭い自分」と言うことですから。
これはなかなかのダメぶりです。

その点に明確に気づけたことは、前向きかつ素直にこの本と向き合ってみたことの成果と言えるでしょう。

しかも、既に書いた通り、この本は「言語化力」を鍛えるための技術を伝えてくれているので、その通り練習することで弱点の克服にもつながるようになっているわけです。
「使える本」、いやいや「ありがたい本」なのでした!ほんとうに。

実際、「芋づる」の部分を意識してトレーニングをしていくと、だんだんその部分も考えられるようになっていくから不思議です。

やはり、「学び」はいくつになっても大切ですね。50代ですから、成長はゆっくりでしかありませんが、それでも、自分にできることが、少しでも増えるのは、案外楽しいものです。

それぞれの問いに、「一つだけの正解」があるわけではないとわかっていても、自分の考えが紹介された解答例に近い内容だったりすると、ついつい嬉しくなってしまう自分がいて、笑ってしまいました。

でも、せっかくお金払ったのだから、楽しんだほうが得ですよね。

そんなわけですので、まだ読んでいない方は、ぜひ書店に行って、手に取ってみることをお勧めします。

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