朝がきた:不思議な経験が教えてくれたこと
あなたは、一日に何回くらい【死】について考えますか?
私は、ほぼ毎日、朝が来るたびに考えています。
自分はいつか死ぬんだと。
自分だけでなく、生命は皆死ぬし、
果てしなく遠い未来では
地球にも、そして宇宙にも、
終わりはあるのだといいます。
そんな風に、毎日死について考えるようになったのは
ある出来事がきっかけでした。
今回は、私の身に起こった
ある不思議な出来事についてお話したいと思います。
このnoteは、ややスピリチュアルな表現が含まれています。
苦手な方は、読むのをお控えください。
※3000文字程度のボリュームです。
(お仕事noteを書く予定でしたが、こっちを書きたくなったので書いてますw何してるんだ私は…)
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悪夢
それは、社会人2年目くらいだったと思う。
私は、会社の寮で暮らしていた。
寮と言っても、オートロックのついた
ごく普通のアパートである。
ひとり暮らしとなんら変わらない。
ひとり暮らしと少し違うところは
同じアパートには、同じ会社の人だけが住んでいた。
皆知り合いというわけではなかったけれど、
同期や知っている同僚も暮らしていた。
当時の私は、彼氏(現·夫)がいて
遠距離恋愛中だった。
月一回くらいのペースで、
お互いの場所を行き来していた。
連休は、大体どちらかが遠距離異動していた。
お金の節約のために、
高速バスを使うことが多かった。
*
その日は、ごく普通の平日。
仕事を終え、いつも通り帰宅し、
いつも通り彼とメッセージのやりとりをしてから
就寝した。
カチャ
夜中
玄関の開く音で目が覚めた。
何時かは分からない。
嫌な予感がした。
その瞬間、金縛りにあって、体が動かなくなった。
鍵はかけたはずだし
今日は彼が来る日ではない。
誰かが入ってくるはずはない。
きっと隣の部屋の人だ。
しかし、足音が近づく。
きっと隣の部屋の人の足音だ。
足音はキッチンのある廊下を抜けて、
部屋のドアノブを開ける音がした。
隣の部屋だよね??
*
カチャ
私の部屋のドアが開いた。
そこには、包丁を持った男が立っていた。
キ…
キャーーーーーー!!!!
渾身の力を込めて叫ぼうにも
金縛りにあっていて、叫ぶことができない。
金縛りにあうと、目だけ見ることができるが
体は全く動かなくなる。
警察呼ばなくちゃ
誰かにともかく連絡…
枕元にあるスマホを取りたくても
体が動かない。
どうしてこんな日に限って金縛りにあっているのか…
男は黙って私のベッドサイドに来て
その包丁を私の体に刺した。
何度も刺した。
メッタ刺しというやつである。
こんなに刺されては、生きていられそうにない。
お母さん、お父さん、親戚彼氏友人の皆様
こんなに若くして死んでしまってゴメンナサイ。
こんな終わり方でごめんなさい。
短い人生だったな…
私は死を覚悟した。
そして、私の意識が途切れた…
朝
ピピピピピピピ…
いつも通り、スマホの目覚まし時計の音で目が覚めた。
朝がきた。
…朝がきた?!?!
昨晩の出来事は、一部始終しっかりと脳裏に焼き付いている。
私は殺されたのだ。
でも、今、目を覚ましている。
私は、生きているのだろうか?!?!
それとも幽霊になったのか…
そっと体を起こす。
不思議なことに、どこも痛くない。
体を触る。
感触がある。
恐る恐る、パジャマをめくる。
傷はない。
ベッドから起き上がり、部屋を観察する。
血の跡なんてどこにもない。
廊下に行く。
足跡はない。
玄関は、二重ロックがかけられていた。
たとえ鍵があったとしても、誰も入ってこられるはずはない…
全ては、昨日就寝した時のままだった。
昨晩のアレは、夢だったのだろうか?
夢にしては、あまりにリアリティがあった。
私は確かに、男の姿を見たのだ。
真っ暗で、はっきりと顔は分からなかったけれど。
でもやっぱり…
ただの夢だったのだろうか…?
カーテンを開けた。
今日は晴天。
いつも通りの景色と、いつも通りの空に
なぜだか涙が出そうになる。
また、私に朝がきたのだ。
私は今日も、生きている。
深呼吸した。
私は、生きている!!!
