読書日記~湊かなえ『落日』

湊かなえ『落日』を読了。昨日今日の二日で読んでしまった。
湊かなえといえば、イヤミス。後味が悪い話はどちらかと言うと苦手なのだが、中毒性と言うのだろうか、時々手を伸ばしてしまう。
最後に読んだ彼女の本は、『ブロードキャスト』だったか。こちらは、「イヤミスの女王」という名前から想起されるにしては珍しい、青春小説だった。(一気読みした)

さてこの『落日』は、過去の事件を軸に据えた、新進の映画監督と売れない脚本家、二人の女性クリエイターの物語と言おうか。
なぜ創作するのか。
一人は「知りたい」から。そして、一人は「見たいものだけを見たいから」。
私はどちらかと言うと、前者に近いかもしれない。
私はモノづくりをする人の頭の中がずっと知りたいと思っていた。
不器用な私にとって、絵が上手い人、手先が器用で優れた造形物を生み出せる人、文章を紡ぎだせる人は、ずっと雲の上の存在だった。
どうしたら、彼らはそんなふうに何かを作り出せるようになるのか。
何が根っこにあるのか。
ずっと知りたいと思ってきた。
できれば、彼らのように私も「モノづくり」をしたいと憧れた。
その結果が今である。
これまで、幾人もの芸術家たちの生を、作品が生まれる風景を追いかけてきた。
私なりのやり方で、作品の向うにいる作者たちに息を吹き込み、一時的にせよ動いてもらった。
今もまた一人、私の手元から旅立とうとしている。
これを書き終えたら、ラストパートだ。

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