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神戸サポの愉快な仲間たちと本当にあった特級呪物

はじめに断りを入れておきますが、私はオカルトや神秘主義の類を一切信じていません。これは本当にあった奇妙な実体験を記録したものです。極力脚色は入れていません。

今回ヴィッセル神戸サポーターさんたちからお誘いを受けて、アドベントカレンダーにブログを掲載させて頂くことになりました。

まずは自己紹介から。私はサッカーライターをしている者でして、ひょんなきっかけからヴィッセル神戸サポーターのみなさまとワールドカップをTwitterのスペースで観戦するようになりました。

私は商売あがったりなジンクスがありまして、取材に行った側のホーム側チームが勝てないというジンクスがあります。今季は勝率0.09と恐ろしい数字をたたき出しました。

さらに応援したチームも勝てないというジンクスもあります。こちらは過去3年で勝率0.37でした。この恐ろしい呪いのようなジンクスが神戸サポーターさんたちを震え上がらせる事態にさせるとは思いませんでした。

過去にあった勝てないジンクスはいつか機会があれば取り上げようと思います。では本題に入ります。

ドイツ戦

この時まだ彼らはジンクスを半信半疑に思っていました。私は日本人なので、当然日本を応援します。対ドイツ戦は神戸サポーターさんたちを中心にワイワイガヤガヤと日本を漠然と応援していました。

しかし我々の応援は空しく、前半はドイツに先制されて一方的にゲームを支配されてしまいました。日本代表は借りてきた猫のように大人しくなり、正にドイツのサンドバックという具合です。

神戸サポのVKA氏、ちゃんのさ氏の怒号が飛び交います。「お前ら何しにカタールへ行ったんや」、「もうダメや。絶対勝てへんわこれ」とスペースは悲鳴に近い阿鼻叫喚に包まれていました。

転機はドイツ大好きサポーターのつばさ氏が私にドイツ応援スペースを開いてほしいとリクエストが飛んできました。私もドイツに住んでいたことがあるので、気を取り直してドイツを応援するかとスペースを立ち上げました。

私がマンシャフトを応援し始めた瞬間、ドイツの様子が一変しました。なぜか怯える子犬のようにピッチ上でたじろいでいるではありませんか。日本はこれを好機と猛攻を仕掛けて逆転勝利となりました。

何か応援したら負けたドイツ戦

ドイツ応援スペースは阿鼻叫喚となり、「ドイツ2大会GL敗退確定」、「やる気あんのかよお前ら」とこちらも阿鼻叫喚に包まれました。すると鹿島サポのogyan氏が来られました。私の過去のジンクスをよく知る方です。

ogyan氏は「やっぱりね。アオさん…」と私に労いの言葉をかけられました。ジンクスの話を説明するとつばさ氏は絶句していました。知っていれば呪いの主にスペースを開かせなかったでしょう。言いようのないカオスが広がりました。

コスタリカ戦

スペインが7-0でコスタリカに圧勝して、グループリーグ(GL)も2巡目に突入。勝てばGL突破が確実という中で行われました。その中で、私は‪「これは流石に応援したら勝てるやろ‪」‬と意気揚々に日本を応援し始めました。

この試合が行われる前にひと悶着がありました。リーグ&FA関係者、報道関係者、選手、友人、有名イラストレーターと様々な方々から「日本だけは絶対に応援するな。コスタリカを応援しろ!!」と連絡が殺到しました。

そんなジンクスなんてあるはずのないものに怯えるなど馬鹿らしい!!!と無視して、私は日本を応援しました。私が声援を飛ばすと、それに呼応するかのように嚙み合わない攻撃を日本は終始するのでした。

およそ後半35分ごろ。私は「日本勝て勝てVamo、Vamo~」とふざけるように歌い上げました。VKA氏が「ついにアオさんがふざけ始めましたよ~」と和やかに突っ込みが入る中、一瞬の静寂に包まれました。

「あっ」

と声が出た時には時すでに遅し。後半36分。吉田の中途半端なクリアを受けたケイセルがふわりとループ気味のシュートをゴール左へと落として技ありの決勝点が決まり、日本は勝てると見込んでいたコスタリカに敗れました。

阿鼻叫喚の地獄絵図となったコスタリカ戦


この後は悲惨の一言。私のジンクスが本物だと神戸サポーター界隈で信じられました。VKA氏には「売国奴」と蔑まれ、有名イラストレーターのりおた氏からは戦犯のような扱いを受けました。