*
いつも通り会社に行き
同期、同僚に、散々夢の話をした。
「私、殺されたと思ったんですよ~
でも、朝がきたんです!
生きてたんです!」
もちろん、彼氏にも連絡した。
「昨晩、殺されたと思ったんだけどね、
朝がきたんだよ!
生きててよかった」
事件
その事件が起きたのは、
その週末のことだった。
近所のアパート(とても近い)で起こった事件。
概要は、次の通り。
・被害者は女子大生
・オートロックのアパートに一人暮らし
・夜中、男が被害者の部屋に侵入
・就寝中の被害者はベッドでめった刺しにされて殺された
・被害者には遠距離恋愛中の彼氏がいる
・第一発見者は彼氏。
・夜行バスで来て、明け方彼女の家に到着し、発見した。
ニュースを知った時
背筋が凍りついた。
あまりに、私の夢と似通っているし
被害者の状況も、私と似すぎている。
全国版ニュースにもなった事件である。
週末にもかかわらず、
あの日、散々私の悪夢を語った同期、同僚、彼氏から
メッセージが届いた。
「アズ、ニュース見た?」
*
加害者は被害者の女子大生と同じアパートの男で
たまたま被害者がアパート内で鍵を落としたのを見かけ
夜間、殺害に至ったらしい。
動機は
「人を殺してみたかった」
*
事件が起きたそのアパートは、
1階に服のチェーン店が入っていて
それまで、たまに購入していたのだけれど、
その事件以来、なんだか怖くて
一度も足を運んでいない…
*
あの夢は一体なんだったのか。
今でもよく考える。
夢がたまたま事件と一致しただけなのか。
それとも
生霊か…予知夢でも見たのだろうか…
(詳しい人いたら教えてください)
あの時殺される予定だったのは
本当は私だったのかもしれない
と想像したりもする。
パラレルワールドという概念がある。
本当は、選択しなかった方にも未来があって
異次元の世界に枝分かれしていくというようなものだ。
私が殺されて
あの女子大生が生きている世界が
どこかにはあるのかもしれない。
想像するとぞっとする。
その世界では、
夫と結婚することもなく
当然のことながら
子供達とは会うことができていない。
そう思うとますます
家族や子供達のことが愛おしくなる。
生きている奇跡と喜びをかみしめる。
被害者の女子大生には、
どんな未来があったのだろうか…
*
その出来事以来
死の意識が少し変わった。
死は案外身近にあるのかもしれないということ。
そしてそれは、決して特別なことじゃなくて、
誰にでも訪れる普遍的なことだということ。
そんなある種当たり前のことを、
日々強く認識するようになった。
そして毎日、
朝がくるたび
死ぬこと、そして生きるということを
以前よりずっと
強く意識するようになった。
私にできること
生きるとはなんなのか
答えの無い命題を、
最近ますます考えている。
というのも、
先々週、
友人の病気が再発したからだ。
生きるということ
そして
死ぬということ
これを考える時、思い出すのが、
この悪夢と事件のことである。
*
友人は、先週からまた
入院生活がはじまった。
辛い治療。
今は、お見舞いにも行くことができないから…
副作用等が強く出ないよう
また、無事に完治するよう
祈ることしかできない。
その病気は、職業によっても罹患しやすさが変わる。
友人は、罹患しやすい職業に従事していたし
完治してから
職場復帰した矢先の再発だった。
社会的アイデンティティは
むしろ高い職業だと思う。
職業選択する際には
病気のリスクも十分考慮した上で検討してほしい。
*
医師が生きるものの命の時間を
コントロールすることができるとして
私にできることは何なのか。
誰かの命の時間の長さに対してできることは…
多分、何もない。
わたしにできることは
描くこと。
つくること。
でも、それは
誰かの人生の感動の数を増やすことはできるかもしれない。
誰かの人生の笑顔の数を増やすことはできるかもしれない。
その結果
誰かの人生を豊かにするかもしれない。
同じ命の時間の中で
その密度は濃いものになるかもしれない。
だから
今日も私は
私の人生を精一杯生きたい。
誰かに感動と笑顔を与えることが
一度でも多くできるように…
そうだ、友人に手紙でも書こうか…
絵を添えて。
だって今日も私に
朝がきた。
私は今日も、生きている。
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