見出し画像

高校生の私が、先生と付き合った話17

なんだかんだで行動しないわたしを見て、真由に「情けないねえ」と言われてしまいました。
(詳しくは書いていないのだけど・・・真由にも遥香にも鈴木先生のことが好きなのはバレてた。分かりやすすぎたらしい笑)

「女子高だからか知らないけど、うちの学校って先生と生徒が結婚してるパターン多いじゃない?在学中から交際してたってことはないだろうけど・・・まぁあっても言わないだろうけど(笑)成功例たくさんあるんだから、やれるだけのことはしてみたら。守りに入ったって意味ないし。あっちは何もしてくるわけないんだから」
「うん。なにもせずに終わるのはいやだと思ってる」
「何度も言ってるけど、まずは連絡先交換!できないんなら一方的にアドレス押し付ける!返信は来ない前提で!何も期待しないこと!」

そういうと真由は携帯を見ながらメモ帳になにか書き始めました。
なにやら書き終わるとそのメモをわたしに押し付けました。

「はい!代わりに書いた!今度一瞬でもチャンスがあったら渡しなよ!」
そのメモにはわたしのメールアドレスと電話番号と『寂しいからメールしてほしい』と書いてありました。
「大丈夫かな・・・引かれないかな?迷惑にならない?」
「それは分かんないけどさぁ。でも卒業後は希望ゼロじゃないと思うんだよねー。それなら先に伝えたもん勝ちっていうか少しでも意識してもらったほうがいいじゃない。とにかくわたしは応援してるよ。頑張って」

真由が書いてくれたメモをいつでも鈴木先生に渡すことができるように、ポケットにしまいました。



数日後。

昼休みに階段をかけ上っていたら、のそのそと階段を下りてくる鈴木先生と鉢合わせました。
いつもなら目に入った瞬間に「先生ー!」と声をかけます。

でもこのとき誰も周りにいませんでした。

この上ない大チャンス。
やるべきことは分かりすぎてる。

それなのに緊張しすぎて「や、やっほ」と不自然な挨拶しかできず、鈴木先生は「おう」とだけ返事をしました。
そのあとの会話はなく、そのまますれ違って鈴木先生はどんどん下に降りていきます。

「先生!しばらく学校こないってほんとですか?!」
手すりから身を乗り出してほぼ叫んでいました。
今やらなきゃ絶対後悔すると思いました。

「??うん、そうだけど・・・」
わたしの大きすぎる声に驚いている鈴木先生のところまで駆け下りて、メールアドレスを書いたメモを先生の手の中に押し込めました。
「え、なになに?」と鈴木先生の上にはハテナマークが浮かんでいました。
「頑張ってください!それじゃ!!」
わたしはメモの内容も説明せずにその場から逃げました。


手が震える。変な汗が出る。

『これわたしの連絡先です』って渡したら、そこで拒否されるだろうからその場からすぐ逃げるしかなかったの。
ズルいんだろうけど断る隙を与えたくなかった。
いつも鈴木先生はとびきり優しいのは、ただの仕事の延長だって思い知らされたくない。
絶対そんなことは言わないだろうけど・・・そうだから。


その日の午後の授業はまったく手につきませんでした。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?