日本を応援しただけなのに何故かブチ切れるりおた先生

悲しいことに各方面から叱咤一辺倒の連絡を絨毯爆撃のように頂きました。私のメンタルは焼け野原でございます。その後スペイン戦でさらなる伝説が生まれると私は想像もしていませんでした。

スペイン戦—そして伝説へー

試合前から私がどちらに応援するかで賭け事をする不逞な輩も現れました。中には「本当にあった怖い話」や「激レアさん」に応募しようとする外道もいました。人の不幸で飯が美味いとは正にこれかと痛感しました。

スペイン応援スペースに入ると、腫れ物に触るような扱いを受けました。「こいつやばいぞ」と本来聞こえない声が聞こえてきそうでした。そのくらい私も追い込まれていたのかもしれません(大嘘)

前半は想定通りスペインが一方的にボールを回す展開。森保監督の顔面もみるみる青ざめていくのが見て取れました。相変わらずVKA氏、ちゃんのさ氏は日本の体たらくに怒りの声を連呼します。

私も日本が勝たないとジンクスが消えないので必死です。「貴様らやる気あるのかー!!!」と私も熱を挙げて罵詈雑言を叫ぶわけです。ですがそんな声が届くわけもなく、無情にも日本は先制されて敗色濃厚となるのでした。

敗色濃厚な前半の様子

前半40分ごろでしょうか。神戸サポの重鎮のバンさんや他の方々からも「アオさんスペイン応援してよ」と言われ始めます。私もプライドがあるので精一杯抵抗しましたが、同調圧力に押される形でスペインを応援し始めました。

すると、スペインの動きが徐々に緩慢になるではないですか。ですが前半はチャンスもなく、0-1で先行されました。するとバンさんから「アオさん無能やな」と辛らつな言葉をいただきました。

ただスペインを応援しただけで無能呼ばわりなんて「こいつら理不尽の権化やろ」と強く思いました。私は元来の負けず嫌いなので、「こいつらに目にもの見せて謝らせたる」とスペインを全力で応援し始めます。

後半に入り、私がスペインを応援し始めるとスペインの攻撃が嘘のように停滞し始めました。これを待っていたと言わんばかりに日本が縦に速い攻撃で2点をもぎ取って逆転に成功しました。

私は「おー!Vamos Spain!スペイン!スペーイン!スペーイン!はいはいはい!」とまるで壊れたオルゴールのように繰り返し、休みもなく、呪詛のようなエールをリピートするのでした。

応援は力が要ります。私は疲れ果てて、「もういいっしょ疲れた」といえば、「続けろ」と同調圧力。しまいには鹿児島サポーターのつばささんが「やめないで!」「アオさん素敵!」と思ってもいないようなことを言ってくるのです。もうメンタルが昨季の神戸が見せたDFラインのように崩壊していきました。

タイトルもVamo Spainに変えて45分間スペイン応援

試合終了。神戸サポーターから労いの言葉をたくさん頂きました。「売国奴」と蔑んだVKA氏からは「アオさんのお陰で勝てました!ほんま特級呪物は凄い」「無能」と吐き捨てたバンさんからは「すみませんでした。呪いを舐めていました」こいつらの掌は全自動泡だて器かというくらいクルクルしていました。

各方面からも感謝の言葉が届きました。あれだけ戦犯扱いしたイラストレーターのりおた氏も感謝のツイートが届きました。これだけ日本代表は愛されているんだなと。私も応援したかったよ畜生。

スペインを応援しただけでりおた先生に感謝されました

日本が勝利し、決勝トーナメント進出を決めました。私の力なんて一ミリも関係ないでしょうけど、サポーターのみなさんが楽しんでもらって何よりです。ワールドカップを別視点で楽しめるいい機会になったら何よりです(半ギレ)。

結—その後—

その後ラウンド16でクロアチアと対戦し、惜しくもPK戦で日本は敗退しました。私はどちらを応援したかについては詳しくは書きません。詳細は私を捕まえて聞いてみてください。

神戸サポーターさんたちとは、今大会楽しくサッカーを見させて頂きました。私を神戸サポーターの仲間に入れてくれる発言や独身部に入っていいよと温かい声をかけていただき、短い期間ながら仲良くさせていただきました。

ただ私は「神戸サポーター界隈に入れてくれるということは、来季神戸を応援してもいいってことですか?」と聞くと、全員「応援だけはしないでくれ」とかいうではありませんか。私は微笑みながらやり取りを楽しみました。

なんて言うと思ったか!!!!
お前ら来季見てろよ!!!!!めちゃくちゃヴィッセル神戸応援してやるからな!!!!

<了>

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