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クリティカルデザインとデザイン思考

オランダのデザインやアート系のアカデミーを受験するにあたり、色々な学校のWebサイトをみていると、ある言葉が繰り返し出てくることに気が付きました。

それが、Critical (批判的な)という単語です。

どうやらオランダのデザイン/アートアカデミーではよく、Criticalな視点が重要視されているようです。 
※オランダの全ての学校やコースでクリティカルデザインがベースとされているわけではありません。

今回はそのCritical Designと言われるデザイン手法について、デザイン思考との対比を交えながら、自分なりの見解を記します。

この記事を書くにあたって、東京工業大学エンジニアリングプロジェクトの記事を参考にしています。
このnoteの内容と重複する点も多いですが、とてもわかりやすい記事なので興味ある方は読まれてみてください。

2つのデザインの違い

私が日本の大学で授業を受けていた時、(特にインダストリアル系の授業の場合)多くはデザイン思考をベースとしていました。

デザイン思考では、課題を解決することに焦点が当てられます。
ある問題に対して、考えられる要因を調査し、それを解決しようとします。

一方で、クリティカルデザインでは、問題を解決しようとするのではなく、人々に問題提起をしようとします。

例えば「ポイ捨て」という課題に対して、人々がゴミをきちんと捨てる様なしくみやプロダクトをデザインするのがデザイン思考です。
それに対してクリティカルデザインでは、人々が捨てたゴミを展示することでポイ捨ての多さを伝える、という様なアプローチが取られます。

ときにクリティカルデザインは、アートとの境界線が曖昧になると個人的には感じています。

何を中心とするか

デザイン思考の中心はユーザーです。
ユーザーがどうすれば使いやすいか、ユーザーがどうすれば狙い通りの行動をとるかが重要です。なのでユーザーへのインタビューなどがプロセスに含まれます。
そしてそのデザインが成功か失敗かも比較的結果がわかりやすいです。

クリティカルデザインは、自分の思考に焦点を当てます。
ある課題に対し、自分はどう思うのか、それを突き詰める必要があります。課題を自分自身が理解するためにリサーチを行い、それを通して自分が感じたことを表現する形で問題提議をします。
人の心に影響を与えることを目的としたデザインであるため、成功や失敗といった判断が難しいです。

どちらがいいのか?

同じデザインと言えどアプローチが全く異なる2つですが、どちらがいいのかという答えはないと思います。

そもそも目的が異なっているので、どちらが優劣ということは無意味です。(実際、プロダクトやサービスを作ってお金を得るとなると、多くの場合デザイン思考に軍配が上がるのかもしれませんが。)

一点言えるのが、クリティカルデザインの方はまだ日本での馴染みがかなり薄いと感じます。

様々なアプローチの仕方を学ぶことで、プロジェクトごとに最適なプロセスを選択することができると個人的には考えます。

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